・沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」の行事食は?
・沖縄の七草粥「ナージューシー(菜雑炊)」の作り方は?
・沖縄の七草粥でおすすめの食材は?
沖縄の七草粥は旧暦1月7日、2024年は2月16日(金)です。
沖縄では七草粥として、沖縄野菜でナージューシー(菜雑炊)を作り、家族でいただく習慣がありました。
本記事を読むことで、沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」にいただく行事食「ナージューシー(菜雑炊)」の作り方、食べる前に行うことが分かります。
沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」の行事食とは?
◇沖縄の七草粥の行事食は「ナージューシー(菜雑炊)」です
沖縄の七草粥は、全国的な春の七草ではなく、沖縄で採れる七種の野菜を加えていただく家庭が多いでしょう。
沖縄の「春の七草」は明確には決まっていませんが、昔から薬草として重宝されてきた、サクナ(長命草)などが選ばれます。
家によって違うので、沖縄のナージューシー(菜雑炊)で人気が高い、いくつかの食材をご紹介します。
<沖縄の七草> | |
[沖縄の七草] | [効能] |
●イチョーバー (ういきょう) |
・胃腸薬 ・利尿作用 |
●フーチバー (よもぎ) |
・血行を良くする ・自律神経の調整 (沖縄そばに使う) |
●ハンダマー (水前寺菜) |
・血圧を下げる ・血糖値を抑える |
●ニガナ (苦菜) |
・抗ウィルス作用 ・動脈硬化に作用 |
●サクナ (長命草) |
・神経痛 ・肝臓病 ・リウマチ (ヤギ汁の臭み消し) |
●デーニクバー (大根葉) |
・抗酸化作用 |
●島ニンジン | ・血を補う ・コラーゲンの合成 ・腸内環境を整える |
●シマナー (高菜) |
・血液をサラサラにする ・肝臓の解毒作用 ・ガン予防 ・むくみ解消 |
●ンスナバー (不断草) |
・骨や歯を保つ ・貧血予防 ・ガン予防 |
●ビラ (ねぎ) |
・血行を良くする ・疲れを取る ・風邪の撃退 |
●カンダバー (やさいかずら) |
・整腸作用 ・抗酸化作用 |
●ノビル | ・整腸作用 ・扁桃腺に効果 ・気管支炎 |
などなど、さまざまにありますが、沖縄の七草粥「ナージューシー(菜雑炊)」で選ばれる野菜です。
特にフーチバー(よもぎ)など、香りが強い沖縄の野菜は、七草粥に人気があります。
沖縄で独特な香りやクセの強い香りは「邪気祓い」として、特に悪疫祓い・厄祓い行事に重宝されてきました。
沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七草粥)」は、旧正月で疲れた胃腸を労わるとともに、無病息災を祈願する行事なので、邪気祓いを意識する家も多くありました。
沖縄の七草粥は「人を労わる」
◇沖縄の七草粥は「人日の節句」に行う、人を労わる行事です
沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」は、旧暦1月7日「人日の節句」に行う行事ですので、健康的な食材を使い、体を労り、健康を祈願します。
もともと奇数日が重なる、季節を感じる雑節である「五節句」のひとつが人日の節句で、本来は旧暦1月1日なのですが、旧正月にあたるため、旧正月の七日間「松の内」明けに設定し、旧暦1月7日となりました。
・旧暦1月7日…ナンカヌシク(七日節句)
・旧暦3月3日…ハマウイ(浜降り)
・旧暦5月5日…グングァチグニチ(子どもの日)
・旧暦7月7日…タナバタ(七夕)
・旧暦9月9日…チクザキ(菊酒)
またその昔の中国では旧暦1月1日~旧暦1月7日まで、特定の生き物を労わる日を設け、その日はその生き物を殺生しないとされています。
・旧暦1月1日…鳥の日
・旧暦1月2日…狗(犬)の日
・旧暦1月3日…猪(豚)の日
・旧暦1月4日…羊(ヤギ)の日
・旧暦1月5日…牛の日
・旧暦1月6日…馬の日
・旧暦1月7日…人の日
「殺生をしない」として旧暦1月7日に人の日があるのは不思議なものですが、この日に犯罪者への刑罰を控える、疲れた体を労わる、などに気を付ける日です。
そのため旧暦1月7日、沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」にいただくナージューシー(菜雑炊)は、かつて薬草として使用されていたなど、体に良い食材を使用しましょう。
