・「進物線香」とは?
・進物線香のランク、シーンで違う選び方は?
・進物線香を包む・送るマナーとは?
「進物線香(しんもつせんこう)」とは、日常的に使用するお線香ではなく、人へ贈るためのお線香です。
お線香は故人への贈り物なので、いつでも贈ることができますが、主に訃報を受けた時や、お彼岸などの年中行事、命日などに送ることが多いでしょう。
進物線香にはランクがあり、命日や葬儀など、シーンで選ぶお線香が違ったり、掛け紙や水引、表書きなどにもマナーがあります。
本記事を読むことで、進物線香とは何か?
進物線香を送るタイミングや選び方・梱包マナーや、持参する際の渡し方、供え方マナーが分かります。
「進物線香」とは?
◇「進物線香」とは、人に贈るお線香です
「進物線香(しんもつせんこう)」とは、日常的なお仏壇のお世話に供えるお線香ではなく、人に贈るためのお線香となります。
日ごろの手土産やお中元では、お菓子や果物を贈りますよね。
お盆時期にお中元をいただくとお仏壇へ供えることがありますが、亡くなった人は食べ物を食べることができないため、「香りをいただく」とされてきました。
そのため「進物線香」を贈ることで、故人へのお悔やみや哀悼の意、感謝の気持ちを伝えることができます。
進物線香を送る人が増えている
◇コロナ禍や家族葬などの増加から、進物線香を送る人が増えています
近年では規模の小さな家族葬や、葬儀形式を簡略化した直葬などが増えました。
2019年のコロナ禍を経て、その傾向はさらに加速しています。
ごく少数の家族のみの家族葬では、納骨後の挨拶状も増えました。
また故人との関係性によっては、喪中ハガキで訃報に触れる人も少なくありません。
そのためコロナ前とコロナ後では、進物線香の販売数が120%ほどまで伸びたとも言われています。
遅れて訃報に触れた時、遠方などで通夜や葬儀、法事(法要)に参列できない時など、故人へのお悔やみを示す進物線香は、広く選ばれるようになりました。
進物線香を送る理由
◇喪家に余計な配慮をさせないよう、進物線香を選ぶ人が増えました
また近年では、喪家が香典を受け取らない「香典辞退」による葬儀が増えました。
香典辞退をすることで、喪家は香典返しをする手間暇が省略できます。
香典辞退を受けた時、香典代わりに進物線香を持参しても失礼にはあたりません。
ただしご案内状などに「供花・供物を辞退します」などの一文がないかを確認してください。
①先方に余計な気遣いをさせない
②消費期限が長い
③お墓参りやお仏壇のお世話など用途が広い
④仏教の教え「香食」の考え方から
⑤シーンに合わせて適切な金額で準備できる
「香食(こうじき)」とは、故人(仏様)が香りをいただくとされる仏教の考え方です。
そのためお線香は、仏教におけるお供え物となります。
キリスト教や神道ではお線香を供えませんので、注意をしてください。
香典辞退をしていない通夜や葬儀、法事(法要)であっても、人数が限られたものや、喪家の経済的状況を鑑みて、余計な配慮をさせないよう、香典代わりに進物線香を選ぶ人が増えました。
・キリスト教の葬儀や法事とは?流れとマナー、カトリック・プロテスタントの違いや考え方
進物線香の選び方
◇進物線香にはシーンに合わせた選び方があります
進物線香には価格帯で違うランクがあり、通夜や葬儀、命日や法事(法要)など、進物線香を贈るシーンに合わせて、適切なお線香を選ぶことが大切です。
進物線香に限らず、香典や供物・供花をいただいた場合、喪家はお礼の品「香典返し」を贈りますが、その品の費用目安は、いただいた金額の1/3~1/2となるためです。
①紙箱に入った「ギフト線香」
◇約3千円ほどの価格帯を目安とした進物線香です
価格帯としては約千円~3千円ほど、平均値2千5百円ほどで、カジュアルなお線香にロウソクなどがセットされているものもあります。
香りも伝統的なものよりも、しゃぼんや桜、金木犀の香りなど、オリジナルな独自のものが少なくありません。
<ギフト線香> | |
[価格帯] | ・約千円~3千円ほど (平均約2千5百円ほど) |
[特徴] | ・化粧箱(紙箱) |
[用途] | ・年中行事 (お彼岸、旧盆) ・命日 ・三回忌以降の法要 ・香典辞退の葬儀 |
