【屋敷の御願とは】6柱10か所の拝み方と現代のやり方を全解説|旧暦12月24日・春彼岸・秋彼岸

【屋敷の御願とは】6柱10か所の拝み方と現代のやり方を全解説|旧暦12月24日・春彼岸・秋彼岸

2025.12.16

沖縄に伝わる「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」を解説。家を守る6柱10か所の神々、順番、お供え物、そしてマンションなど現代住宅で行う簡易版まで網羅します。春彼岸・秋彼岸・旧暦12月24日の年3回の違いも整理し、初めてでも進められる内容です。

沖縄では、お彼岸や旧暦12月24日の時期になると、自宅を守護する神々へ感謝を伝える「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」が行われてきました。屋敷の御願は、家の四隅や門、台所、トイレなど、6柱10か所の神々へ巡拝する伝統的な拝みで、家族の一年の無事や厄除けを祈る大切な行事です。

本記事では、屋敷の御願の意味、6柱の神々の役割、拝む順番、準備するお供え物から、マンションなどの現代住宅で行う“1柱だけの簡易版”まで、基本を一つずつわかりやすく解説します。

さらに、春彼岸・秋彼岸・旧暦12月24日の年3回行われる理由と違いも整理していますので、初めての方でも安心して屋敷の御願を進められる内容です。

沖縄で古くから行われてきた「屋敷の御願」は、家の四方や門、台所などを守護する神々へ、日頃の感謝と無事を祈るための拝みです。まずは、この行事がどのような意味を持ち、なぜ年に数回行われてきたのかを整理しておくと理解しやすくなるでしょう。

屋敷の御願は、昔から家の内外に宿ると考えられてきた6柱の神々へ、家族が無事に暮らせたことへの感謝を伝える行事です。沖縄では、家そのものが神聖な場として捉えられ、四隅・門・台所・トイレなど、それぞれの場所を守護する神々がいると信じられていました。

屋敷の御願では、こうした神々の一柱ずつに向き合い、感謝を伝えるとともに、これからの家内安全や厄除けを祈願します。大切なのは、特別な願い事をする行事ではなく、「いつも見守っていただいていることへの報告と感謝」が中心にある点です。

屋敷の御願は、家庭や地域によって回数が異なりますが、一般的には年に2回または3回行われてきました。時期にはそれぞれ意味があり、どれも家族の暮らしと密接に関わっています。

まず年2回型は、
●春のお彼岸(1年の祈願を立てる時期)
●旧暦12月24日(1年の感謝を捧げる時期)
この2つを中心に行う家庭が多い傾向です。

一方、年3回型では、
●春のお彼岸(1年の祈願を立てる時期)
●旧暦12月24日(1年の感謝を捧げる時期)
●秋のお彼岸(上半期の無事を報告する時期)
が加わり、春・秋・旧暦12月24日の三度行います。

いずれの家庭でも共通しているのは、「1年の始まり・途中・締めくくり」の節目に、家族の無事と神々への感謝を伝えるという考え方です。屋敷の御願は、季節ごとに家の状態を整える役割も持ち、暮らしに寄り添う拝みとして続けられてきました。

屋敷の御願では、家の四隅や門、台所、トイレなどを守護する6柱の神々へ、一柱ずつ巡拝して感謝を伝えます。6柱でありながら拝み処が10か所になるのは、四隅の神様が四つの方角に分かれて鎮座しているためです。

特に「四隅の神」や「門の神」「豚便所の神」は左右・四方に分かれて見守るとされるため、拝み処が合計10か所になります。
それぞれの場所には意味があり、家族が日々を無事に過ごせるよう、悪しき気や不浄を祓い、守護の結界を張ってきたと考えられてきました。

屋敷の御願では、この6柱を順番に巡ることで「家を一周し、全方向から守りを固める」意味を持ちます。家がひとつの“宇宙”のように捉えられ、全体を調える拝みとして続いてきました。

ヒヌカンは台所に祀られ、家族の食を守り、生計を支える「クェーブン(食運)」の神様とされてきました。また、神々と家族をつなぐ“取り次ぎ役”でもあり、屋敷の御願では最初に拝むのが習わしです。

ヒヌカンに「これから屋敷の御願を行います」と伝えることで、6柱の神々へ取り次いでもらい、拝みの流れが整うとされています。現代の家庭でも、台所にヒヌカンを祀っている場合は最初に拝む形が一般的です。