沖縄の七草粥ナージューシー(菜雑炊)レシピ
◇沖縄の七草粥「ナージューシー(菜雑炊)」には、豚肉が入ります
沖縄の七草粥、ナージューシー(菜雑炊)の特徴として、多くの家庭で賽の目切りの豚肉が入っていることが挙げられるでしょう。
沖縄ではご馳走に豚肉は欠かせない食材で、日ごろの沖縄風炊き込みご飯「ジューシー」や、今回ご紹介する「ナージューシー(菜雑炊)」でも、豚肉でコクを出します。
[材料](3~4人分)
・炊いたご飯…400gほど
・お水…4カップほど
・フーチバー(よもぎ)…100gほど
・シマナー(高菜)…100gほど
・豚ロース肉…250gほど
・お塩…適量
・白だし…適量
・サラダ油…適量
今回はシマナー(高菜)やフーチバー(よもぎ)を加えましたが、前述したさまざまな沖縄野菜を加えても良いです。
沖縄料理は薬膳の役割もあるため、家族の体調を考慮して、効果のある食材を選びましょう。
沖縄の七草粥ナージューシー(菜雑炊)レシピ
◇豚肉は約1cmほどの賽の目に切るのがポイントです
沖縄の七草粥、ナージューシー(菜雑炊)では、お肉や根菜類は小さく細かく切って準備します。
目安としては約1cm角ほどで、根菜類や豚肉の大きさは揃えると良いでしょう。
<沖縄の七草粥ナージューシー(菜雑炊)レシピ> | |
[下ごしらえ] | |
①菜野菜 (フーチバーなど) |
・約1cmほどに切る |
②豚ロース肉 | ・約1cmほどの賽の目に切る ・サラダ油を敷いたフライパンで炒める |
③ご飯を炊く | |
④弱火で煮る | [鍋に入れるもの] ・炊いたご飯 ・お水(約4カップ) ・下ごしらえをした豚ロース肉 [煮方] ・ゆっくりと弱火でコトコト煮る |
⑤菜野菜を加える | ・ご飯がお粥状になった頃 ・下ごしらえをした菜野菜を加える |
⑥完成 | ・全体に火が通る ・ざっくりと混ぜる ・ご飯茶碗に盛る |
⑦味付けが欲しい場合 | ・白だしなどを適量加える |
今回はご飯から作る時短レシピですが、これで沖縄版の七草粥「ナージューシー(菜雑炊)」の完成です!
沖縄の七草粥ナージューシー(菜雑炊)は、かつて薬草で使われたような、前述した沖縄野菜が一般的ですが、子どもが多い家庭などでは、椎茸やお豆腐、卵などで苦味を避け、美味しくいただても良いでしょう。
沖縄では全国的な七草粥はいただく?
◇近年では全国的な七草粥が便利で、いただく家庭もあります
全国的な七草粥は新正月明け、新暦1月7日にいただくことが多いですが、最近では春の七草がドライフードになっていたり、パックで少しずつ販売されているものも多いため、全国的な七草粥をいただく沖縄の家庭も増えました。
もともと全国的な七草粥は土鍋からたくさんのお水でお米を焚いて作りましたが、時短料理として、炊飯器でご飯を炊いてから七草粥を作る家庭が多いでしょう。
全国の七草粥レシピ
このような流れから、沖縄で全国の七草粥を料理する場合には、スーパーなどで販売されている「七草セット」やドライフードの七草を使用する家庭が多いです。
沖縄ではもともとだし汁はたっぷりのかつお節で作りましたが、時短七草粥では、味付けも市販の白だしが一般的でしょう。
[3~4人分]
・七草セット
(スーパーなどで販売されているもの)
・炊いたご飯…400gほど
・お水…4カップほど
・玉子…3個~4個
・白だし…適量
・お塩…適量
沖縄の七草粥「ナージューシー(菜雑炊)」にしても、全国的な七草粥にしても、七種の野菜を揃えるのは大変なこともあるので、七草粥セットは便利です。
また「七草」ではなくても、野菜七種であれば良いと考える人も増えました。
そこで全国的には人気が高い春菊やネギを加えて七種とする人もいます。
全国的な七草粥レシピ
沖縄の七草粥「ナージューシー(菜雑炊)」と同様に、お粥は本来お米から土鍋などで、たくさんのお水とともに炊きますが、現代では炊飯器で炊いたお米から、たっぷりのお水でコトコト煮て作る時短レシピが人気です。
<全国的な七草粥レシピ> | |
[下ごしらえ] | |
①七草セット | ・カブなどの根菜類 ・薄い短冊切りにする ・全て茹でる |
②お粥作り | ・炊いたご飯とお水を鍋に入れる ・火にかける ・ゆっくりと弱火でコトコト煮る |
③七草を投入 | ●ご飯がお粥状になる ・の下ごしらえした七草を加える |
④卵を入れても美味しい | ・卵を溶く ・卵に白だしを適量加える ・鍋に回し入れる ・蓋をして蒸らす |
⑤完成! | ・卵に火が通ったら ・ざっくりと混ぜてご飯茶碗に盛る |
…以上で完成です!