用途としては香典辞退で香典代わりに持参する進物線香としても、約3千円以下で手軽な価格帯なので、喪家も香典返しを気遣う必要がより少なくなります。
僧侶をお呼びする法要の席に持参する場合、三回忌以降であれば良いでしょう。
②桐箱に入った「贈答用線香」
◇約5千円ほどの価格帯を目安とした進物線香です
人に贈るためのお線香は、どれも進物線香と呼びますが、価格帯でお線香の呼び名を分ける人々も増えました。
知人や友人が通夜や葬儀に参列する際の香典相場と同等程度、約3千円~5千円ほどの価格帯で贈る進物線香を、「贈答用線香」とする人もいます。
<贈答用線香> | |
[価格帯] | ・約3円~5千円ほど (平均約3千5百円ほど) |
[特徴] | ・桐箱 |
[用途] | ●僧侶をお呼びする法要 (四十九日法要、一周忌など) ・自宅へ弔問する手土産 ・喪中ハガキで訃報を受けた場合 |
約5千円ほどの価格帯で桐箱に入った贈答用線香の場合、僧侶をお呼びして執り行う法要の席でも、供物として充分です。
③漆箱に入った「進物線香」
◇約7千円ほどの価格帯を目安とした進物線香です
全般的に人へ贈るお線香は「進物線香」ですが、最近ではしばしば、高級なお線香を贈る際に「進物線香」と呼ぶ人も増えました。
進物線香は通夜や葬儀、特別な法要など、畏まった席へ贈るお線香なので、一般的に香りも伝統的な伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)などが選ばれます。
<進物線香> | |
[価格帯] | ・約7円~1万円以上 (平均約7千円ほど) |
[特徴] | ・漆箱 |
[用途] | ・通夜や葬儀 ・近しい故人の訃報 ・特別な法要 (四十九日法要など) |
お線香にはさまざまな種類があり、高級なものでは「香木(こうぼく)」などもあるでしょう。
コーヒーやお茶など、故人が生前に好きだったカジュアルな香りを贈りたい場合には、ギフト線香と香典を一緒に持参する方法もあります。
・贈答用線香の選び方、送り方マナーとは?お線香を送る意味、香りでお悔やみを伝える方法
ミニ寸や少煙タイプの進物線香
◇現代の暮らしや住宅事情に配慮した進物線香が増えました
かつてはお線香が短い「ミニ寸(ミニすん)」や、煙の少ない少煙タイプはカジュアルなお線香と捉えられていました。
けれども現代では先方の環境に配慮して、進物線香でも、ミニ寸や少煙タイプが好まれるようになりました。
<環境に配慮して選ぶ進物線香> | |
[お線香のタイプ] | [用途] |
①ミニ寸のお線香 ・約7cm~9cm前後の短いお線香 ※燃焼時間…約10分~15分 |
・忙しい家庭 ・コンパクト仏壇 |
②少煙 ・煙が少ないお線香 ※燃焼時間…約20分ほど (一般的なお線香の場合) |
・マンション住まい ・リビングのお仏壇 |
全国的に浄土真宗以外では、お線香を折って供えることをあまり良しとしないため、最初から寸法が短いミニ寸は、忙しい家庭での毎朝の供養に最適です。
お線香の長さで分けた種類
◇一般的には短寸(たんすん)のお線香を贈ります
ちなみに、お線香にはミニ寸の他、一般的な短寸(たんすん)、かつてはお通夜で一晩中お線香を焚くために重宝した、長尺寸(ちょうじゃくすん)などがあります。
<環境に配慮して選ぶ進物線香> |
||
[お線香の種類] | [特徴] | [用途] |
①ミニ寸 (ミニすん) |
●約7cm~9cm ・約10分~15分燃焼 |
●忙しい家庭 ・コンパクト仏壇 |
②短寸 (たんすん) |
●約13cm~15cm ・約25分~40分ほど燃焼 (少煙タイプは約20分ほど) |
●一般的な家庭 ・一般的な仏壇 |
③長尺寸 (ちょうじゃくすん) |
●約25cm~70cm ・約60分~7時間燃焼 |
●昔の通夜 ・寺院で使用 |
その昔、お通夜では夜通しご遺体の傍でお線香を焚いていたため、しばしば蚊取り線香のような形状の「長尺寸」が一般家庭でも使用されていました。
沖縄でも「ユートゥージ(夜通し)」と言って、夜通し故人の傍でお線香の番をするお通夜を執り行ってきましたが、現代ではほとんど残っていません。
そのため基本的に長尺寸は寺院で使用されるくらいです。
進物線香を送るタイミング
◇進物線香は送る目的によりタイミングも変わります
