【沖縄の旧暦行事】旧正月前に行う、旧暦12月24日ヒヌカン送り「上天の拝み」とは?

2023.12.07
【沖縄の旧暦行事】旧正月前に行う、旧暦12月24日ヒヌカン送り「上天の拝み」とは?

2024年2月3日(土)、沖縄の旧暦12月24日は旧正月へ向けてヒヌカン(火の神)が里帰りをする日です。そこでヒヌカン(火の神)を祀る家では、上天の拝みでお見送りをします。本記事では「上天の拝み」のお供えものや行い方、拝み方が分かります。

・沖縄で旧暦12月24日、旧正月に向けて行うことは?
・沖縄旧暦12月24日の「上天の拝み」とは?
・上天の拝みの行い方は?

2024年2月3日(土)、沖縄の旧暦12月24日は旧正月へ向けてヒヌカン(火の神)が里帰りをする日です。
そこでヒヌカン(火の神)を祀る家では、上天の拝みでお見送りをします。

本記事を読むことで2024年2月3日(土)、沖縄の旧暦12月24日、旧正月に向けて行うヒヌカン(火の神)のお見送り「上天の拝み」のお供えものや行い方、拝み方が分かります。

沖縄で旧暦12月24日に行うことは?

沖縄で旧暦12月24日に行うことは?
◇沖縄では旧暦12月24日に、旧正月の年末行事があります

近年は新正月を祝っているため、簡単な掃き掃除で終わる家もあるでしょう。

ただ悪疫・悪霊「ヤナカジ・シタナカジ」を祓いのけ、歓迎しないもの「シジナランム」を追い祓うため、玄関先の掃き掃除だけは必ず行う家庭もあります。

掃除の後、沖縄で旧暦12月24日、2024年2月3日(土)に行うウグァン(御願)は下記3つです。

<沖縄で旧暦12月24日に行うこと>
[ウグァン(御願)] [行うこと]
①ヤシチヌウグァン
(屋敷の御願)
家を守る神々様を巡拝する
(6柱10か所)
②ウグァンブトゥチ
(御願解き)
・一年の祈願を下げる
・一年の安泰に感謝する
③上天の拝み ・ヒヌカン(火の神)のお見送り

ウグァンブトゥチ(御願解き)で、ヒヌカン(火の神)へ今年一年の御守護に感謝し、起きてしまった悪いことは請い下げるウグァン(御願)を行った後で、続けて上天の拝みへ移行する流れが多いでしょう。

 

①ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)

◇屋敷を守護する6柱の神様を巡拝します

沖縄の旧暦12月24日の年末に、旧正月へ向けて、今年一年屋敷を守ってきた神々様をひと柱・ひと柱巡拝します。

ヒヌカン(火の神)からお仏壇、トイレ、家の敷地四隅と6柱10か所を巡拝しますが、お供えものは基本的に同じなので、ビンシー(瓶子)などに整えて、そのまま回ると良いでしょう。

現代の間取りやマンション住宅では、玄関から外に向けて「トゥパシラヌカミ(戸柱の神)」のひと柱のみに拝む方法もあります。

 

②ウグァンブトゥチ(御願解き)

◇沖縄の旧正月へ向け、今年一年の祈願事を請い下げる拝みです

ヒヌカン(火の神)は年末年始にウティン(御天)へ里帰りをして、守護してきた家での一年の行いを報告する役割があります。

そこで祈願事「ウガンタティー(御願立て)」が叶っていれば感謝をして、起きてしまった悪いことに対しては、今後も重ねて起きないよう、請い下げます。

 

③上天の拝み

◇沖縄の旧正月に向け、里帰りをするヒヌカン(火の神)を見送ります

沖縄の旧暦12月24日、2024年2月3日(土)は、旧正月に向けてヒヌカン(火の神)が里帰りをする日です。

ヒヌカン(火の神様)上天の拝みでは、ヒヌカン(火の神)が、ウティン(御天)へ昇るのをお見送りします。

ウティン(御天)の神様へこの家の良き事をご報告いただきますよう、ヒヌカン(火の神)へ拝むと良いでしょう。

沖縄で旧暦12月24日の拝みはいつ行う?

沖縄で旧暦12月24日の拝みはいつ行う?
◇午前中、もしくは午前中と夕方に分ける家庭も多いです

沖縄では旧暦12月24日が旧正月に向けたウグァン(御願)の日とされる地域が多いものの、時間まで正確には決められていません。

一般的には大掃除から初めて、午前中に済ませてしまう家庭が多いでしょう。
ただ3つのウグァン(御願)があり、一連の儀式が長いため、午前中と夕方に分ける家も多いです。

<沖縄の旧暦12月24日:拝みはいつ行う?>
①午前中に全て行う
[午前中] ・煤払い(大掃除)
ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)
・ウグァンブトゥチ(御願解き)
②午前と午後に分ける
[午前中] ・煤払い(大掃除)
ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)
[夕方] ウグァンブトゥチ(御願解き)
・上天の拝み

ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)は家の敷地内を巡拝するため、他のウグァン(御願)とは拝み処が異なります。

お供えものも少しずつ違うため、ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)のみ午前中に行う家も多いでしょう。

けれどもウグァンブトゥチ(御願解き)と上天の拝みは、ひとつのウグァン(御願)として、続けて行う家がほとんどです。

沖縄の旧暦12月24日:上天の拝みのお供えもの

沖縄旧暦12月24日:ウグァンブトゥチ(御願解き)
◇沖縄の旧暦12月24日、上天の拝みでは花米と赤ウブク(赤飯)を供えます

沖縄の旧暦12月24日に行う一連の年末行事のなかでも、ウグァンブトゥチ(御願解き)と上天の拝みは、続けて行われる儀式です。
そのためお供えもの「ウサギムン」も、改めて供えることなく、そのまま続けます。

上記ウグァンブトゥチ(御願解き)のイラストを参考に揃えてみてください。

<沖縄旧暦12月24日:上天の拝みのお供えもの>
[お供えもの] [数・供え方]
①ウサク(お酒) ・瓶子(徳利)一対(左右二本)
・おちょこ(中央)
②花米(お米) ●アライミハナ(洗い花)
(水で七回すすいだお米)
・一対(左右2皿)
●カラミハナ(乾花)
(お米)
・1皿(カラミハナの中央)
③ウチャヌク ●もち粉のお餅、3段重ね
・3組
④赤ウブク(赤飯) ・3膳
⑤日々のお供えもの マース(盛り塩)
・ミジティ(お水)
・供え葉
(チャーギ、クロトンなど)
[お線香] ●ジュウゴフンウコー
(十五本御香)
日本線香…15本、もしくは5本
・ヒラウコー(平御香)…タヒラ半(2枚と半分)

シルカビを添えて、ウグァン(御願)の後にシルカビを焚くこともありますが、家庭によってさまざまです。

 

沖縄旧暦12月24日に、ビンシーは必要?

沖縄旧暦12月24日に、ビンシーは必要?
◇「ビンシー(瓶子)」とは、ウグァン(御願)のお供えものや呪具を入れる木箱です

沖縄では旧暦行事のウグァン(御願)で、「ビンシー(瓶子)」を多く用いますよね。
御嶽への拝みなど、特に屋外のウグァン(御願)で便利です。

基本的に祖霊神(ご先祖様)ではなく、ヒヌカン(火の神様)や御嶽など、神様への拝みで用いるよう、お供えスペースが調整されています。

<ビンシー(瓶子)とは?>
●そのままお供えできる、二段造りの木箱
[一段目] ・6つのの均等なスペース
・それぞれにお供えものを入れる
[二段目] ・必要な呪具を納める引き出し
(お線香、シルカビなど)

沖縄の旧暦12月24日は大掃除となる「煤払い」を済ませた流れで、ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)、ウグァンブトゥチ(御願解き)…と続きます。

そのため沖縄の御願道具となる、お供えものやお線香をしまって持ち歩く「ビンシー(瓶子)」に、一連のお供えものを整えて回る家も多いでしょう。

数千円するので必ずしも必要ではありませんが、毎年ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)を今後も行う予定なら、ひとつ購入しておくと便利かもしれません。

 

沖縄の旧暦12月24日:お線香の供え方

◇上天の拝みは、基本的にジュウゴフンウコー(十五本御香)です

沖縄の旧暦12月24日「上天の拝み」では、基本的にはジュウゴフンウコー(十五本御香)を供えて構いません。

<沖縄の旧暦12月24日:お線香の供え方>
●ジュウゴフンウコー(十五本御香)
日本線香…15本、もしくは5本
ヒラウコー(平御香)…タヒラ半(2枚と半分)

ジュウゴフンウコー(十五本御香)は、日本線香15本分、6本分を一枚板にしている沖縄線香「ヒラウコー(平御香)」では、2枚と半分です。

ただ「カバシウコー(香り御香)」と呼ばれる香りがする日本線香は、5本のみ供えることもあります。

コンパクトで小さなウコール(香炉)では、お線香の本数があまり多いと割れてしまうこともあるので、気になる時には日本線香5本に留めると良いでしょう。

お線香で階段を作り、お見送りする

◇上天の拝みでは、お線香で階段を作る地域もあります

一方、ヒヌカン(火の神様)がウティン(御天)へ昇りやすいよう、独特なお線香の供え方をする家も多いです。
お線香を3本ずつに訳、順番に火を灯すことで階段になります。

<沖縄の旧暦12月24日:お線香の階段>
①3本分ずつ、7組のお線香を準備
・日本線香…3本×7組、もしくは7本
・ヒラウコー(平御香)…半ヒラ(半分)を7組
②お線香3本分をウコール(香炉)の左端に立てる
・日本線香…3本まとめる、もしくは1本を左端に
・ヒラウコー(平御香)…半ヒラを左端も
③②の右側に次のひと組を供える
④③の右側に次のひと組を供える
⑤以上を7組目まで繰り返す
⑥お線香が階段状になる

