・沖縄のお彼岸で行う「屋敷の御願」とは?
・沖縄のお彼岸でユンシヌカミ(四隅の神)とは?
・沖縄のお彼岸で屋敷の御願の拝み方は?
沖縄ではお彼岸に屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)を行いますよね。
沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)では、家の方々に鎮座される、屋敷を守護する神々を巡拝します。
本記事では沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)、ユンシヌカミ(四隅の神)とはどのような神様か?役割や拝み処、お供え物や拝み方を解説します。
沖縄のお彼岸に行う「屋敷の御願」とは
◇沖縄ではお彼岸になると、家に感謝する「屋敷の御願」を行います
沖縄のお彼岸行事「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」とは、家や屋敷、そしてその家に住む家族を守護する神々様を巡拝する行事です。
屋敷の敷地内に鎮座し、家を守護する神々は合計6柱、拝み処は10か所となります。
これら10柱の神々を、沖縄では「屋敷の神(ヤシチヌカミ)」と呼んできました。
<沖縄のお彼岸に行う「屋敷の御願」とは> | |
[屋敷の神] (ヤシチヌカミ) |
・屋敷に住まう神々 ・各々の場所を守護 |
[役割] ●目に見えないものを退散 |
・ヤナカジ(悪鬼)を祓う ・シタナカジ(悪霊)の侵入を防ぐ ・クチナン(口難)、クチグトゥ(口事) |
●屋敷の守護 | ・屋敷に結界を張る ・屋敷内を浄化する |
●家族の守護 | ・家族を守護する ・家内安全 |
[目的] | ・日ごろの御守護に感謝を捧げる ・家族の健康を祈願する ・家や家族の繁栄を祈願する |
沖縄でお彼岸に屋敷の御願を行うのは、住む場所である屋敷が荒れると、さまざまな厄災や病気、なかでも不眠症になるとされてきたためです。
沖縄のお彼岸では屋敷の御願の前に、家じゅうを掃除します。
住みやすい屋敷にして神々へ感謝を捧げ、相性の良い「充電場所」を作るためです。
・【沖縄の風水】フンシ(風水)の良い家悪い家とは?フンシ(風水)の悪い家はどうする?
屋敷の神(ヤシチヌカミ)は何処?
◇屋敷の神(ヤシチヌカミ)は、敷地内の隅々に10柱います
沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で拝む拝み処は、6柱10か所です。
今回お伝えする「ユンシヌカミ(四隅の神)」は、東西南北の4柱に拝み処が分かれます。
<沖縄のお彼岸:屋敷の御願の神々> | |
[屋敷の神] | [いる場所] |
(1)ヒヌカン(火の神様) | ●台所 |
(2)カミ(祖霊神) | ●仏壇 |
(3)ユンシヌカミ(四隅の神) | ●敷地の東西南北 |
・ニヌファヌカミ(北の神) | ・敷地の北端 |
・ウヌファヌカミ(東の神) | ・敷地の東端 |
・ンマムファヌカミ(南の神) | ・敷地の南端 |
・トゥヌファヌカミ(西の神) | ・敷地の西端 |
(4)ウジョーヌカミ(門の神) | ●門 |
・ウジョーヒジャイ(門の左) | ・門の左側 |
・ウジョーニジリ(門の右) | ・門の右側 |
(5)フールヌカミ(トイレの神) | ●トイレ |
・フールヒジャイ(トイレの左) | ・トイレの左側 |
・フールニジリ(トイレの右) | ・トイレの右側 |
(6)ナカジンヌカミ(中陣の神) | ●敷地の中央 (玄関と門の中心ほど) |
ここで「仏壇」を沖縄のお彼岸で、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)に含めるかどうかは家や地域により判断がさまざまです。
・沖縄ではお彼岸に何をする?ヒヌカンやお仏壇、屋敷の神様に拝む「屋敷の御願」を解説!
家によって違う拝み処
◇屋敷の御願では、仏壇と井戸(水道の蛇口)への拝みは家によって判断が分かれます
ただし屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で仏壇に拝むかどうかは、判断が分かれるところです。
また、井戸がなくなった現代、最後に水の神様へ拝む家も少なくなりました。
<沖縄のお彼岸:家で違う屋敷の御願> | |
[拝み処] | [拝む家] |
●祖霊神(仏壇) | ・トートーメーを祀ってる ・7代以上のご先祖様がいる |
●ミジヌグーン(水の神様) ・水道の蛇口 |
・ウフガー(産水)がない |
沖縄のお彼岸では、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)だけではなく、全国的なお彼岸と同じように、ご先祖様供養行事でもあります。
そのためお彼岸にご先祖様供養を行った家では、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)では仏壇への拝みを省略する家も多いようです。
ただし、先祖代々位牌「トートーメー」を祀る家では、亡くなってから7代を過ぎたご先祖様も祀られています。
・【図解】沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願(2)お仏壇(祖霊神)への拝み方|お供え物は?