冒頭でお伝えしたように、進物線香は仏教で仏様が香りをいただくとする「香食(こうじき)」の教えに基づいて、故人へ贈るものです。
そのため毎月の命日でも、いつでも贈る、手土産として持参できますが、主に通夜や葬儀、主要な法要に参列できない時に送るケースが多いでしょう。
香典代わりに進物線香を持参・送ることが多いですが、進物線香と香典を合わせることもあります。
・通夜や葬儀
・法要
・故人の祥月命日(命日)
・初盆、初彼岸
・ご自宅への弔問
・喪中ハガキを受けた
「祥月命日」とは、故人が亡くなった月・日が同じ日を指し、一年後であれば一周忌です。
通夜や葬儀、法要や年中行事に合わせて進物線香を送る場合、目的に合わせたタイミングに配慮します。
①通夜や葬儀に送る進物線香
◇進物線香を葬儀に郵送するならば、前日の到着が適切です
進物線香を郵送する場合、目的によって適したタイミングは異なります。
ただ僧侶をお呼びして読経供養を執り行う通夜や葬儀、法要(法事)の場合、御仏前に供物を供えることも多いため、前日には届くよう手配すると良いでしょう。
●葬儀前日、少なくとも葬儀の1時間前には届いていなければなりません。
…それを過ぎた場合、葬儀後~四十九日法要の忌中までに、ご自宅へ送りましょう。
近年、葬儀に送る進物線香は弔電とともに贈られることが増えました。
弔電サービスでは、弔電とともに供花や進物線香などを添えることができるため、確認してみてはいかがでしょうか。
②法事(法要)に送る進物線香
◇法事(法要)の前日に到着するよう、手配します
法事(法要)を目的に進物線香を送る場合、法事(法要)の前日に到着するよう手配します。
年中行事でも、初盆や初彼岸などで僧侶をお呼びして読経供養を行う法要が伴う場合、一般的な法要(法事)と同様に、前日に届くようにしましょう。
一方、法事(法要)の御案内状を受けて欠席をする時には、すぐに欠席の連絡は済ませるようにしてください。
・沖縄の「スーコー」とは?独自の御願文化を持つ沖縄では、どのように故人を供養するの?
③年中行事に送る進物線香
◇お彼岸や旧盆に送る進物線香は、1週間前までに送ります
お彼岸や旧盆など、年中行事に実家に帰省できない場合、代わりに進物線香を送る時には約2週間、短くても約1週間ほど前には届いていると丁寧です。
沖縄の場合、旧盆にはナカビ(中日)にお中元として、手土産を持参しますよね。
このお中元の手土産代わりに進物線香を持参しても良いです。
沖縄で旧盆に持参するお中元は、約千円~3千円と、相場が安くなります。
④喪中ハガキ後に送る進物線香
◇喪中ハガキを受けた進物線香は、12月中旬までに送ります
喪中ハガキは通常、世間が年賀状の準備を始める12月初旬までに送られますから、届いたらすぐに手配をすると良いでしょう。
●そのため喪中ハガキが届く11月下旬~12月中旬が、進物線香を送る目安です。
丁度お歳暮時期と重なりますが、先方は喪中になるため「喪中見舞い」の表書きで進物線香を送ります。
喪中ハガキで訃報を知った場合には、お悔やみの手紙を添えて送りましょう。
⑤手土産で進物線香を持参する
◇手土産で進物線香を持参する場合、紙袋に入れて持ち運びます
通夜や葬儀、法事(法要)などで進物線香を持参することも失礼にはあたりません。
香典代わりに進物線香を持参しても良いですし、香典とともに進物線香を持参することもあるでしょう。
●この場合、そのまま持ち歩かずに、かならず紙袋に入れて持参します。
…通夜や葬儀に参列できず、ご自宅へ弔問する場合には、四十九日法要までが目安です。
また通夜や葬儀、法事(法要)で御仏前に供えることもあるため、誰からの供物かがわかるよう、掛け紙は外紙で整えると親切です。
香典と進物線香を一緒に持参する場合、先方の負担にならぬよう、両方合わせて香典相場になるよう、進物線香は金額を調整することをおすすめします。
もしくは進物線香に添えた手紙に「香典返しは辞退させていただきます」の一文を添えると良いでしょう。
進物線香の梱包マナー
◇進物線香はお店の人が整えてくれます
進物線香は仏壇仏具店の他、百貨店やデパートなどでも購入できるでしょう。
また近年では、ネットでも弔事用の進物線香が販売されるようになりました。
前述したように、急ぎの通夜や葬儀では、お悔やみ電報(弔電)とともに進物線香を送るサービスもあります。
