【沖縄の旧暦行事】2023年の十五夜はいつ?お供え物「フチャギ」とは?作り方拝み方

2023.06.11
【沖縄の旧暦行事】2023年の十五夜はいつ?お供え物「フチャギ」とは?作り方拝み方

沖縄で旧暦8月15日は「十五夜(ジューグヤ)」です。集落では大綱引き行事が有名ですが、家庭では「フチャギムチ」と呼ばれるおもちをお供えするでしょう。本記事では、家庭での十五夜拝みの仕方や、フチャギムチの作り方や供え方、拝み方を解説します。

・沖縄の旧暦行事「十五夜」とは?
・沖縄の十五夜はいつ?
・沖縄の十五夜でのお供え物「フチャギ」とは?

旧暦行事が盛んな沖縄で旧暦8月15日は「十五夜(ジューグヤ)」、お月様を愛でて拝む「月拝み(チチウガミ)」を行います。

集落では大綱引き行事が有名ですが、沖縄の家庭では十五夜に「フチャギムチ」と呼ばれるおもちをお供えするでしょう。

本記事を読むことで、沖縄の家庭で行う十五夜拝みの仕方や、お供え物「フチャギムチ」とは、作り方や供え方、拝み方が分かりますので、どうぞ最後までお読みください。
 

沖縄の旧暦行事「十五夜」とは?

沖縄の旧暦行事「十五夜」とは?
◇沖縄の「十五夜(ジューグヤ)」は、旧暦8月15日に行われる月拝みです
…2023年、沖縄の十五夜は9月29日(金)になります。

沖縄の旧暦行事「十五夜(ジューグヤ)」は、全国的なお月見と同じように、お月様へ日ごろのお見守りへの感謝を捧げる「月拝み(チチウガミ)」でした。

また旧暦8月15日頃はお米の収穫時期でもあるため、お月様に豊作を感謝する農耕儀礼でもあります。
 

<沖縄の「十五夜」とは>
[家庭内での拝み] ●ウチチウグァン
(お月御願)
・家族の健康、子孫繁栄祈願
・お月さまを愛でる
・フチャギムチを供える
[集落での拝み] ●ジューグヤーウイミ
(十五夜折目)
・農作物の豊作祭
・来年は豊作か不作かを占う
[集落での奉納行事] ●ウチチウマチー
(月お祭り)
・大綱引き
・角力(相撲)大会
・八月踊り
・ハチグァッチアシビー(八月遊び)
…など

 
詳しくは後述しますが、「フチャギムチ」とは、沖縄のもち粉で作ったおもちに小豆をまぶしたもので、小豆は子どもを表し、小豆が多くまぶされていると、子孫繁栄に繋がるとされました。
 

 

昔の沖縄の十五夜とは

昔の沖縄の十五夜とは
◇琉球王朝時代の沖縄では、ノロが殿内にて月拝みをしたと言います

現代に残るものは、北谷町のノロ(祝女)殿内での伝承です。旧暦8月15日、沖縄の十五夜では、フチャギムチを供えて拝みを捧げました。
 

<琉球王朝時代、沖縄の十五夜>
●ノロ(祝女)殿内の庭にて
・フチャギムチ
・豆
・麦
・米

 
また前項で沖縄の十五夜では「来年の豊作・不作を占う」としましたが、これも昔の慣わしと言えるでしょう。

琉球王朝時代の沖縄では、十五夜にお月さまの状態を見て、豊作・不作を占ってきました。
 

沖縄の十五夜:家庭でのお供え

沖縄の十五夜:家庭でのお供え
◇沖縄では十五夜に、「フチャギムチ」を供えてきました

昔から沖縄では十五夜の拝みは豊作への感謝や、家の繁栄を祈願してきましたが、それととも、家族ひとりひとりが願い事をお月様に伝える日でもあります。

そこで沖縄の十五夜では、家族それぞれが自由に願い事をしながら、下記3箇所にフチャギムチを供えてきました。
 

<沖縄の十五夜:供える場所>
・ヒヌカン(火の神様)
・お仏壇
・トゥクヌカミ(床の間)
(現代はリビングでも良い)