沖縄のお彼岸:屋敷の御願の時期は?
◇沖縄ではお彼岸に屋敷の御願を行う他、旧暦12月24日にも行います
沖縄ではお彼岸が屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)に行う他、旧暦12月24日の旧年末が御願の日です。
<沖縄で屋敷の御願を行う3つの時期> | |
[拝む時期] | [役割] |
[春のお彼岸] ・ニングァチヒガン(二月彼岸) |
[立願] ・タティウグァン(立て御願) |
[秋のお彼岸] ・ハチグァチヒガン(八月彼岸) |
[中間報告] ・ナカヌニゲー(中の願い) |
[旧暦12月24日] ・上天の拝み (ヒヌカンの里帰り) |
[1年の締めくくり] ・イチニンウシリガフー (一年の感謝) |
「ヒヌカンの里帰り」と言うのも、旧暦12月24日にヒヌカンが、旧正月に向けウティン(御天)へ一時帰省して、その家の一年をウティン(御天)の神様へ報告します。
<2023年:沖縄のお彼岸と屋敷の御願時期> | |
[春のお彼岸] | ・2023年3月18日(土)~24日(金) ・春分の日…2023年3月21日(火・祝) |
[秋のお彼岸] | ・2023年9月20日(水)~9月26日(火) ・秋分の日…2023年9月23日(土・祝) |
[旧暦12月24日] | ・2024年2月3日(土) |
次回の旧正月は2024年2月10日(土)ですので、6日前となる2024年2月3日(土)、全国的な行事としては節分の日です。
沖縄では屋敷の御願にとって、クチナン(口難)クチグトゥ(口事)など、人の口から出た災いから守るとも言われ、現代に改めて見直されるようになりました。
沖縄のお彼岸:屋敷の御願「ユンシヌカミ(四隅の神)」
◇ユンシヌカミ(四隅の神)は、東西南北の四方位の神様です
この四隅は東西南北の四つの方角を表すのですが、実は沖縄では四隅の神だけではなく、四方八方の八隅に神様が鎮座されると言われてきました。
<沖縄の屋敷の御願、方位の神様> | |
(1)ユンシヌカミ(四隅の神) | …東西南北 |
(2)ヤスミヌカミ(八隅の神) | …東西南北以外の八方位の神々 |
ただ沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願では、東西南北の四方位の神様である、ユンシヌカミ(四隅の神)のみを巡拝します。
沖縄のお彼岸では屋敷の御願で最期に拝む「ナカジンヌカミ(中陣の神)」は「中芯」とも書き、ナカジンヌカミ(中陣の神)を中心に屋敷の神々へ繋がります。
(1)ユンシヌカミ(四隅の神)
◇ユンシヌカミ(四隅の神)は東西南北の神様、一般的に来たから右回りで拝みます
またユンシヌカミ(四隅の神)、ヤスミヌカミ(八隅の神)、それぞれ沖縄では十二支の干支を基に配置され、十二支の守り本尊の特徴や性格を持っています。
ただ風水の神として、フンシガミ(風水の神)の祠が敷地内の四隅に見受ける家はありますが、基本的にユンシヌカミ(四隅の神)を特別に祀ることはありません。
ここではユンシヌカミ(四隅の神)を、それぞれ拝む順番(北→東→南→西)でご紹介します。
<ユンシヌカミ(四隅の神)> | |
(1)ニヌファヌカミ(北の神) | …子年(千手観音菩薩) |
(2)ウヌファヌカミ(東の神) | …卯年(文殊菩薩) |
(3)ンマムファヌカミ(南の神) | …午年(勢至菩薩) |
(4)トゥヌファヌカミ(西の神) | …酉年(不動明王) |
それぞれの守り御本尊についてお話すると長くなるので省略しますが、ユンシヌカミ(四隅)それぞれが、その特徴を生かし神様が和合して協力し合うことで、その家に住む人々の平安が保たれ、また厄災を跳ね除けてくれるとされます。