ウヤフジガナシーは仏壇に祀られる祖霊神を指し、家を見守る大切な存在とされてきました。ただし、屋敷の御願で“6柱に数えるかどうか”は家によって異なります。ご先祖様を屋敷の神として巡拝する家もあれば、別行事として扱い拝まない家もあります。

共通しているのは、ご先祖様は「家族のルーツを守護する存在」という点です。仏壇のある家では、ヒヌカンに続いて拝む家庭が多く、日頃の見守りへの感謝を伝えます。

それぞれが四方から結界を張り、外から入り込む悪しき気や災いを防ぐ役割を担います。四隅に拝むことで、家を大きく包む守りの力が整うと考えられてきました。

地域によっては、四隅に加えて北東・北西・南東・南西の八方位を意識する家もありますが、屋敷の御願では基本的に東西南北の四隅を巡拝します。

外から侵入する災い・穢れ・良くない気を家の中に入れない役割を持ち、屋敷の出入り口を守護します。

実際の拝みでは、門の中央に向かって一か所で拝む家庭が多いですが、神様自体は左と右の二柱とされてきました。家の境界を守る要となる存在です。

フールヌカミは、かつて豚を飼っていた「豚便所」に由来する神様で、家のなかで最も不浄とされる場所を守護します。強い祓いの力を持ち、悪しき霊(ヤナカジ)や穢れた霊(シタナカジ)を押し出す存在とされてきました。

また、人の言葉による災い「口難(クチナン)」を祓う力を持つとされ、特別な願い事の時にフールヌカミだけを拝む家もあります。左右に分かれて鎮座するため、拝み処は一か所でも実際には二柱と考えられています。

ナカジンヌカミは家の中心(中芯)を守護する神様で、6柱の最後に拝む重要な存在です。屋敷全体をまとめ、他の神々への祈願を整えるとともに、天界の神々へ願いを届ける役割を持つとされてきました。

屋敷の御願の巡拝を締める神様として、最後に感謝と報告を捧げることで、拝みの一連が完了します。家の軸を支える存在として、現在の住宅でも大切に扱われています。

まとめ:沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願でジョウヌカミは4番目に拝みます

屋敷の御願には、家の外から入り込む厄や、年ごと・月ごとに巡る災いを祓い、家族が安心して暮らせるよう整える役割があります。沖縄では古くから、気の乱れや不浄が家に入り込むことで、運気や心身の調子に影響が出ると考えられてきました。

沖縄では、外から入り込む悪しき霊的な気を「ヤナカジ」遠方からやってくる穢れた気や悪疫を「シタナカジ」と呼び、どちらも家に入ると不調や不和を招くとされてきました。

 ●これらは日常の中では気づきにくく、家族の気持ちが乱れたり、人間関係に影響が出ることもあると考えられていました。

屋敷の御願では、四隅の神様や門の神様、豚便所の神様が中心となり、こうした厄災を外へ押し返す役割を果たします。特にフールヌカミ(豚便所の神)は強い祓いの力を持つとされ、口から出た悪い言葉が原因となる「口難(クチナン)」を祓う神様としても知られています。

沖縄では、家族それぞれの年齢によって厄の強弱が現れると考えられ、年の初めに拝むことで一年を清らかに整える習わしがありました。

屋敷の御願では、四隅や八方位に守護を持つユンシヌカミが、1年間の守りを固める役割を担います。春のお彼岸に行う「立て御願(タティウグァン)」が特に重要とされるのは、この年廻りの厄を祓う意味があるためです。

月の巡りに合わせて運気が変動すると考えられ、日常の拝みと深く関係してきました。
特にヒヌカンへ拝む旧暦1日と15日は、月廻りの厄に関わる大切な日とされます。

旧暦1日は「ウガンタティ(御願立て)」として、その月の始まりを整え、旧暦15日は「感謝の拝み」として、無事に過ごせたことをヒヌカンへ伝える日です。屋敷の御願では、この月の巡りの流れと重ね合わせながら、家全体を清らかに整える意味合いがあります。

屋敷の御願:ナカジンヌカミまでの流れ

屋敷の御願を行う日は、拝みの前に家を整えることが大切です。家の中や玄関、水場を清めておくことで、神々への拝みがよりスムーズに進み、気の流れも整うと考えられてきました。ここでは、拝み前に整えておきたいポイントをご紹介します。

屋敷の御願は、清らかな空間で神々をお迎えするため、前もって家全体を軽く掃除しておきます。特に玄関や水場は外からの厄がたまりやすいとされ、先にきれいにしておくことで、結界の流れが整うと考えられてきました。

