沖縄で神社や寺は少ない?いや「ティラヌムメー(寺参り)」がある!拝み方の違いとは?

2023.09.13
沖縄で神社や寺は少ない?いや「ティラヌムメー(寺参り)」がある!拝み方の違いとは?

沖縄では神社や寺が少ないのは自然崇拝によるウガンジュ(拝所)もあるためです。そんな沖縄でも「ティラヌムメー(寺参り)」があります。ただ拝み方は本州とは違うでしょう。本記事では沖縄に神社や寺が少ない理由となる信仰や拝む場所、拝み方が分かります。

・沖縄で神社や寺が少ないのはなぜ?
・沖縄で旧暦9月に行う「寺参り」とは?
・沖縄の神社や寺参りで、地元の人が拝む場所は?
・沖縄の神社や寺参りでのお供え物や拝み方は?

沖縄では神社や寺ばかりではなく、自然のなかにあるウタキ(御獄)やヒジュル(霊石)などのウガンジュ(拝所)もあります。

昔から沖縄では、旧暦9月になると神社や寺・ウタキ(御獄)やヒジュル(霊石)などへ拝みを捧げる「ティラヌムメー(寺参り)」行事がありました。

本記事では、旧暦9月頃の参拝行事「ティラヌムメー(寺参り)」で、沖縄で地元の人々も参拝する神社・寺・ウタキ(御獄)・ヒジュル(霊石)などの「ウガンジュ(拝所)」が分かります。

 

沖縄では神社や寺が少ないのはなぜ?

沖縄では神社や寺が少ないのはなぜ?
沖縄にも神社や寺は数多くあります。
ただ沖縄は「琉球神道(りゅうきゅうしんとう)」と呼ばれる信仰の歴史があり、本州のような「檀家制度」が根付いていません

「檀家制度(だんかせいど)」とは家が寺院の境内にお墓を建て、その寺院を「菩提寺」として信仰する制度のことです。本州では江戸時代の戸籍管理を目的として、義務的に行われてきました。現代は強制ではないものの、寺院墓地にお墓を建て菩提寺を持つ家は数多く残っています。

一方で沖縄は江戸時代に琉球王朝があったため檀家制度がなく、寺院墓地も少ない地域です。けれども参拝を目的とした寺院は、沖縄にもあります

 

①沖縄の「琉球神道」とは

琉球王朝時代に沖縄本島を中心に根付いてきた宗教観で、多神教宗教です。琉球王朝時代には、主に宗教支配を目的として琉球神道を広めました。

自然崇拝「アミニズム」・土着信仰の宗教観を持ち、日本神道とも似ている琉球神道では、自然が創造する万物に霊魂が宿り「カミ(神)」として祀る点が特徴的です。

そのため沖縄には神社や寺が本州よりも少ないものの、自然物を信仰の対象として、ビジュル(霊石)自然のなかに「イビ」を設けた「ウタキ(御嶽)」などのウガンジュ(拝み処)が数多く存在します。

「イビ」とは拝みの際にお線香やお供え物を供えるための置き石です。そのため沖縄では神社や寺院のように、神主やご住職のいない「ウガンジュ(拝所)」が多くあります。

現代ではこのようなウガンジュ(拝所)が、全国的にパワースポットとも言われるようになりました。

 

②日本神道と琉球神道の共通点は?

また神道における日本開闢の祖「イザナミ(伊邪那美)・イザナギ(伊邪那岐)」による国生み神話があるように、沖縄にも女神のアマミキヨ(アマミク・阿摩美久)、男神のシネリキヨ(シネリク・志禰礼姑)による琉球開闢の神話が残ります。

ただし沖縄の琉球開闢の祖は、西方楽土「ニライカナイ(西方彼方)」から琉球国の久高島へ降り立った女神のアマミキヨとする説も根強いです。

沖縄で現代「パワースポット」にも、琉球開闢の祖アマミキヨにまつわるウガンジュ(拝所)は少なくありません。

沖縄で旧暦9月頃に行われる巡拝行事でも、神様へ拝む「カミウガミ(神拝み)」のひとつに、アマミキヨの痕跡を辿る「アガリマーイ(東御廻り)」があります。

 

 

沖縄のウガンジュ(拝所)は神社・寺だけではない?