(2)ヤスミヌカミ(八隅の神)
◇最後にナカジンヌカミ(中陣の神)を通して拝む先は、ユンシヌカミ(四隅の神)以外の方角の神様です
沖縄のお彼岸で屋敷の御願に拝む際、特別に拝み処にはなりませんが、最後にナカジンヌカミ(中陣の神)を通して、感謝を伝えます。
沖縄では干支が重要であるように、方角も十二方位から守っていただく、十二方位に神様がいると信じられてきました。
<ヤスミヌカミ(八隅の神)> | |
(1)ウシヌファヌカミ(北北東) | …丑年(虚空蔵菩薩) |
(2)トゥラヌファヌカミ(東北東) | …寅年(虚空蔵菩薩) |
(3)タチヌファヌカミ(東南東) | …辰年(普賢菩薩) |
(4)ミヌファヌカミ(南南東) | …巳年(普賢菩薩) |
(5)ヒチジヌファヌカミ(南南西) | …未年(大日如来) |
(6)サルヌファヌカミ(西南西) | …申年(大日如来) |
(7)インヌファヌカミ(西北西) | …戌年(阿弥陀如来) |
(8)ヰヌファヌカミ(北北西) | …亥年(阿弥陀如来) |
ヤスミヌカミ(八隅の神)はそれぞれの方位に鎮座しておられますが、ユンシヌカミ(四隅の神)同様、特別に祀ることはありません。
・1年(12カ月)
・時間(12時間)
・方位(12方位)
12か月、12方位からさまざまな厄災を跳ね除けるとして、忌み月である旧暦九月には、御本尊が祀られる寺院を巡る「首里十二か所(十二支)巡り」を行う家もあるほどです。
・沖縄の『首里十二か所巡り』とは☆人々を守る干支の守り本尊様を迎え入れる
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沖縄のお彼岸:屋敷の御願でのお供え物
◇ユンシヌカミ(四隅の神)へは、お米を供えます
屋敷の敷地では屋外を含め10か所を巡拝するため、お供え物を入れて持ち歩く「ビンシー(瓶子)」があると便利です。
ビンシー(瓶子)にはそれぞれ、沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願の他、屋外の御願で供えるお供え物が、そのまま差し出せるように作られています。
<沖縄の屋敷の御願、ユンシヌカミへのお供え物> | ||
[お供え物] | [意味] | [備考] |
[ビンシー(瓶子)] | ||
(1)ウサク | (お酒) | |
(2)アライミハナ | (洗い米) | ・研いだお米 |
(3)カラミハナ | (乾き米) | ・お米 |
(ハナグミ) | (花米) | |
[お盆] | ||
(4)ウチャヌク | (お茶菓子) | ・白もちの3段重ね |
(5)シルカビ | (白紙) | ・半紙で作ったもの |
(6)果物 |
ビンシー(瓶子)で供える場合、別に小さなお盆を用意し、ウチャヌクや果物の盛り合わせを整え、2つのお供え物で拝みます。
ビンシー(瓶子)ない時にはお盆にお供え物を整えたり、タッパーなどに入れて供えても問題はありません。
・沖縄のビンシー(瓶子)とは?神様へ供えるミハナ(御花)、クバンチンとは?詳しく解説
(1)ウサク(お酒)
◇お供え物のお酒は、ワンカップなどのお酒でも構いません
沖縄のお彼岸で屋敷の御願を行う際、ユンシヌカミ(四隅の神)に供えるウサク(お酒)は、正式には徳利(とっくり)とお猪口(おちょこ)で供えます。
[ユンシヌカミ(四隅の神)側]
・徳利(とっくり)を左右1対で供える
・中央にお猪口(おちょこ)を供える
(お米)
(ウチャヌク)
(果物の盛り合わせ)
[拝み人側]
ただ、こぼれてしまい持ち運びにくいなど、事情もあるでしょう。
ワンカップなどのお酒でも構いません。
(2)アライミハナ(洗い米)