①進物線香の掛け紙
◇内紙は、より深く弔意を込めた供物とされます
進物線香を購入すると、「内紙ですか?外紙ですか?」と聞かれますが、これは包装紙の上から掛け紙を掛けるか、包装紙の下に掛け紙を掛けるか、の違いです。
「供物ののし紙マナーは?」との相談も多いですが、弔事では正式にはのし紙ではなく、掛け紙を掛けるので注意をしてください。
そもそも「熨斗(のし)」はお祝いの品に添える、めでたいアワビ貝を薄くのして干したものが由来となった風習なので、弔事には用いません。
<進物線香の掛け紙マナー> | |
[マナー] | [区分け] |
①掛け紙とのし紙 | |
●掛け紙 | ・白い紙を掛ける ・弔事 |
●のし紙 | ・お祝いの熨斗(のし)がある ・慶事 |
②内紙と外紙 | |
●内紙 | ・包装紙の内側に掛ける ・自宅への弔問など |
●外紙 | ・包装紙の外側に掛ける ・葬儀や法要など (供物として供える) |
通夜や葬儀、法要などで供物として御霊前(御仏前)に供える場合、誰からの供物かが分かりやすいよう配慮して、掛け紙は外紙で整えます。
一方、命日や自宅への弔問など、個人的な場で進物線香を贈る場合、誰からの供物かはすぐに分かるため、内紙で整えることが多いです。
内紙で整えることで、より深い弔意が伝わると言われてきました。
②進物線香の墨
◇進物線香の表書きは、墨を使用します
進物線香は香典同様、墨を用いて書きますが、筆ペンなどでも問題はありません。
デパートやネットで進物線香を購入した場合、表書きを記入する「名入れ」を依頼することができるでしょう。
①四十九日前(忌中)…薄墨
②四十九日後(忌明け)…黒墨
進物線香の表書きは、お渡しする時期で筆色が変わります。
故人が亡くなって間もない四十九日までの忌中は、涙で墨がにじむとして、薄墨で記入するのがマナーです。
筆ペンでも黒墨と薄墨、両方に対応するタイプが販売されています。
③進物線香の水引
◇白×黒、もしくは双銀の水引です
進物線香を贈る際、進物線香の水引は白×黒、もしくは双銀が一般的な水引となります。
また水引は進物線香の金額によって、印刷か水引を掛けるか、変わってくるでしょう。
<進物線香の水引> | |
①約3千円以下 | …印刷された水引 |
③約3千円以上 | …水引を掛ける |
水引は香典で選ぶ不祝儀袋と同様、金額に合わせるのがマナーです。
そのため例えば2千円台の進物線香に、別に本数が多く豪華な水引を掛けると、違和感が生じます。
③進物線香の表書き
◇「御供」「御供物」は広く利用できます
進物線香の表書きは目的や時期により、さまざまな表書きに分かれますが、どのようなケースでも広く安心して使用できる表書きが、「御供」「御供物」です。
また進物線香はお線香なので、「御香」と書いても良いでしょう。
その他の表書きについては、下記の表を参考にしてください。
<目的別、進物線香の表書き> | |
[目的] | [表書き] |
①四十九日前 (通夜、葬儀) |
●薄墨で記入 ・御霊前 |
②四十九日後 (法要) |
●黒墨で記入 ・御仏前 |
③年忌法要 | ・御供 ・御仏前 |
④喪中ハガキ後 | ・喪中御見舞 |
⑤初盆 | ・初盆御見舞 ・初盆之御供 |
沖縄では故人が亡くなって初めて迎えるお盆を「初盆」としますが、全国的には「新盆」と呼ぶ地域もありますので、この場合には表書きも「新盆御見舞」もしくは「新盆之御供」とすると良いでしょう。
また初彼岸に僧侶をお呼びして法要を執り行う家もありますよね。
この場合に進物線香を贈る場合には、一般的には「御供」が表書きです。
④送り主の書き方
◇表書きの下に、贈り主を記入します
送り主は中央表書きの下部分、水引の下に送り主の氏名を記入するのがマナーです。
「あまり目立たないように」と思うならば内紙で準備をすると良いでしょう。
<送り主の書き方> | |
[目的] | [表書き] |
①個人 | ・中央、水引の下に氏名を記入 |
②夫婦 | ・中央に夫の氏名 ・左隣りに妻の名前 (名前部分の高さを合わせる) |
③複数 | ・右側から上座 ・左側へ並べる ・最も左側に記入者の氏名 |
④多数 | ・「○○一同」と中央に記入 ・別紙に個々の氏名を記入 (右側が上座) |