ポイントは最初のひと組を右端に供えたら、残りの6組は手早く行い、最初のひと組目のお線香が燃え尽きてしまわないよう、配慮することです。

「ヒヌカン(火の神)が御天へ昇る階段」
「段々に煙が昇ることでヒヌカン(火の神様)の上天を助ける」

など、沖縄の旧暦12月24日に行うヒヌカン(火の神)上天の拝みでの、このお線香の供え方の意味は、さまざまな言い伝えがあります。

沖縄ではこの旧暦12月24日の「上天の拝み」の他、ヒヌカン(火の神)を迎える旧暦1月4日「下天の拝み」でのみ、見られるお線香の上げ方です。
他では見ないので、一度試してみても良いかもしれません。

沖縄旧暦12月24日:「上天の拝み」拝み言葉

沖縄のお彼岸で拝む「ヒヌカン」とは?
◇上天の拝みは、今年の悪いことは報告されぬよう、お願いします

沖縄の旧暦行事では、その昔、祭祀を司るユタやノロを中心に、沖縄言葉を用いたグイス(祝詞)を用いてウグァン(御願)を行ってきました。
けれども沖縄のグイス(祝詞)は、沖縄言葉であることも多いです。

それでも神に仕えたノロやユタであれば正しいグイス(祝詞)が必要かもしれませんが、一般家庭では昔から、その時代の言葉で拝まれています。

<「上天の拝み」で伝えること>
・今日の日が旧暦12月24日であること
・ウティン(御天)へ悪いことは報告されませんように
・家族みな、幸せに過ごしたことをご報告ください
・お帰りにはお土産を降ろしてください
・家族が健康、幸せであるようお守りください

このような事柄をお伝えします。
現代は「沖縄言葉は難しい」と感じる若い世代も多く「心を込めて伝えれば、現代の言葉でも構わない」とする家がほとんどです。

「上天の拝み」拝み言葉の一例

◇「ウートゥートゥー、ヒヌカンヌウカミガナシー」から始めましょう

「ウートゥートゥー、ヒヌカンヌウカミガナシー」は「あな尊き、ヒヌカンの神様よ」の意味で「ガナシー」は相手を敬う敬語です。

ウグァンブトゥチ(御願解き)のウグァン(御願)を終えたら、お供えものもそのまま、流れる形で上天の拝みに入ります。

<「上天の拝み」拝み言葉の一例>
ウートゥートゥー ヒヌカンヌウカミガナシー(あな尊き ヒヌカン様)、今日の良き日、12月24日でございます。どうぞヒヌカン様にはウティン(御天)へ戻られ、願い下げられた、悪いこと・穢れことは、ご報告くださいませんように。家庭円満・夫婦和合・親子和合・家内安泰で、健康に幸せに過ごしましたことをご報告ください。

またお戻りになる日は、クェーブー(食べる運)・フクトゥク(福徳)をともに降ろして下さり、家族みな健康で幸せに暮らせますよう、御守護くださいますように。

ウートゥートゥー(あな尊い)。」

ヒヌカン(火の神様)祭壇に祀られたウコール(香炉)は、ヒヌカン(火の神)の居場所である他、その家の日々の行いや出来事を記録しているとされてきました。

そのため上天の拝みでは、ウティン(御天)の神様へ「悪いことはご報告くださいませんように」「良き事柄のみを報告くださいますように」と拝みます。

まとめ:沖縄で旧暦12月24日はヒヌカン(火の神)をお見送りします

まとめ:沖縄のお彼岸で、ヒヌカンは最初に拝みます
沖縄の旧暦12月24日、2024年2月3日(土)に旧正月に向けて行う年末行事「上天の拝み」では、直前の「ウグァンブトゥチ(御願解き)」に続き、ウティン(御天)へ帰るヒヌカン(火の神)をお見送りします。

また、現代の沖縄では旧正月の年末行事をきっかけに、灰を購入して全く新しく、一からヒヌカン(火の神)を仕立てる人も見受けるようになりました。

日々ヒヌカン(火の神様)へ拝むことで、子どもも大人も「無条件に愛されている」「見守られているから大丈夫」など、根拠なき確信も生まれるとされます。

あまり深く考えずに、家族でちょっとしたイベントを楽しむつもりで、ヒヌカン(火の神)へ拝んでみるのも良いかもしれません。

 

まとめ

旧暦12月24日「上天の拝み」
●旧暦12月24日
・2024年2月3日(土)

●ヒヌカン(火の神)のお見送り
・ウグァンブトゥチ(御願解き)の後
・お供えものもまま初めて良い

●お線香
①ジュウゴフンウコー
(十五本御香)
②お線香の階段
・左から右へ3本1組
・7組を消えない内に供える

 


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