沖縄のウガンジュ(拝所)は神社・寺だけではない?
このように沖縄では独自の自然信仰を持つため、本州のように神様・仏様を祀る神社ばかりではありません。

沖縄には数多くのウガンジュ(拝所)がありますが、ビジュル(霊石)を祀る権現堂や、自然を敬うウタキ(御嶽)も多いためです。

また沖縄では自然信仰の他にもご先祖様が亡くなって七代目を越えて、その一門を守護する「カミ(神)」となる「祖霊信仰」があります。

沖縄では仏壇の中心に先祖代々位牌「トートーメー」を祀りますよね。沖縄には祖霊信仰が根付いていることを、よく表しています。そのため沖縄のウガンジュ(拝所)には、始祖を祀るお墓が含まれることも多いです。

下記より沖縄で祀られている拝みの対象をご紹介します。全国的には「パワースポット」と呼ばれ観光客が多く訪れるものもあるでしょう。

 

①ウタキ(御嶽)

①ウタキ(御嶽)
琉球王朝時代から自然崇拝に基づく宗教儀礼が行われてきた「斎場御嶽(セイファウタキ)」が有名ですよね。現代では観光地と化していますが、地元の人々が宗教儀礼「ウグァン(御願)」に訪れていることも多いです。

斎場御嶽はアマミキヨが降り立った島「久高島」を遥か彼方に臨み拝む「遥拝所(ようはいじょ)」として、琉球王朝時代には最も位の高い聖地でした。

この他、沖縄における最高の位を持つ精霊であり、太陽を司る「キンマムン(君真物)」を祀る安須森御嶽(アスムイウタキ)、辺戸岬を望む「龍神の根」などもウタキ(御嶽)です。

ウタキ(御嶽)には神主やご住職などはいません。訪れる者がマナーを守り、決まり事に倣いウグァン(御願)を捧げます。拝み処は石が積まれた「イビ」なので分かりにくいですが、イビを踏まぬようにしてください。

 

②ビジュル(霊石)

沖縄には数多くの権現堂があります。ここで祀られているのはビジュル(霊石)や鍾乳洞の鍾乳石な、岩などです。沖縄では神社の様相を呈した、ビジュル(霊石)を祀るウガンジュ(拝所)も多いでしょう。

子宝の神様で知られる「泡瀬ビジュル」や「ビンヅル毛」などが有名です。「ビジュル」は「ビンヅル」とも呼ばれますが、呼び方が違うだけで変わりません。

沖縄のビジュル(霊石)神は、不動の心「不動神」にも例えられます。ビンズル様・不動様・賓頭慮(ビンヅル)などの愛称で愛されてきました。

また沖縄ではユタ・ノロなどの女性祭祀が多いなか、ビジュル(霊石)を祀る沖縄の神社・寺では男性祭祀者が多い点も特徴的です。

 

③トゥーティークン(土帝君)

その地域を守る土着の神様であり集落の守護神です。全国的な氏神様(うじがみさま)と同じですね。けれどもトゥーティークン(土帝君)も、山林や公園などにひっそりと祠があり、神主やご住職などの管理者はいないウガンジュ(拝所)が多いです。

なかにはビジュル(霊石)が祀られている祠や、かつては観音様が祀られていた祠もあります。国指定重要文化財にもなっている沖縄北部(本部)にある「瀬底土帝君(セソコトゥーティークン)」や、大謝名集落にある「大謝名土帝君(オオジャナトゥーティークン)」などが有名です。

また集落を守るトゥーティークン(土帝君)は、集落の人々に生きるための水をもたらした「ガー(川・井戸)」とともに信仰されることが多く、巡拝行事では双方を廻る人々も多いでしょう。

 

④リューグヌカミ(龍宮の神)

島国である沖縄では、貿易や漁業など海と暮らしを切り離すことができません。また水害による被害・台風の到来と、海から受ける自然の猛威にさらされてきました。

そのため沖縄の港には、龍神様を祀る小さな祠が数多くあるでしょう。沖縄ではここから海に出る家族の安全を祈るとともに、海へ出て戻ってこない人々へ想いを伝えてきました。

沖縄本島は龍神様の姿形をしているとも言われ、龍神様の頭・珠・根など、沖縄各地に龍神様を祀るウガンジュ(拝所)が散見されます。

前述した辺戸岬の「龍神の根」の他、干潮の時のみ辿り着く「竜宮底親産潮砂の神」などが有名です。

 

 

⑤観音信仰

沖縄では自然崇拝・祖霊崇拝を基軸としていますが、子育てでは観音信仰も併せ持っています。子どもの健やかな成長・子宝祈願・家内安全を観音様へ守護していただく信仰です。