掃除の際は、普段以上に「外へ流す」「外に吐き出す」気持ちで整えると良いとされています。玄関は内側から外へ向けて塵を掃き出し、水場は水を多めに流して汚れや気の停滞を取り除きましょう。

また、嫌な匂いや重い雰囲気がある箇所には、マース(塩)やウサク(お酒)を少量かけて清める家庭も多く見られます。

ただし、ヒヌカンの灰には日頃の記録が宿ると言われ、むやみに触れない方が良いとされてきました。そのため、掃除をする前に「今日は屋敷の御願なので、きれいにさせてください」とひと言伝えることが丁寧な作法です。

掃除は、香炉の周囲を軽く整え、灰が溢れている場合は少量だけ取り除く程度に留めます。あくまでも“整える”ことが目的で、灰をすべて入れ替える必要はありません。台所全体を清潔に保つことで、ヒヌカンへの拝みにも気持ちよく臨むことができるでしょう。

屋敷の御願では、6柱の神々へ決められた順番で巡拝していきます。家庭によって違いもありますが、順序にはそれぞれ意味があり、家の中心から始まり、外側へ、そして最後にまとめ役の神様へ戻ってくる流れになっています。ここでは基本の巡拝順を整理します。

屋敷の御願は、台所に祀られるヒヌカンへ最初に拝むところから始まります。

 ●ヒヌカンは、家族と神々をつなぐ「取り次ぎ」の役割を持つ神様
…「これから屋敷の御願を行います」と最初に伝えることで、6柱の神々へ拝みの準備を整えてもらうと考えられてきました。

この“取り次ぎ”こそが最初に拝む大きな理由であり、ヒヌカンへ丁寧にあいさつをしてから、家の内外を巡拝する流れが形作られています。現代でも、ヒヌカンを祀っている家ではこの順番が基本となります。

ご先祖様は家族のルーツを守る存在であり、日頃の感謝とともに屋敷の御願を行うことを伝える家庭が多いです。

ただし、ウヤフジガナシーを“屋敷の神”として数えない家もあり、仏壇がない家庭ではこの拝みを省略します。巡拝に含めるかどうかは家の考え方によって異なりますが、いずれの場合も、拝む順序を乱さずに進めることが大切とされています。

四隅へ拝むことで、家の大きな外郭に結界が張られ、外からの厄災を防ぐ意味を持ちます。巡拝の方向は季節で異なる家もあり、

 ●春のお彼岸は「北を起点に右回り」
 ●秋のお彼岸は「北を起点に左回り」

とする家庭が多く見られます。どちらも、季節の巡りや方位を意識した拝み方として続いてきた流れです。

門の神様は左右に二柱鎮座するとされますが、拝む際は門の中央に向かって一か所で拝む家庭が一般的です。

中央から拝む理由は、左右のジョウヌカミへ同時に思いを届けるためとされ、家の境界線をしっかり整える意味を持ちます。人や気の出入りが多い場所だからこそ、丁寧に拝むことが大切です。

家の中で最も不浄とされる場所を守護し、強い祓いの力を持つ神様として知られています。特に、人の言葉によって生じる災い「口難(クチナン)」を祓う役割を担うことから、特別な願い事がある時に単独で拝む家庭もあります。

拝む場所はトイレの入り口か便器の前のいずれかで、その家の習慣に合わせて行われます。屋敷全体の祓いを強める重要な拝み所のひとつです。

ナカジンヌカミは“まとめ役”ともいわれ、拝みの一連を整えて天へ届ける役割を持つ神様です。

屋敷の御願では、締めとしてナカジンヌカミへ感謝を伝え、その家の祈願を天界へ取り次いでもらうとされています。ここまで巡ってきた拝みがひとつに収まり、屋敷の御願全体が完結する大切な締めくくりです。

沖縄のお彼岸:マンションではどうする?

現在の住まいでは、昔のように門や庭、四隅が明確でない家も多く、従来どおりの屋敷の御願を行えない場合があります。こうした家庭では、住まいの構造に合わせて「1柱だけを拝む簡易版」が広く行われています。ここでは、現代の住宅事情に合わせた拝み方をご紹介します。

マンションや新築住宅では、昔ながらの6柱10か所を巡拝できないケースが増えています。

 ●そのため、近年は「1柱だけを拝むコンパクトな屋敷の御願」が一般的になりました。拝む柱は家庭によって異なり、家の状況や祈願内容に合わせて選びます。

簡易版であっても、神々へ日頃の感謝を伝え、家を整えるという本質は変わりません。ムリのない範囲で拝みやすい場所を選ぶことで、現代の暮らしにも取り入れやすい屋敷の御願になります。

