・沖縄でおすすめのお寺は?
・沖縄の寺参り(ティラヌムメー)とは?
・沖縄のお寺での参拝やお供え物は?
沖縄で「寺参り(ティラヌムメー)」とは、忌み月とされる旧暦正五九月(1月・5月・9月)に寺院を参拝する行事です。
独自の祖霊文化が残る沖縄では、寺参りのお供え物も少し違います。
本記事を読むことで、沖縄でおすすめの寺院や参拝時期、沖縄のお寺参り(ティラヌムメー)でのお供え物や拝み方が分かります。
沖縄でおすすめのお寺は?
◇沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は、お寺ばかりではありません
海に囲まれ中継貿易の拠点として栄えた琉球王朝時代から、龍神様への拝みを行う風習もあり、各地の港に龍神様の祠があります。
この他、沖縄で観音様は子どもを守護する神様です。
日々の暮らしの守護には、集落の氏神様、土を司る土帝君(トゥーティークン)が日々拝まれてきました。
<沖縄のウガンジュ(拝所)> | ||
[ウガンジュ(拝所)] | [神様] | [場所] |
(1)御嶽 (ウタキ) |
・自然神 ・龍神 [拝み先] ・イビ (石を積む) |
・斎場御嶽 (セイファーウタキ) ・安須森御嶽 (アスムイウタキ) …など。 |
(2)石神 (ビジュル) |
・霊石 ・権現 [拝み先] ・霊石 |
・泡瀬ビジュル ・ビンヅル毛 …など。 |
(3)土帝君 (トゥーティークン) |
・氏神様 ・土の神様 [拝み先] ・祠 |
・瀬底土帝君 ・大謝名集落 …など。 |
(4)龍宮の神 (リューグヌカミ) |
・龍神の神 | ・港の祠 ・竜宮底親産潮砂の神 ・ニレーシン(ニライ神) |
(5)沖縄のお寺 (ティラ) |
・観音様(観音堂) ・御本尊様 …など。 |
・識名宮 ・天久宮 ・沖宮 …など。 |
また仏教が根付いていない沖縄では、神社と寺院との区別があまりありません。
沖縄で寺参り(ティラヌムメー)と言えば、身近で見守ってくださる観音様など、神様仏様へ、子どもの成長や家族の平穏をご報告する感覚です。
そこで沖縄の寺参り(ティラヌムメー)では、寺院だけではなく、神社や自然信仰として御嶽(ウタキ)などへのお参りも見受けます。
沖縄のビジュル信仰
◇「ビジュル」とは霊石を差し、不動の心「お不動様」を表します
また独自の祖霊信仰とともに自然信仰が残る沖縄では、神様仏様の仏像ばかりを崇め奉るのではなく、「神様仏様の権現」とされる霊石なども崇拝してきました。
<沖縄のビジュル(霊石)信仰> | |
[ビジュルとは] | ●沖縄では不動の石神信仰 ・ビンズル様 ・不動様 ・賓頭慮(ビンヅル) |
女性祭祀のユタさんやノロさんが主に管理をする御嶽(うたき)とは違い、男性司祭者が多いのが特徴です。
特に中部泡瀬はビジュル信仰が強いのではないでしょうか。
沖縄の寺参り(ティラヌムメー)、拝み処の一例
◇沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は、特に旧暦正五九月に拝みます
日ごろの参拝は集落の氏神様が多いのですが、忌み月とされる旧暦正五九月(1月、5月、9月)の巡拝行事、沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は、さらに遠出し、家族で厄祓い・感謝・祈願の拝み「御願(ウグァン)」を行う人が多いです。
一例として、観音堂や権現も多い沖縄の中心、那覇の寺参り(ティラヌムメー)のウガンジュ(拝所)をお伝えします。
<那覇のウガンジュ(拝所)の一例> | ||
[ウガンジュ(拝所)] | [備考] | [住所] |
(1)識名宮 (しきなぐう) |
・建築関係諸祈願 ・商売繁盛 ・合格祈願 |
・沖縄県那覇市繁多川4-1-43 |
(2)安里八幡宮 (あさとはちまんぐう) |
・勝負の神様 ・夫婦和合 ・玉依姫 |
・沖縄県那覇市安里3-19 |
(3)神徳寺 (しんとくじ) |