かつての沖縄では赤ちゃんが産まれると集落の観音様へご紹介し、赤ちゃんの一生を慈しみ守護する「神親」「仏親」になっていただく信仰です。特に病弱な子どもがいる家庭では、観音様へ重ねてウグァン(御願)を行ってきました。

家庭ではトゥクヌマ(床の間)に観音様の掛け軸を飾り、旧暦1月・5月・9月の18日には観音様へのウグァン(御願)を行う風習もあります。(18日は観音様の縁日です。)

そのため沖縄では観音様を祀る神社・寺院、ウタキ(御嶽)が存在します。かつては集落行事でしたが現代は個人参拝が増え、近年では「琉球七観音」などの言葉も登場しました。

 

 

 

⑥沖縄の神社や寺

琉球王朝の時代から国王が建立するなど歴史のある神社や寺も数多くあります。廃藩置県の後は、本州からの神社仏閣もやってきました。

特に沖縄では産まれ年の干支に守護される信仰があり、忌み月とされる旧暦1月・5月・9月「正五九月」のいずれかで十二支の守り本尊を参拝する「首里十二支巡り」が残っています。首里観音堂(慈眼院)・達磨寺(西来院)・盛光寺・安国寺の四か所ですね。

また沖縄で最も知られる那覇市の沖宮(おきぐう)を中心に、目的に合わせて参拝する八つの神社「琉球八社」も有名です。

首里十二支巡り・琉球八社の場所について、詳しくは下記コラムをご参照ください。

 

 

 

沖縄では神社・寺の拝み方が違う?

沖縄では神社・寺の拝み方が違う?
沖縄でも旧暦1月・5月・9月の忌み月に寺参りを行う「ティラヌムメー(寺参り)」があるように、神社・寺を参拝する人々は多いです。ただ沖縄では独自の拝みを捧げる儀式「ウグァン(御願)」文化があり、本州とは拝み方が異なるでしょう。

現代では本州の拝み方に倣い参拝する様子も多く見受けますが、今も昔ながらのウグァン(御願)は多くの家で残っています。

そのため首里十二支巡りでご紹介した「首里観音堂(慈眼院)」などでは、沖縄のウグァン(御願)が行いやすいよう、机や置き具を用意していました。

ウグァン(御願)を行う目的やウガンジュ(拝所)・地域によっても異なりますが、家庭円満・子育て祈願のティラヌムメー(寺参り)を例に、お供え物や拝み方をご紹介しますので参考にしてください。

 

①ティラヌムメー(寺参り)の時期

沖縄では心身の穢れ(けがれ)を忌み慎む時期「忌み月」があります。この時期は不吉な物事が起こりやすく縁起が悪いとして、結婚・新築・転居など事始めを避けてきました。

この「忌み月」が旧暦1月・5月・9月にあたる「正五九月」です。なかでも旧暦9月にあたる時期は、ティラヌムメー(寺参り)をはじめとする巡拝行事が行われます。

と言うのも、沖縄では家を守護する台所の神様「ヒヌカン(火の神)」信仰があり、ヒヌカン(火の神)が他の神々様との繋ぎの役割を果たすためです。残る旧暦1月・5月はヒヌカン(火の神)を通したウグァン(御願)になる家も多くあります。

 

 

②ティラヌムメー(寺参り)を行う人々

ティラヌムメー(寺参り)を毎年行う信心深い人もいれば、ニンマーイ(二年ごと)など定期的な参拝行事とする家もあります。もちろん現代の沖縄では、全く関心のない人もいるでしょう。

前述したように、健康面で心配な子どもがいる・気にかかる家族がいる・受験生がいるなど、特別な祈願事がある家族もティラヌムメー(寺参り)を行います。

昔ながらの風習としては、一年内に赤ちゃんが産まれたなど家族構成が変わった家・厄年の家族の厄祓い・七五三祝い・長寿祝いなどでティラヌムメー(寺参り)を行ってきました。

ちなみに厄年・長寿祝いに関しては本州とは考え方が違います。沖縄では生まれ干支を厄年とし、60歳以上で迎える厄年が長寿祝いです。
沖縄の厄年・長寿祝いと本州との違いについて、詳しくは下記コラムをご参照ください。

 

 

③沖縄で遠方の神社・寺に行く時は?