◇米びつのお米を七回すすいだお米がアライミハナ(洗い米)です
「アライグミ」「アライバナ(洗い花)」など、地域によって呼び方も違います。
七回すすぐのには、あの世(彼岸)までに故人が通る七つの関所や、七つの魂などの説があり、沖縄では「7」の数字が御願で用いられる傾向です。
[供え方]
・お米を七回すすぐ
・小皿に1皿用意する
[供える位置]
[ユンシヌカミ(四隅の神)側]
(お酒)
・アライミハナ(洗い米)
※左右にカラミハナ(乾き米)
(ウチャヌク)
(果物の盛り合わせ)
[拝み人側]
アライミハナ(洗い米)は中央に1皿を供え、その両脇に、これから解説する「カラミハナ(乾き米)」を供えます。
(3)カラミハナ(乾き米)
◇米びつの何もしていないお米です
カラミハナ(乾き米)もハナグミ(花米)、カライミハナ(乾き御花)など、地域によって呼び名は違うでしょう。
アライミハナ(洗い花)は七回すすぎますが、こちらは何もしません。
[ユンシヌカミ(四隅の神)側]
(お酒)
・カラミハナ(乾き米)×左右に2皿
※中央にアライミハナ(洗い米)
(ウチャヌク)
(果物の盛り合わせ)
[拝み人側]
何もしていないカライミハナ(花米)は純潔を表し、沖縄では屋敷の御願に限らずあらゆる祈願事で供えます。
またその昔は農業も盛んだったため、五穀豊穣の意味合いもあるでしょう。
・沖縄のビンシー(瓶子)とは?神様へ供えるミハナ(御花)、クバンチンとは?詳しく解説
(4)ウチャヌク(白もちの3段重ね)
◇「ウチャヌク(お茶の子)」は、3段に積み重ねた白もちです
「ウチャヌク(お茶の子)」は大・中・小、3つの大きさの白もちを、3段に積み重ねたお供え物です。
全国的にはもち米で作ったお餅ですが、沖縄ではもち粉を用いて作ります。
[ユンシヌカミ(四隅の神)側]
(お酒)
(お米)
・ウチャヌク…白紙を敷いた上に2組供える
(果物の盛り合わせ)
[拝み人側]
沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願では、ヒヌカン(火の神様)までウチャヌクは3組を並べて供えていますよね。
けれども、その他の拝み処ではウチャヌクを2組並べるお供え物が一般的です。
白い紙は半紙などが多いですが、シルカビとは違います。
(5)シルカビ(白紙)
◇シルカビ(白紙)は、神様の税金とされます
沖縄のお彼岸でも先祖供養の拝みで扱うウチカビ(打ち紙)は、ご先祖様があの世の暮らしに困らないよう、「あの世のお金」を送りますよね。
対してシルカビ(白紙)は「神様への税金」で、習字の半紙で作ります。
・習字の半紙を3枚重ねる
・重ねた半紙を手で四つ切りに千切る
・千切った半紙を半分に折る
「縁が切れる」などと忌まれる刃物、ハサミはシルカビ(白紙)作りには使用しませんので、爪で折目を強く付けるなどして、手で四つ切りに千切ってください。
●シルカビ(白紙)は、お盆の脇に1組供えます。
沖縄のお彼岸では、屋敷の御願でもウチカビ(打ち紙)を見受けますが、シルカビ(白紙)とウチカビ(打ち紙)は供える相手が違うので注意が必要です。
<シルカビ(白紙)とウチカビ(打ち紙)> | |
[種類] | [供える相手] |
・シルカビ(白紙) | …神様 |
・ウチカビ(打ち紙) | …故人、ご先祖様 |
沖縄のお彼岸では、屋敷の御願は神様への拝みですのでシルカビ(白紙)です。
沖縄のお彼岸の拝みは、ご先祖様供養なのでウチカビ(打ち紙)となります。
また沖縄お彼岸で屋敷の御願に、ご馳走のウサンミ(御三味)は必要ありません。
沖縄ではお彼岸の「ご先祖様供養の日」に供えます。
・旧盆で焚くウチカビとは?沖縄線香ヒラウコー、神様へ供えるシルカビの作り方も解説!