・ピンクの本堂 ・就職祈願 ・大成 ・不動明王 |
・沖縄県那覇市安里38 |
(4)天久宮 (あめくぐう) |
・女性の御利益 ・縁切り ・縁結び ・弁財天 ・天女伝説 |
・沖縄県那覇市泊19-3 (外人墓地の近く) |
(5)臨海寺 (りんかいじ) |
・現世利益 (この世で願いが叶う) ・東寺真言宗 |
・沖縄県那覇市曙1-18-19 |
(6)久米至聖廟 (しせいびょう) |
・儒教(孔子廟) ・久米三十六姓 ・金銭の御利益 ・商売神(関帝王) …など。 |
・沖縄県那覇市久米2-30-1 |
(8)浮島神社 (うきしまじんじゃ) ※長寿宮 |
・病気平癒 ・受験合格 ・厄除け |
・沖縄県那覇市若狭1-26-3 |
(9)真教寺 (しんきょうじ) |
・浄土真宗大谷派 ・阿弥陀如来 ・本願寺琉球教場 |
・沖縄県那覇市西2-5-21 |
(10)世持神社 (よもちじんじゃ) ●沖縄産業の三恩人を祀る ・野国総官(のぐにそうかん) ・儀間真常(ぎましんじょう) ・蔡温(さいおん) |
[拝む人] ・砂糖業界 ・農林業会 ・教育界 …など |
・沖縄県那覇市奥武山町44 (奥武山公園内) |
(11)沖宮 (おきぐう) |
・金運 ・縁結び(良縁) ・商売繁盛 ・出世開運 …など |
・沖縄県那覇市奥武山町44 (奥武山公園内) |
(12)住吉神社 (すみよしじんじゃ) [イザナギノミコトの子] ・表筒男 ・中筒男 ・底筒男 |
[御利益] ・国守り ・海路平安 |
・沖縄県那覇市奥武山町44 (奥武山公園内) |
…などなどです。
特に下記のような祈願事がある家では、沖縄では目的に合わせた寺参り(ティラヌムメー)を行います。
・赤ちゃんが産まれた(家族が増えた)
・七五三祝い
・トゥシビー(年目)
「トゥシビー(年目)」は自分の干支に当たる年を差し、沖縄では厄年です。
(還暦を過ぎた61歳以上は祝い事になります。)
また子育て祈願なら沖縄では、観音様へ寺参り(ティラヌムメー)を行いますが、今では琉球七観音や首里観音堂など、集落以外の遠方へお参りする人も増えました。
いずれにしても沖縄は神仏習合による祀り方が多く、人々の概念としても神仏混合、沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は、神社も御嶽(ウタキ)も巡拝します。
沖縄の寺参り(ティラヌムメー)とは
◇沖縄の寺参り(ティラヌムメー)とは、正五九月のお宮参りです
沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は、もともとは集落単位で行う御願行事でしたが、今では家族単位で行う、沖縄の寺参り行事になっています。
・家族の健康祈願
・子どもの健やかな成長
・赤ちゃんの神親(仏親)
沖縄では子育てによる寺参り(ティラヌムメー)が多いです。
昔ながらの沖縄の寺参り(ティラヌムメー)では、神様仏様に赤ちゃんの「親」になって一生を守護していただく「神親(仏親)」のお参りがあります。
沖縄では子育てを守護する「観音信仰」が残るため、神親仏親のお参りでは観音様への御願(拝み)が多いでしょう。
病弱な子どもの寺参り(ティラヌムメー)
また、特別な沖縄の寺参り(ティラヌムメー)では、家族が住む集落のウガンジュ(拝所)から紹介状をいただいて、大きな観音堂や権現様へ参ります。
・健康面で病弱な子どもがいる
・気に掛かる子どもがいる
…このような祈願事の場合です。
例えれば地域の町医者のように、大きな観音堂や権現様へお参りへ行くに当たり、「紹介状」をいただきに上がります。
沖縄の寺参り(ティラヌムメー)で紹介状
◇沖縄では寺参り(ティラヌムメー)の前に、集落のウガンジュ(拝所)でご報告し、紹介状をいただきます
沖縄は観音信仰が深い地域です。
そのため集落の人々の健康や繁栄、子どもの健やかな成長を見守る観音様が、あちこちに点在しているでしょう。
(この観音様が例えで言う「町医者」です。)