沖縄で遠方の神社・寺へティラヌムメー(寺参り)に行く時には、まず集落の神様へ参拝します。集落の神様へ参拝することで、これから行く神社・寺の神様へ繋いでいただくためです。

あなたを良くしる集落の神様は、遠方の神社・寺の神々様へ「これから〇〇に住む〇〇が参拝に行くので、どうぞ願いを聴いてあげてね。」と仲介してくれるでしょう。 つまりは町医者と総合病院の関係性です。

 

●集落の神様へ参拝できない時は、自宅のヒヌカン(火の神)から繋ぎをしていただくこともできるでしょう。

 
沖縄で遠方の大きな神社・寺へ参る時には、その前に集落の神様に「これから○○へお参りに行きますので、無事に済ませられますように」とご報告して繋げていただきます。

 

④ティラヌムメー(寺参り)で持参するお供え物

④ティラヌムメー(寺参り)で持参するお供え物
沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は、ウガンジュ(拝所)によってお供え物「ウサギムン」が少しずつ違うでしょう。今回は一般的な子育て祈願における、ティラヌムメー(寺参り)のお供え物をご紹介します。

 

・ウサク(お酒)
・ミハナ(御花)
・紅白まんじゅう
・果物の盛り合わせ
・チャーギなどの供え葉

 
「ミハナ(御花)」とはお米を差します。「カラミハナ(乾花)」「ハナグミ(花米)」とも言いますがどちらも同じです。

果物は父性を表すバナナ・母性のりんご・子孫繁栄を表すみかんを供えますが、他の果物でも構いません。

上記イラストを見ながら揃えてみてください。沖縄には屋外でのウグァン(御願)に便利なビンシー(瓶子)と呼ばれる木箱もあるので、こちらを準備しても良いかもしれません。

 

 

⑤ティラヌムメー(寺参り)のお線香

ティラヌムメー(寺参り)で供えるお線香の本数は、一般家庭であれば「ジュウニフンウコー(十二本御香)」が一般的です。

「ジュウニフンウコー(十二本御香)」とは日本線香12本分にあたり、沖縄線香「ヒラウコー(平御香)」ならタヒラ(2枚)ですね。日本線香では簡易化して4本分を供えることもあります。

山奥など自然深いウタキ(御嶽)を巡拝する場合、火の用心の観点から火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」を供える人もいるでしょう。この場合は神様への税金と呼ばれる「シルカビ(白紙)」の上に置いてください。

「シルカビ(白紙)」は習字の半紙を手で四つ切りに千切り、さらに2つ折りにしたものです。作り方などは下記コラムに詳しいので、参考にしてください。

 

 

⑥ティラヌムメー(寺参り)では日本線香でも良い?

沖縄のウグァン(御願)では、沖縄線香「ヒラウコー(平御香)」が用いられています。ヒラウコー(平御香)は日本線香6本文をくっ付けて板状にした形状です。

ただヒラウコー(平御香)の原料はでんぷんで香がありません。その分価格も安く手頃なため、沖縄では日常的なウグァン(御願)で用いられてきました。

けれどももともと沖縄でも、特別なウグァン(御願)では日本線香が好まれています。香木を原料として香り高い日本線香は「カバシウコー(香御香)」とも呼ばれました。ただかつての沖縄では、高価な香木を原料とした日本線香は高く、気軽に入手できなかったのです。

そのため現代においてはヒラウコー(平御香)が定着していますが、日本線香を利用しても問題はありません

簡略化してジュウゴフンウコー(十五本御香)なら日本線香5本、ジュウニフンウコー(十二本御香)なら日本線香4本を供える人もいるでしょう。

 

沖縄で神社・寺の神様を自宅に招く方法

沖縄のお彼岸では、いつヒヌカンへ拝む?
沖縄ではヒヌカン(火の神)を祀る「ヒヌカン信仰」があることをお伝えしました。このヒヌカン(火の神)へ神社・寺・ウタキ(御嶽)などの神様を繋いでいただくことができます。

ヒヌカン(火の神)に繋いでいただくことで、頻繁に遠方まで参拝せずとも自宅から祈願し感謝を捧げることが可能です。

大きな祈願事がある・家族に心配事があるなど、日ごろから沖縄の神様・仏様へ参拝したい人々は、自宅に新しくヒヌカン(火の神)を仕立ててみてはいかがでしょうか。

かつては母から娘・義母から嫁へと継承するヒヌカン(火の神)でしたが、現代では一から新しくヒヌカン(火の神)を台所に仕立てる家も増えました。
新しくヒヌカン(火の神)を仕立てる方法については、下記コラムに詳しいです。