(6)果物の盛り合わせ
◇果物の定番は、みかん・りんご・バナナです
果物の盛り合わせはお盆に盛る程度に供えます。
沖縄では旧暦行事が盛んな地域であれば、お彼岸時期に果物の盛り合わせをパックで販売しているでしょう。
<果物の盛り合わせ> | |
・みかん | ・子孫繁栄 |
・バナナ | ・男性性 |
・りんご | ・女性性 |
実が成る果物は、家の安泰や繁栄を意味し、家族や子どもを表します。
みかんは中の袋が子宝を表し、男性と女性と子どもです。
沖縄のお彼岸:屋敷の御願での拝み方
◇ユンシヌカミ(四隅の神)を拝んだ後、シルカビを焚きます
ユンシヌカミ(四隅の神)は、一般的にヒヌカン・仏壇への拝みを終えた後、3番目に巡拝する拝み処です。
東西南北の4か所を廻るので、ビンシー(瓶子)やお盆などに持ち歩けるよう、お供え物をセットして、家の四隅を巡拝します。
【四隅の神】
(1)お供え物を供える
(2)お線香を供える
(3)シルカビ(白紙)を近くに供える
(3)家長を中心に拝む
(4)シルカビ(白紙)を焚く
(5)お供え物からお米を取る
・アライミハナ(洗い米)
・カラミハナ(乾き米)
…ひとつまみずつ取る
(6)取ったお米を、シルカビ(白紙)を焚いた上に乗せる
(7)供えていたお酒を3滴掛ける
このような流れです。
シルカビ(白紙)を焚く時は、火の用心をして水を張ったアルミボウルなどの「カビバーチ(火鉢)」を利用します。
ユンシヌカミ(四隅の神)はそれぞれ拝む手順も拝み言葉も同じではありますが、それぞれ四角へ巡拝し、東西南北の角に向かい拝んでください。
ユンシヌカミ(四隅の神)へ拝む順番
◇一般的にはユンシヌカミ(四隅の神)へは、北から右回りで拝みます
ユンシヌカミ(四隅の神)の四隅は東西南北を差し、屋敷の敷地の四角に分かれて鎮座されています。
拝む順序は北角から右回りです。
・ニヌファヌカミ(北の神)
・ウヌファヌカミ(東の神)
・ンマムファヌカミ(南の神)
・トゥヌファヌカミ(西の神)
ただ、家や地域によって沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願でも、時期で拝む順番が分かれることもあるでしょう。
<ユンシヌカミ(四隅の神):時期で違う順番> | |
[春のお彼岸(二月彼岸)] ●北から反時計回り |
・ニヌファヌカミ(北の神) ・トゥヌファヌカミ(西の神) ・ンマムファヌカミ(南の神) ・ウヌファヌカミ(東の神) |
[秋のお彼岸(八月彼岸)] ●北から時計回り |
・ニヌファヌカミ(北の神) ・ウヌファヌカミ(東の神) ・ンマムファヌカミ(南の神) ・トゥヌファヌカミ(西の神) |
[上天の拝み(旧暦12月24日)] ●北から反時計回り |
・ニヌファヌカミ(北の神) ・トゥヌファヌカミ(西の神) ・ンマムファヌカミ(南の神) ・ウヌファヌカミ(東の神) |
この他、方角によって朝と夜で分けて拝むなど、地域によってさまざまです。
基本的に沖縄ではお彼岸を目安に定期的に屋敷の御願を行うことを欠かさなければ、拝み方の違いに大きな問題はありません。
沖縄のお彼岸:屋敷の御願で供えるお線香
◇ユンシヌカミ(四隅の神)へは、ジュウニフンウコー(十二本御香)を供えます
沖縄のお彼岸で屋敷の御願に供えるお線香は、ジュウニフンウコー(十二本御香)で、本来は火をつけて供えるため、石など置くための台も用意しましょう。
<ユンシヌカミ(四隅の神)へのお線香> ●ジュウニフンウコー(十二本御香) |
|
・日本線香 | …12本、もしくは4本 |
・ヒラウコー(平線香) | …タヒラ(2枚) |
「ヒラウコー(平線香)」は沖縄線香です。
日本線香が6本縦にくっ付いた形状となり、香りはありません。
沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願では、昔からお線香に火を灯して供えました。
けれども最近は、町中で火を灯すには火元が危ない環境もあり、火を灯さない供養が増えてきたためです。
ヒジュルウコー(冷たい御香)とは
◇「ヒジュルウコー(冷たい御香)」は火を灯さずに供えるお線香です
現代は、沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願のみならず、森林に囲まれた御嶽(うたき)拝みなど、屋外の御願でも「ヒジュルウコー(冷たい御香)」が、拝みやすいと用いられます。