 
「トゥクヌカミ」とは漢字で書くと「床の神」で、床の間に鎮座される神様です。
けれども現代の住まいには、そもそも床の間がない家庭も多いでしょう。
そのためリビングのテレビ脇など、供えやすい場所に供える家庭が増えました。
 

 

ヒヌカンへのお供え物

沖縄の十五夜では、フチャギムチを供えます
◇ヒヌカンには、フチャギムチをお皿に盛って供えるのみです

ヒヌカンは神様ですので、日ごろのお供えに、お皿に盛りつけたフチャギムチを供えるのみ、お箸は添えません。
 

<沖縄の十五夜:ヒヌカンへのお供え物>
[日ごろのお供え物] ・ウサク(お酒)
・ミジティー(お水)
・マース(お塩)
・供え葉(チャーギなど)
[十五夜のお供え物] フチャギムチ
[お線香] ●ジュウゴフンウコー(十五本御香)
日本線香…15本もしくは5本
ヒラウコー(沖縄線香)…タヒラ半(2枚半)

 
ヒヌカンは主に台所を担う家族が、日々お世話をしていることでしょう。
その昔は妻・母と言った家の女性でしたが、現代は主に台所を担う家族であれば問題はありません。

ただ、お世話をする家族がヒヌカンへの拝みを担当し、その他の家族は極力触れないとされてきました。
 

 

お仏壇へのお供え物


◇お仏壇もフチャギムチのみですが、お箸を添えて供えます

お仏壇もヒヌカンと同じく、フチャギムチを供えれば良いのですが、ご先祖様へのお供えであるお仏壇には、お箸を添える点が違いです。
 

<沖縄の十五夜:お仏壇へのお供え物>
[日ごろのお供え物] ・ウチャトゥ(お茶)
・ウサク(お酒)
・供え花
[十五夜のお供え物] フチャギムチ
※お箸を添える
[お線香] ●ジュウニフンウコー(十二本御香)
日本線香…12本もしくは4本
ヒラウコー(沖縄線香)…タヒラ(2枚)

 
先祖代々位牌「トートーメー」など、複数のご先祖様を祀っている場合には、フチャギムチも複数盛り付け、お箸も複数膳を添えましょう。
 

 

トゥクヌカミへのお供え物

◇トゥクヌカミへのお供え物は、基本的にヒヌカンと同じです

トゥクヌカミ(床の神)もヒヌカン(火の神)も、基本的に供え方は同じで問題はありません。
 

<沖縄の十五夜:トゥクヌカミへのお供え物>
[日ごろのお供え物] ・ウサク(お酒)
・ミジティー(お水)
・マース(お塩)
・供え葉(チャーギなど)
[十五夜のお供え物] フチャギムチ
[お線香] ●ジュウゴフンウコー(十五本御香)
日本線香…15本もしくは5本
ヒラウコー(沖縄線香)…タヒラ半(2枚半)

 
ただしヒヌカンが台所を担う者が供えるのに対して、トゥクヌカミは一家を経済的に支える大黒柱が「家長」として供えます。

戸籍上の世帯主でも良いですし、最も年齢が高い家族でも良いでしょう。
現世利益の神様なので、家計を助けるとされます。
 

沖縄での十五夜のグイス(拝み言葉)

沖縄のお彼岸は家拝み(イエウガミ)が基本です
◇家付きのユタさんがいない現代は、それぞれの言葉で自由に拝んで構いません

現代の沖縄では十五夜に、ユタさんなどの「神女」を呼んで儀礼を行う家はほとんどないでしょう。

そのため「正式なグイス(祝詞)を唱えなければならない!」と緊張する必要はありません。
それぞれの言葉で心を込めてお話をすしてください。

ただ参考として、どのような事柄を祈ってきたか、沖縄で今も残る十五夜の拝み言葉の一例をお伝えします。
 

<沖縄に残る十五夜の拝み言葉>
「ウートゥートゥー ヒヌカンヌウカミガナシー、
(あな尊い ヒヌカンの神様)