 

 

①ヒジュルウコー(冷たい線香)を供える

①ヒジュルウコー(冷たい線香)を供える
沖縄の神社・寺の神様をヒヌカン(火の神)に繋ぐ時には、火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」を供えます。

ヒジュルウコー(冷たい線香)の下にはシルカビ(白紙)を供えましょう。先に触れたように、手で丁寧に四つ切りに千切った後、さらに2つ折りにします。

お供え物「ウサギムン」は通常のティラヌムメー(寺参り)と変わりありません。ミハナ(御花)・ンミキ(お酒)・紅白まんじゅう・果物の盛り合わせなどです。

 

②住所を伝えて拝む

沖縄で神社・寺の神様・仏様へウグァン(御願)を行う時には、住所・生まれ干支・氏名をお伝えし、どこの誰が拝んでいるのかをお伝えしましょう。

ユタ・ノロであれば拝みの言葉「グイス(祝詞)」でウグァン(御願)を行いますが、一般家庭でのティラヌムメー(寺参り)であれば、内容が同じなら現代の言葉でも良いでしょう。

 

「ウートゥートゥー 〇〇ヌ(神様の名)ウカミガナシー、

今日の良き日、〇〇(住所)の〇〇(干支)・〇〇〇〇(氏名)とその結び(妻)、〇〇(干支)・〇〇〇〇(氏名)が本日拝みに参りました。

紅白のおまんじゅう・ミハナ(御花)・果物をお供えしています、どうぞお受け取りください。」

 
などとお伝えし、続いて本日の祈願事をお伝えしましょう。
その場にいない子どもや家族の御守護を祈願するならば、対象の家族の干支もお伝えします。

 

③ヒジュルウコー(冷たい線香)を持ち帰る

神社・寺・ウタキ(御願)などに供えたヒジュルウコー(冷たい線香)は自宅に持ち帰りましょう。

ヒジュルウコー(平御香)は下に敷いたシルカビ(白紙)に包み、さらに無地の封筒に入れます。そのまま自宅まで持ち歩くと良いでしょう。

 

④ヒジュルウコー(平御香)をヒヌカン(火の神)へ供える

自宅へ持ち帰ったヒジュルウコー(平御香)は、準備をしていたヒヌカン(火の神)のウコール(香炉)に火を付けて供えます。ヒラウコー(平御香)の灰から、神様・仏様がウコール(香炉)の底に移るためです。

ヒヌカン(火の神)へお願いするだけで、遠方の神様・仏様へ繋いでくれますが、この繋ぎの儀式を行うことで直接ウグァン(御願)ができるため、より強く繋がることになるでしょう。

 

沖縄の地元民が参る神社や寺

沖縄の地元民が参る神社や寺
沖縄は神社や寺が少ないと言われますが、現代では本州と同じように受験・収入・仕事・出産・子育てなど、目的に合わせて参拝する神社・寺はあります

ここでは旧暦9月のティラヌムメー(寺参り)で、沖縄の人々が目的に合わせて参拝する神社・寺をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

①識名宮(しきなぐう)

識名宮は商売繁盛・合格祈願の神様です。特に建築関係の諸祈願にご利益があります。そのため建築会社など、会社で参拝する様子も見受けるでしょう。

 

[住所] 〒902-0071 沖縄県那覇市繁多川4丁目1−43
[電話] 098-853-7225
[HP] http://sikinagu.com/

 

②安里八幡宮(あさとはちまんぐう)

安里八幡宮は勝負の神様と呼ばれ、スポーツなどで勝ちたい・立身出世したい、などの祈願事に向いています。

また縁結びの神様「玉依姫命(タマヨリヒメノミコト)」を祀っているため、縁結び・夫婦和合にもご利益があるでしょう。玉依姫命は方除け・厄除けのご利益もあります。

 

[住所] 〒902-0067 沖縄県那覇市安里3丁目19−14
[電話] 098-863-8716
[HP] http://asatohachimangu.net/

 

③神徳寺(しんとくじ)

ピンクの神様で知られる神徳寺(八幡神徳寺)は、就職祈願の神様として有名です。また規模の大きな祈願事「大成願就」の神様とも言われるため、絶え間ない努力の成果を望む時にも選ばれます。
不動明王を祀る神社です。