玄関は家族や来客が必ず通る場所で、気の入口でもあるため、拝む場所として理にかなっています。

拝む際は、玄関にお供え物を整え、ウコール(香炉)に線香を立てて扉を開けた状態で拝みます。家の中心と外界をつなぐ地点として、トゥハシラヌカミに家内安全や厄除けを祈る形です。

台所が家の中心的役割を担う現代住宅では、最も拝みやすく、習慣として続けやすい方法です。

ヒヌカンに「本日は屋敷の御願を行います」と伝えることで、6柱の神々へも思いが届くとされます。忙しい家庭でも続けやすい拝み方として選ばれています。

特に、人間関係のトラブルや職場のストレスを抱えている時に、フールヌカミを拝む家庭も増えています。

拝む場所はトイレの入り口か便器の前で、家の気の流れを整える拝みとして行われます。マンションや新築住宅でも実践しやすく、現代的なニーズに合った拝み方です。

屋敷の御願は、季節の節目に合わせて行われる拝みで、時期ごとに役割が異なります。多くの家庭では、春のお彼岸・秋のお彼岸・旧暦12月24日の3回を中心に行い、それぞれ「立て御願」「中の願い」「一年の感謝」という意味を持ちます。ここでは、その違いを整理しておきましょう。

屋敷の御願ではタティウグァン(立て御願)と呼ばれます。この時期は、「今年一年が無事に過ごせますように」という祈願を立てる重要なタイミングです。

旧正月が明け、自然界の巡りが“明け”に向かう春は、家の気を整え、家族の運気を立ち上げる意味を持つとされてきました。昔は旧暦2月1日〜10日頃に拝む家もあり、一年の基盤づくりとして大切にされてきた行事です。

屋敷の御願ではナカヌニゲー(中の願い)と呼ばれます。ここでは、上半期を無事に過ごせたことを神々へ報告し、引き続き守護をお願いする意味があります。

季節の巡りが変わりやすい時期でもあるため、結界を整え直す意味もあり、「今の家の状態を確認する節目」として扱われてきました。春の立て御願に続く、中間の大切な拝みです。

屋敷の御願ではイチヌンヌシリガフー(一年の感謝)と呼ばれます。一年間を無事に過ごせたことを神々へ報告し、感謝を捧げる日として大切にされてきました。

この日は、ヒヌカンが天へ里帰りする「ヒヌカン送り(上天の拝み)」の日でもあるため、屋敷の御願の後に、

 ●ウグァンブトゥチ(御願解き)
 ●ヒヌカン送り

…と続く家庭が多いです。春に立てた祈願をいったん下げ、清らかな状態で旧正月を迎えるための節目となります。

屋敷の御願は年に数回の大きな拝みですが、沖縄では日常的な拝みを通して家の気を整え、神々とのつながりを大切にしてきました。ここでは、毎日の暮らしの中でできる基本的な拝みをご紹介します。

旧暦1日は「ウガンタティ(御願立て)」と呼ばれ、その月を無事に過ごせるよう家族の安全を祈願する日です。一方、旧暦15日は「感謝の拝み」とされ、ひと月を無事に過ごせたことを伝える節目となります。

ヒヌカンのお世話は、毎日水やお茶を替え、気持ちを込めて線香を供えるという、生活に根ざしたものです。こうした日常の拝みが積み重なることで、家の気が整い、屋敷の御願へもつながると考えられてきました。

ミジトゥ(お水)やウチャトゥ(お茶)、ウブク(仏飯)を整え、線香を供える一連の流れを続けることで、家族を見守る祖霊とのつながりが深まります。

この日常の拝みは「六種供養(ろくしゅくよう)」とも呼ばれ、感謝・反省・祈りを通して心を整える行いです。屋敷の御願の時期だけでなく、普段から家を整える気持ちを大切にすることが、沖縄の拝み文化の基盤となっています。

屋敷の御願は、家の内外を守る6柱の神々へ感謝を伝え、家族の無事を祈る大切な拝みです。昔ながらの平屋だけでなく、現代の住まいにも合わせながら、無理なく続けられる形へと変化してきました。

一年の節目に拝む春・秋のお彼岸、旧暦12月24日の御願は、家の気を整え、生活を見つめ直す機会にもつながります。日頃のヒヌカンや御仏前の拝みと組み合わせながら、今の暮らしに合った形で続けていくことが、屋敷の御願の本質といえるでしょう。

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