チューヤ、ハチグァッチヌ ジューグヤー ディビル
(本日 八月の十五夜の日になりました。)

クマカラ フチャギヌムチ アギャビトゥーティ シディガフゥ アギトゥーリビーグトゥ
(こちらからフチャギムチをお供えいたしますので)

ウキトゥイジュラスァー ウタビミスーリー。
(受け取ってくださいませ。)

クリカラン ヤーグナームル、ミーマンティー クィミスーチー、
(これからもこの家を見守ってくださり、)

カラダガンジュー シスンハンジョーシミティー、ウタビミスーリー。
(体も丈夫に子孫繁栄しまうように。)

ウートゥートゥー。
(あな尊い)」

 
…沖縄の十五夜では、このような言葉をお月様へ伝えてきました。
現代、集まった家族はそれぞれ自由に願い事をお願いしたり、家族それぞれの願い事をするようになっています。
 

沖縄の十五夜:フチャギムチとは?

沖縄の十五夜では、フチャギムチを供えます
◇沖縄の十五夜で供える「フチャギムチ」とは、もちに小豆をまぶしたものです

フチャギムチは簡単で、もちに小豆をまぶしただけのものとなりますが、沖縄のおもちはもち粉やだんご粉を使用する点が違います。
 

<沖縄の十五夜でフチャギムチを供える理由>
・もち…お月さま、満月、守護神
・小豆…星、雲、子ども

 
とてもロマンティックですよね。
ただ、もちに小豆をまぶしているので、甘い印象がありますが、昔ながらのフチャギムチは甘く煮ないため甘さはなかったのです。

現代はお砂糖を加えて甘いフチャギムチを作る家庭も見受けます。
 

フチャギムチの作り方

フチャギムチの作り方
◇沖縄のスーパーで販売されるもち粉やだんご粉で作ります

多くはスーパーなどで販売されている「もち粉」や「だんご粉」を使い、適度な柔らかさになるまで水と混ぜて茹でたお餅を使います。
 

<フチャギムチの作り方>
●小豆作り (1)小豆を処理する  ・小豆を目の部分から洗う
・たっぷりのお水で茹でる
・強火で沸騰させる
・中火にして10分ほど
  (2)小豆の渋切り ・アクを取る
・ざるに取る
・軽く水洗い
  (3)小豆を茹でる ・たっぷりのお水で茹でる
・アクを取る
・落し蓋で30分ほどおく
  (4)茹でた小豆を潰す ・軽くすり潰す
(あまり潰し切らないように)
●もち作り (5)もち粉に水を入れる ・もち粉に水を入れる
(だんご粉でも良し)
  (6)もちのタネをこねる ・混ぜ、こね合わせる
(耳たぶほどの固さ)
  (7)おもちの成形 ・縦長の切り餅のような形
  (8)おもちを茹でる ・たっぷりのお湯を沸騰
・おもちを投入する
  (9)おもちをすくう ・ぷっかり浮かんだらすくう
●完成! (10)小豆をまぶす ・おもちをバットに取る
  ・小豆をおもちにまぶして完成!

 
もちろん、普通のおもちでも問題はありません。

前述したように、昔ながらのフチャギは砂糖も入っていません。
甘い食べ物ではないため、お砂糖で味付けをしても良いでしょう。
 

沖縄の十五夜では、フチャギムチを供えます

沖縄の十五夜:フチャギムチとは?
沖縄の十五夜は旧暦8月15日、2023年は9月29日(金)です。
旧暦で数えますから、毎年日にちが違うので注意をしてください。

ウチチウマチー(お月お祭り)としての集落行事は、糸満市などで現代も大綱引きや角力(相撲)大会が盛大に行われています。

ただなかには、平日を避けるため旧暦8月15日の後、最初に訪れる日曜日をウチチウマチー(お月お祭り)とする集落もあるでしょう。
お出掛けの際には、予めそれぞれの集落でのスケジュールを確認してください。
 

 


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