 

[住所] 〒902-0067 沖縄県那覇市安里38
[電話] 098-867-5894
[HP] https://www.tsunagaru-map.com/shurinahakouzubyobu/map.html?point=457

 

④天久宮(あめくぐう)

天久宮は特に女性に信仰される神社で、弁財天を祀ります。天女伝説が残る天久宮では、縁結び・縁切りのご利益も有名です。那覇市泊の外人墓地近郊の坂をさらに昇った場所にあるでしょう。
白へび伝説もあり、地下にはトグロを撒いた白へびとされるビジュル(霊石)が祀られています。

 

[住所] 〒900-0012 沖縄県那覇市泊3丁目19−3
[電話] 098-863-3405
[HP] https://amekugu.jimdosite.com/

 

⑤臨海寺(りんかいじ)

真言系仏教宗派のひとつ東寺真言宗(とうじしんごんしゅう)による寺院です。現世で願いを叶える現世利益の神様で、本来は沖宮を管理するために置かれた神社でした。

沖縄には宜野湾市普天間の「神宮寺」・沖縄市久保田「遍照寺」・那覇市上之屋「聖現寺」・那覇市安里「神徳寺」など、東寺真言宗による寺が多く配置されています。

 

[住所] 〒900-0002 沖縄県那覇市曙1丁目18−19
[電話] 098-861-2009
[HP] https://www.tsunagaru-map.com/shurinahakouzubyobu/map.html?point=459

 

⑥久米至聖廟(しせいびょう)

久米至聖廟は1392年、明の時代に琉球王国へ下賜(かし)され、以降約300年以上に渡り移り住んだ職能集団「久米三十六姓(くめさんじゅうろくせい)」が信仰した儒教による孔子廟です。

三国志で知られる関羽は「カンティーオー(関帝王)」として祀られ、沖縄ではジングトゥ(金銭)の神様・商売の神様として拝まれてきました。そのため商売繁盛や金銭のご利益があります。

また沖縄ではカンティーオー(関帝王)信仰が一部の家や地域に残り、トゥクヌマ(床の間)にはカンティーオー(関帝王)の掛け軸を祀り、定期的に拝む風習もありました。詳しくは下記コラムをご参照ください。

 

[住所] 〒900-0033 沖縄県那覇市久米2丁目30−1
[電話] 098-868-8598
[HP] http://kumesouseikai.or.jp/

 

 

⑦浮島神社(うきしまじんじゃ)

浮島神社は「長寿宮(長寿神社)」の名前で親しまれてきましたが、昭和17年に現在の浮島神社へと名前を変え現在にいたります。夫婦を繋ぐ神様・縁結びの神様として知られますが、沖縄では厄除け・病気平癒・受験合格のご利益としても拝まれてきました。

浮島神社は先の戦争により焼失し姿を消し復興もままならず、現在は波の上宮本殿の左手前に仮宮として遷宮されています。

 

[住所] 〒900-0031 沖縄県那覇市若狭1丁目25−11
[電話] 098-868-3697
[HP] http://jinjacho.naminouegu.jp/ukishima.html

 

⑧世持神社(よもちじんじゃ)

世持神社は琉球八社「沖宮」と同じ、那覇市奥之山公園に位置する神社です。
沖縄産業における三恩人、野国総官(のぐにそうかん)・儀間真常(ぎましんじょう)・蔡温(さいおん)を祀ります。

そのため世持神社のご利益は商売繁盛・金運・立身出世となり、特に沖縄では、三恩人にゆかりのある砂糖業界・農林業界・教育界の人々に拝まれるでしょう。

 

[住所] 〒900-0026 沖縄県那覇市奥武山町(奥之山公園内)
[HP] http://www.jinja-net.jp/jinjashi-kensaku/jsearch3jinjashi.php?jinjya=8667

 

⑨沖宮(おきぐう)

沖宮は琉球八社のひとつで、波の上宮・普天間宮と並び沖縄の人々が参拝する神社です。なかでも沖宮は天照大御神をはじめとする、多数の神々様が祀られています。

そのため現世利益をもたらすあらゆるご利益があり、金運・商売繁盛・出世開運・縁結び(良縁)などが有名です。

 

[住所] 〒900-0026 沖縄県那覇市奥武山町44(奥之山公園内)
[HP] http://okinogu.or.jp/

 

⑩住吉神社(すみよしじんじゃ)

世持神社や沖宮へ参拝するならば、同じく沖宮の敷地内にある住吉神社へ参拝してみてはいかがでしょうか。

住吉神社では国造りの神様「イザナキノミコト(伊邪那岐命)」の子である、表筒男・中筒男・底筒男の3柱を祀っています。国守りの神様、沖縄の住吉神社のご利益は海路平安などです。

 

[住所] 〒900-0026 沖縄県那覇市奥武山町44(奥之山公園内)

 

沖縄ではユタ・ノロが祭祀者なの?