・シルカビ(白紙)を敷く
・シルカビ(白紙)の上にお線香を置く
・拝む
・お線香をシルカビ(白紙)に包む
・白い封筒に入れて自宅に持ち帰る
・仏壇のウコール(香炉)に供える
(火を灯して供える)
ただ沖縄の屋敷の御願では「屋内」と考え、できるだけ火を灯すのが良いとも言われます。
けれども幼い子供がいて忙しく拝みを済ませる家こともあるでしょう。
不安要素があるのならば、ヒジュルウコー(冷たい御香)で拝みを進めて問題はありません。
海岸の砂や小石を供える方法
◇ユンシヌカミ(四隅の神)は、砂山や小石で仕立てても良いです
その昔、沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願では、ユンシヌカミ(四隅の神)として、海岸の砂を小さな砂山にして、お線香を供える家もありました。
<海岸の小石や砂で拝む> | |
[小さな砂山] | (1)海岸の砂を小山に盛る (2)お線香に火を灯して立てる (3)家長を中心に拝む |
[小石] | ・石を置く ・イビ(拝み処)とする |
ただ今では海岸の砂は、どこでも簡単に持ち帰れないかもしれません。
そのためか現代では、この慣習はほとんど廃れています。
けれども海岸近くに住んでいるなど、簡単に砂や小石を用意できるならば、この方法を取っても良いかもしれません。
沖縄のお彼岸:屋敷の御願での拝み言葉
◇ユンシヌカミ(四隅の神)への拝み言葉は、現代の言葉でも構いません
他の拝み処でも同じことが言えますが、沖縄ではお彼岸の屋敷の御願に限らず、旧暦行事において、ウチナーグチ(沖縄言葉)で拝みの言葉を捧げます。
これが、拝み言葉「グイス(祝詞)」です。
ただ家庭で家族が行う拝み事なので、同じ意味合いを分かる言葉で伝えれば良いでしょう。
[ユンシヌカミ(四隅の神)]
「ウートゥートゥ、ニヌファーヌウカミガナシー、
(あな尊き、子の神様)
本日、八月の善き日に、これからウチャヌク、御花(お米のこと)をお供えして、屋敷の御願を行いますので、どうぞ 受け取ってくださいますように。
○○町○○、○○(住所)○○(氏)の家から拝んでおります。
ここで〇〇(夫の干支)の男、妻である○○(妻の干支)の女の間から産まれた、○○(子どもの干支)の女が住んでいます。
どうぞヤナカジやシタナカジをお祓いいただき、これからも守護してください。
また家内安全・家庭円満で、夫婦・親子が和合を取らせてくださり、家族が今後とも繁栄しますように。
ウートゥートゥー。」
「ニヌファーヌ(子の)」は「北の」の意味です。
そのため東西南北、拝み処に合わせて変えます。
沖縄のお彼岸では、今日の善き日に屋敷の御願をしていること、お供え物と、その家に住む家族の干支が最初に伝える言葉です。
続いて祈願として、厄災を祓い福徳を招き、家族が和合し繁栄することを祈願すると良いでしょう。
まとめ:沖縄のお彼岸、屋敷の御願では東西南北の神へも拝みます
沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願では、屋敷内に住まう6柱10か所の神様を巡拝しますが、その3番目の拝み処にあたる神様が「ユンシヌカミ(四隅の神)」です。
ユンシヌカミ(四隅の神)は、妖怪や悪霊祓いの行事「シバサシ(柴差し)」でも、四隅に魔除けの柴を差すなど、結界を張り、悪霊や悪疫を追い払うために重要な場所とされます。
ユンシヌカミ(四隅の神)へ四隅を巡拝して拝み、屋敷に結界を張りましょう。
・【沖縄の秋彼岸】屋敷の御願の拝み方(4)ジョウヌカミ・フールヌカミの拝み
・沖縄のお彼岸で家に拝む「ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)」|マンションでの拝み方は?
まとめ
沖縄の屋敷の御願、ユンシヌカミ(四隅の神)への拝み方
●拝む順番
(1)ニヌファヌカミ(北の神)
(2)ウヌファヌカミ(東の神)
(3)ンマムファヌカミ(南の神)
(4)トゥヌファヌカミ(西の神)●お供え物(ウサギムン)
(1)ウサク(お酒)
(2)アライミハナ(洗い米)
(3)カラミハナ(花米/ハナグミ)
(4)ウチャヌク(白もちの三段重ね)
(5)シルカビ(白紙)
(6)果物の盛り合わせ●お線香は十二本御香
・日本線香…12本、もしくは4本
・ヒラウコー…タヒラ(2枚)●海岸の砂を盛る方法もある
(1)海岸の砂を小山に盛る
(2)お線香に火を灯して立てる
(3)家長を中心に拝む