多数で供物を贈るケースは、同じ部署や同好会などがありますが、「経理部一同」「○○同好会有志」などのように、水引の下部分、中央に記載して、別紙に個々の氏名を書いて添えます。
進物線香を持参する場合
◇進物線香は紙袋に入れて持参します
進物線香を持参する時には、紙袋に入れて持ち運び、お渡しする時に紙袋から出してから、「御仏前にお供えしてください。」とひと言添えて、両手でお渡ししましょう。
玄関先でお渡しする際には、紙袋のままお渡ししても失礼にはあたりません。
先方で仏間に通された時には、「御仏前に供えさせていただいても良いでしょうか?」などと、ひと言お断りをした後、お仏前にお供えをしましょう。
①お仏壇に供えるマナー
◇お仏壇にはお線香をあげてから、進物線香を供えます
全国的には先方の仏教宗派に合わせたお線香のあげ方に合わせると丁寧です。
お線香はまずロウソクに火を灯し、ロウソクの火からお線香に供えます。
お線香の火を消す際は、口で吹き消すことは「口は穢れ」とされるためタブーです。
手で仰いだり、お線香をシュッと斜めに引く、仏具の火消しを利用して消してください。
<お仏壇に供物を供える> | |
①ひと言お断りをする 「御仏前に供えさせていただきます」 |
|
②ロウソクに火を灯す | |
③お線香に火を灯す (ロウソクの火から灯す) |
|
④お線香の火を消す (手で仰ぐなど) |
|
⑤ウコール(香炉)に供える ・浄土真宗…寝かせる ・その他の宗派(沖縄)…中央に立てる |
|
⑥お倫(おりん)を鳴らす (1回鳴らす) |
|
⑦数珠を掛けて合掌する (親指と人差し指の間) |
|
⑧遺影に向かい一礼する | |
⑨進物線香を御仏前に供える | |
⑩ご遺族を向き一礼する (座布団から下りてご遺族へ一礼) |
沖縄で旧盆のお中元代わりに進物線香を供える場合、供えた後にあの世のお金「ウチカビ(打ち紙)」を3枚、乗せる地域もあります。
反対にお仏壇のある家で旧盆に進物線香が届いた場合、御仏前にウチカビ(打ち紙)とともに供えた後、最終日にウチカビ(打ち紙)を一緒に焚きましょう。
②お線香を供える本数
◇沖縄線香「ヒラウコー(平御香)」は、サンブンウコー(三本御香)です
お線香に供える時は、祖霊信仰が根付く沖縄では先祖代々位牌「トートーメー」を中心としたお仏壇となり、お線香は「サンブンウコー(三本御香)」です。
沖縄線香「ヒラウコー(平御香)」なら半分に折った半ヒラ(1/2片)、日本線香では3本を供えるとされます。
<仏教宗派で違う、お線香の本数> | |
[宗派] | [お線香の本数] |
●沖縄 (祖霊信仰) |
[サンブンウコー(三本御香)] ・日本線香…3本、もしくは1本 ・沖縄線香…半ヒラ(半分) |
●臨済宗 ・曹洞宗 ・日蓮宗 |
・1本 ・香炉の中央に立てる |
●浄土宗 | ・1本~3本 ・香炉の中央に立てる |
●浄土真宗 ・真宗大谷派 |
●1本を2つに折る ①1本を2つに折る ②火を灯す ③寝かせて置く (火は香炉の左側) |
●真言宗 ・天台宗 |
●3本 ①火を灯す ②1本を自分側に立てる ③2本を仏壇側に立てる ④逆三角形の形で供える |
沖縄では基本的に日本線香3本分「サンブンウコー(三本御香)」を供えれば良いです。
全国の仏教宗派に基づいたお仏壇で、先方の宗旨宗派が分からない場合には、基本的にお線香を1本、香炉の中央に立てて供えます。
全国的な仏教宗派については、下記コラムをご参照ください。
まとめ:進物線香とは、贈るお線香です
「進物線香(しんもつせんこう)」とは、日常的に使用するものではなく、人へ贈るためのお線香を指します。
進物線香は香典代わりに通夜や葬儀で持参したり、通夜や葬儀・法要などに参列できない時、供物として香典代わりに送ることが多いです。
香典も郵送することができますが、現金を入れるため現金書留で送ります。
現金書留を送ることに抵抗を感じる人もいるため、香典代わりに選ばれたり、「故人への供物」として進物線香が選ばれます。
進物線香を郵送する時には、ひと言手紙を添えて送ると良いでしょう。
添える手紙に適したお悔やみの言葉や例文は、書きコラムをご参照ください。
・喪中ハガキが届いたら贈答用お線香を送るのは良い?家族葬では?送るマナーやメッセージ