沖縄ではユタ・ノロが祭祀者なの?
沖縄では今でも家付きのユタ・ノロが残る地域は多いでしょう。集落行事でも集落のユタやノロが祭祀者となり、地域のウガンジュ(拝所)でウグァン(御願)の儀礼を行います。

また首里十二支巡りの霊場として数えられる首里観音堂(慈眼院)などでは、ユタやノロが独自のウグァン(御願)儀礼に基づいた参拝方法で拝む様子も多く見かけるでしょう。

けれども現代の沖縄では本州以上に神仏習合のチャンプルー文化が広がっています。葬儀や法要でも僧侶による法要もあれば、ユタやノロによるウグァン(御願)が残る儀式も多いです。

そのため沖宮・波の上宮・普天間宮などでは、本州と同じように厄年になれば宮司によるお祓いも受けるなど、沖縄の人々は柔軟な対応を見せています。

 

①沖縄のノロとは?

沖縄には琉球王朝の時代から「カミンチュ(神人)」がいました。琉球王朝には神事を行い、神々様からのお告げを伝える巫女が「ノロ」であり、女性司祭を職業としています。

沖縄では霊力を「セジ」と呼び、強いセジを持ち神事では神様が憑依する存在がノロでした。そんなノロの頂点に君臨する女性巫女が「聞得大君(きこえおおきみ)」です。

ノロは国守りの神々と交信できる存在で、西方楽土「ニライカナイ(西方彼方)」からの来訪神や、琉球王国を守る守護神の言葉を人々に伝えます。

そしてノロは血筋により継承される存在であり、この点がユタとは大きく異なるでしょう。

 

②沖縄のユタとは?

ユタはよりパーソナルな呪術師のイメージです。ノロが琉球王国や国家など国守りに関する神々様と交信するのに対して、ユタは家のご先祖様や故人の霊魂との交信能力に長けています。

そのため沖縄では庶民の間でユタが広まり、ご先祖様のお言葉を伝える家付きのユタも数多く存在しました。

 

③沖縄のオナリ信仰

沖縄の「オナリ信仰」とは、兄弟姉妹がいる家庭において「姉妹は兄弟を守護する霊的な力がある」と言う考え方です。「オナリ」とは沖縄の言葉で姉妹を表し、対して兄弟は「エケリ」と言います。

例えば兄弟の旅路では、旅立ちの日に姉妹の髪の毛などをお守りにして手渡すなどがあるでしょう。
このように沖縄では、女性にセジがあると信じられてきました。同じく沖縄のノロ・ユタも一般的に女性が担いました。

 

まとめ:沖縄には神社・寺の他、ウタキ(御嶽)なども存在します

まとめ:沖縄には神社・寺の他、ウタキ(御嶽)なども存在します
沖縄は神社や寺が少ないと言われますが、沖縄にも沖宮や波之上宮などの神社・寺はあり、本州の人々と同じように、宮司による厄払いなども行われてきました。

けれども同時に、沖縄では自然崇拝・祖霊信仰に基づく琉球神道の歴史があり、ビジュル(霊石)や自然の万物を信仰の対象としたウタキ(御嶽)なども存在します。現代ではこのようなウタキ(御嶽)やビジュル(霊石)などがパワースポットとして注目されるようにもなりました。

また沖縄では神社や寺に参拝に行く時にも、独自の拝み方「ウグァン(御願)」に倣い拝む家も多いでしょう。宮司やご住職のいないウガンジュ(拝所)も多いです。

沖縄では信仰のチャンプルー文化に戸惑う人もいるかもしれませんが、ぜひ琉球の歴史を理解しながら柔軟に参拝してみてはいかがでしょうか。

沖縄の神々様をご自宅に迎えたいならば、ヒヌカン(火の神)を仕立てる方法も一案です。供養ギャラリーではヒヌカン(火の神)にも適切な、コンパクトな祭壇や道具が数多く揃っています。ぜひご相談ください。

 

 


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