お米から土鍋で炊くお粥は時間が掛かりますが、炊いたご飯から作るレシピであれば簡単でしょう。
今回はお塩を適量、玉子に白だしを加えるのみでしたが、途中で好みの濃さで味付けができます。
全国的な春の七草
◇全国的な春の七草は、カブや大根、ぺんぺん草などです
沖縄でも旧暦1月7日の七草粥、ナンカヌシク(七日節句)の記事になると、スーパーなどで「七草粥セット」などの名称で、少しずつの七草が販売されます。
ただ沖縄でも全国でも、七草粥以外には使わなくなった品目もあるでしょう。
ここでは全国的な「春の七草」をご紹介していきます。
<全国的な春の七草> | |
[春の七草] | [現代の名称] |
①せり(芹) | ・せり |
②なずな(薺) | ・ぺんぺん草 |
③ごぎょう(御行) | ・母子草(ははこぐさ) |
④はこべら(繁縷) | ・はこべ |
⑤ほとけのざ(仏の座) | ・子鬼田平子(こおにたびらこ) |
⑥すずな(菘) | ・カブ(蕪) |
⑦すずしろ(蘿蔔) | ・大根 |
こちらも沖縄の七草粥「ナージューシー(菜雑炊)」と同様に、子どもやその時にいただく家族に向け、七草にこだわらず卵やネギを加える人々も増えています。
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沖縄の七草粥は、お仏壇へ供えよう
◇沖縄の旧暦行事では、行事食をヒヌカン(火の神)・お仏壇へ供えます
沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」は、旧暦1月7日、2024年2月16日(金)に行う旧暦行事です。
沖縄では七草粥に限らず、旧暦行事でいただく行事食は、最初にヒヌカン(火の神)、続いてお仏壇の祖霊神へまず供えます。
神様仏様へお供えをして、家族で合掌をした後に、イチミ(生きる身)が行事食をいただいてきました。
<沖縄の七草粥:ヒヌカン(火の神)へのお供え> | |
[日ごろのお供えもの] | ・マース(盛り塩) ・ミジティ(お水) ・ウサク(お酒) ・神木(供え葉) |
[ナンカヌシク(七日節句)] | ・ナージューシー(菜雑炊) |
[お線香] | ●ジューゴフンウコー (十五本御香) ・日本線香…15本、もしくは5本 ・ヒラウコー(平御香)…タヒラ半(2枚半) |
ヒヌカン(火の神)は家を守護するパーソナルな神様です。
ヒヌカン(火の神)を日々担う人は、旧暦1月7日、2024年2月16日(金)にお供えを供えた後、下記のように拝みます。
「いつも、お見守りをありがとうございます。」
「今日はナンカヌスク(七日節句)の日です。本日もブジ(無事)にナンカヌシク(七日節句)のウグァン(御願)を済ませることができますように。」
と、沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」に家族の健康祈願を無事に済ませることができるよう、お伝えをします。
・【沖縄のヒヌカン】旧暦1日・15日ヒヌカンの拝み方☆お供え物やお線香の本数を解説!
お仏壇へのお供えもの
◇お仏壇の祖霊神にも、ナージューシー(菜雑炊)を供えて共食します
沖縄の七草粥、ナンカヌシク(七日節句)のお供えものは、ナージューシー(菜雑炊)と口直しのウサチ(酢の物)のみです。
お盆に乗せてお箸を添え、供えましょう。
<沖縄の七草粥:お仏壇へのお供え> | |
[日ごろのお供えもの] | ・ウサク(お酒)×1杯 ・ウチャトゥ(お酒)×2杯 ・供え花×2立て |
[ナンカヌシク(七日節句)] | ・ナージューシー(菜雑炊) ・ウサチ(酢の物) ・お箸を添える (お盆に乗せる) |
[お線香] | ●ジューニフンウコー (十二本御香) ・日本線香…12本、もしくは4本 ・ヒラウコー(平御香)…タヒラ(2枚) |
お仏壇に供える副菜はウサチ(酢の物)が多いですが、ちょっとした副菜であれば、何でも構いません。
「いつもお見守りありがとうございます。」
「今日の善き日、ナンカヌシク(七日節句)の日です。
体も丈夫になるよう(カラダガンジュー)こしらえた、ナージューシー(菜雑炊)を供えておりますので、どうぞお受け取りください。」
「これからも家族がみな健康で無病息災でありますよう、ミーマンティーウタビミスーリー、ウートゥートゥー。(見守っていてください、あな尊い)。」
沖縄の七草粥、ナンカヌシク(七日節句)は、家族みんなでナージューシー(菜雑炊)をいただいて家族団らんをしながら、健康祈願をするものなので、拝みの「ウグァン(御願)」も、お供えものをしながら言葉を添えれば良いでしょう。
まとめ:沖縄の七草粥の行事食は「ナージューシー(菜雑炊)」です
沖縄の七草粥「ナンカヌシク(七日節句)」の行事食は、沖縄で採れた七種の野菜を加えた沖縄のボロボロジューシー「ナージューシー(菜雑炊)」となります。
本来はお粥なので、たくさんのお水でお米を焚いて作りますが、忙しい近年では時短料理として、炊いたご飯から雑炊を作る家庭が増えました。
ナージューシー(菜雑炊)は、離島地域も含めて沖縄全般でいただく行事食ですが、離島では「ナナタテジューシー(七品雑炊)」などとも呼ばれます。
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