大きな観音堂や権現へ行く時には、縁がなければ受け付けてもらえないため、集落のウガンジュ(拝所)で、先にご報告してから遠方へ伺います。
●行く前に集落の氏神様へご報告する
・「○○へ拝みに行きます」
・紹介をしてもらう
そのため、大きな観音堂へお参りへ行く時には、沖縄では地域のティラ(お寺)やビジュルに、「これから○○へお参りに行きますので、無事に済ませられますように」と、ご報告して繋げていただくと良いでしょう。
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沖縄の寺参り(ティラヌムメー)の拝み方
◇今の沖縄は家族での寺参り(ティラヌムメー)がほとんどです
昔ながらの沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は集落単位でしたが、現代はほとんどなくなっており、ほとんどが家族単位の行事になりました。
集落の寺(ティラ)やビジュル(霊石)は、いつでも自由に参拝できる拝み処が多いです。
家族単位でもそれほど困ることはないでしょう。
沖縄で寺参り(ティラヌムメー)のお供え物
◇沖縄の寺参り(ティラヌムメー)では、紅白まんじゅうを供える家が多いです
沖縄の寺参り(ティラヌムメー)は、拝み処によってお供え物(ウサギムン)が少しずつ違います。
ただ一般的には下記のようなお供え物(ウサギムン)を供えれば良いでしょう。
<沖縄の寺参り(ティラヌムメー)でのお供え物> | |
[お線香] | ●ジュウニフンウコー (十二本御香) ・日本線香…12本、もしくは4本 ・ヒラウコー(平線香)…タヒラ(2枚) |
[お供え物] | ・ウサク(お酒) ・カラミハナ(乾花) ・紅白まんじゅう ・果物の盛り合わせ ・チャーギなどの供え葉 |
カラミハナ(乾花)とはお米を差します。
まだ炊いていないお米を小皿にひと皿、整えると良いでしょう。
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沖縄の寺参り(ティラヌムメー)で神様を迎える
◇ウガンジュ(拝所)で火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい御香)」を供えます
この機会に神様を家に迎え入れたい場合は、沖縄では寺参り(ティラヌムメー)の際、火を灯さず供えるお線香「ヒジュルウコー(冷たい線香)」を供えます。
半紙を手で丁寧に千切り、適切な大きさに整えたシルカビ(白紙)を下に敷いた後、下記の手順で進めると良いでしょう。
(1)ヒジュルウコー(冷たい線香)をシルカビ(白紙)を敷いて供える
(2)住所と干支、性別、氏名を伝えて、拝む
(3)ヒジュルウコー(冷たい線香)を白封筒に入れて持ち帰る
(4)家のヒヌカン(火の神様)へ(3)に火を灯して供える
(5)「これからどうぞお見守りください」と迎え入れの御願をする
沖縄では神様を自宅で日々拝みたい時、繋ぎの役割を果たすヒヌカン(火の神)を通して拝みます。
このヒヌカン(火の神)の祭壇には、霊石や御本尊などのシンボルはありません。
その代わり、ウコール(香炉)の灰の底に神様は宿り、私達はヒジュルウコー(冷たい御香)を供えることで、神様がウコール(香炉)に移ります。
・【沖縄のヒヌカン】ヒヌカンを遠くの御嶽(うたき)と繋ぐ方法☆遥拝所としての役割とは
日本線香でも良い
◇沖縄の寺参り(ティラヌムメー)にあたり、日本線香を用いても構いません
また沖縄のお線香と言えば、昔ながらのヒラウコー(平御香)と呼ばれる沖縄線香ですが、実はヒラウコー(平御香)は香りがありません。
●特別な御願は、香り高いカバシウコー(香り線香)が神様には良いとされます。
このカバシウコー(香り線香)は、現代の日本線香です。
昔はカバシウコー(香り線香)が高級品だったため、ヒラウコー(平御香)を代用していた流れがあります。
・【沖縄のお供養】御願で違う☆ヒラウコー(お線香)の本数とは
沖縄て寺参り(ティラヌムメー)を行う正五九月とは?
◇「正五九月」とは沖縄に伝わる忌み月です
「忌み月」とは心身の穢れを忌み慎む時期とされ、不吉・縁起が悪いとして結婚式や新築、転居などお祝い事や事始めを避ける月でした。
沖縄で正五九月(1月5月9月)の忌み月には、御嶽(ウタキ)や神社寺院などを巡拝し、厄祓いを行う風習があります。
●沖縄で「正五九月」は、3つの忌み月
・旧暦1月(正月)
・旧暦5月
・旧暦9月
そのなかでも子どもの健やかな成長、家族の健康を祈願して、旧暦1月、9月に沖縄では寺参り(ティラヌムメー)を行ってきました。
<忌み月と沖縄の寺参り(ティラヌムメー)> ●忌み月(正五九月)の違い |
|
[忌み月] | [行うこと] |
・旧暦1月 | …ヒヌカンから遥拝 |
・旧暦5月 | …ヒヌカンから遥拝 |
・旧暦9月 | …観音様や祖霊を巡拝 |
「遥拝(ようはい)」とは、他の神様などに繋いでいただいて、遠くから参拝をすることを差し、巡拝(じゅんぱい)とは、複数の神様を巡ることです。
沖縄の家庭で遠くのウガンジュ(拝所)へ参拝する時は、繋ぎの役割を持つ家庭のヒヌカン(火の神様)を通しました。
現代ではヒヌカン(火の神様)を祀らない(置かない)家庭が増えましたが、一方で日々の拝み事のために、新しく1からヒヌカン(火の神様)を仕立てる家庭も増えています。
・【沖縄のヒヌカン】ヒヌカンの始め方。親から引き継ぐ、一から仕立てる2つの方法を解説
まとめ:沖縄で寺参り(ティラヌムメー)、集落から個人単位に
沖縄で寺参り(ティラヌムメー)は、もともとは集落行事でした。
けれども今では、すっかり家族で行う御願行事です。
ちなみに沖縄で観音様へ寺参り(ティラヌムメー)をするならば、観音様の縁日となる旧暦18日にお参りすると良いでしょう。
特に旧暦9月18日は新暦2023年11月1日(水)です。
その他の神様仏様も、それぞれに特定の神様と繋がりやすい縁日があります。
この日に合わせて御願(拝み)を行うと良いでしょう。
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まとめ
沖縄の寺参り(ティラヌムメー)とは
[寺参り(ティラヌムメー)]
●沖縄の忌み月にお寺を参る
[忌み月]旧暦1・5・9月
・昔は集落で行う行事
・今では家族単位
・子育て祈願・家族の健康繁栄[注意点]
・集落の神様仏様に紹介状
・紅白まんじゅうなどを供える[家に迎え入れる]
●神様仏様の縁日に行うのが良い
(1)ウガンジュ(拝所)
・火を灯さないヒジュルウコー(冷たい御香)
(2)家庭
・ヒジュルウコーを香炉に供える
・神様が香炉に移る(迎える)