香典返しとは?送るタイミングや料金相場、贈り方マナー、タブーやおすすめの品々を解説

2024.03.23
香典返しとは?送るタイミングや料金相場、贈り方マナー、タブーやおすすめの品々を解説

「香典返し」とは、通夜や葬儀などで香典をいただいたお礼の品です。けれども沖縄では香典返しを送るケースと、送らないケースがあるでしょう。本記事では香典返しマナーや、沖縄で香典返しを送るケース、香典返しの包み方や選び方、料金相場が分かります。

・「香典返し」とは?
・香典返しを送るタイミングは?
・沖縄では香典返しを送る?送らない?
・香典返しマナーは?
・香典返しの料金相場、品選び、おすすめの品々は?

香典返し」とは、通夜や葬儀などで香典をいただいたお礼の品です。
全国的には通夜や葬儀で香典をいただくと、忌明けの四十九日法要後、7日後までを目安に郵送します。

けれども沖縄では香典返しを送るケースと、送らないケースがあるでしょう。

本記事を読むことで、香典返しとはなにか?
香典返しマナーや、沖縄で香典返しを送るケース、香典返しの包み方や選び方、料金相場が分かります。

 

「香典返し」とは

沖縄で喜ばれる香典返しの品
◇「香典返し」とは、いただいた香典へのお礼の品です

香典返し(こうでんかえし)」とは、通夜や葬儀などで香典をいただいたお礼としてお渡しする品を指します。

 

<「香典返し」とは>
●通夜や葬儀に香典をいただくと、四十九日法要の忌明け後、7日間後まで~遅くとも1か月後までを目安にして、いただいた御香典の約1/3~1/2ほどの料金を目安に選んだ品を、ご挨拶状とともに先方へ郵送するのが一般的です。

 
けれども沖縄の場合、そもそもいただく香典が約千円~3千円ほどの金額のものも多く、当日の返礼品を香典返しとして済ませる葬儀も少なくありません。

また近年増えた家族葬などでは、香典返しの「当日返し」も増えました。
下記より、香典返しを送るタイミング、5つのパターンを解説しますので、自分の環境に適したものをお選びください。

 

香典返しの基本、3つのマナー

香典返しの基本、3つのマナー
◇香典返しと会葬返礼品とは違うものです

香典の金額相場が千円~3千円と、低め傾向にある沖縄では、そもそも香典返しを送る風習がありませんでした。

多くは葬儀当日、参列者のお帰りにお渡しする会葬返礼品をもって、香典返しとする葬儀が一般的だったためです。

そのためピンと来ない人もいるかもしれませんが、参列者を限定する全国的な葬儀や、現代増えた沖縄の葬儀において、香典返しは会葬返礼品とは別に準備します。

 

<香典返しの基本的な3つのマナー>
①会葬返礼品は会葬へのお礼
②香典返しは香典へのお礼
③香典返しの相場は、香典金額の約1/3~1/2ほど

 
そのため新聞のお悔やみ欄に掲載せず、参列者を限定した葬儀で、当日に香典返しをお渡しする「当日返し」をしたい場合、喪家が準備するのは、会葬返礼品と香典返しの2つの引き物です。

香典返しの当日返しにする場合、一般的には葬儀社に相談をすることで、準備をしてくれるでしょう。

 

①会葬返礼品は会葬へのお礼

◇「会葬返礼品」は会葬いただいたことへのお礼の品です

会葬返礼品(かいそうへんれいひん)」は、忙しいなかで突然の訃報に会葬いただいた参列者に対して、通夜や葬儀当日の帰宅時に、会葬のお礼として参列者へお渡しする引き物です。

 

<会葬返礼品>
[セット] 約6百円~千円ほどの品
・お清めの塩
・会葬礼状
[内容] ・ハンドタオル
・ハンカチ
・コーヒー
・お茶
…など

 
ただし香典金額が千円~3千円ほどとする、新聞のお悔やみ欄に記載して参列者を広く受け入れる従来沖縄の一般葬では、会葬返礼品のみを準備します。

 

②香典返しは香典へのお礼

◇香典返しは一般的に、改めて郵送する品です

対して香典返しは、約3千円以上の香典をいただいた相手に対して、香典へのお礼として、葬儀後に改めて準備をし、四十九日法要後に郵送します。

香典返し品の料金目安は香典金額に合わせて約1/4~1/2とし、納骨を済ませたご報告とともに感謝の気持ちを記載した手紙を添えるのがマナーです。

香典返しを送るタイミング(時期)や、適した品々、包み方やマナー、タブーについては、下記より詳しく解説します。

 

香典返しを送る5つのタイミング

香典返しを送る5つのタイミング
◇沖縄では、初七日法要後のタイミングでの香典返しもあります

現代、香典返しを送るタイミングはご遺族の都合や希望に合わせて選ぶ、カジュアルな葬儀も増えました。

特に家族葬においては、香典返しの手間暇を省くために、香典返しの当日返しの選択が増えています。
そのため香典返しを送るタイミングは、葬儀の規模によっても影響するでしょう。

 

<沖縄で香典返しを送る5つのタイミング>
①当日返し
②四十九日法要の後
③初七日法要の後
④神式[五十日祭]の後
⑤キリスト教式では30日以降

 
多くの参列者を迎え入れる、伝統的な一般葬であれば、従来の風習に倣います。

沖縄の風習に倣うのであれば香典返しのない葬儀、必要な相手にのみ初七日法要後に送ることになりますし、全国的な風習に倣うならば、四十九日法要後、7日後~遅くとも1ヵ月後までのタイミングです。

けれども小さい規模の家族葬や、仏式ではない神式やキリスト教式などであれば、それに倣った香典返しを送るタイミングになるでしょう。

 

 

香典返し①当日返し

香典返し①当日返し
◇通夜や葬儀当日にお渡しする香典返しです

香典返しの当日返しは、沖縄と全国で少し風習が異なります

その理由は、全国的な通夜や葬儀における香典の金額相場と、従来の沖縄での葬儀における香典の金額相場に大きな幅があるためです。

ただ近年では、全国的な風習に倣った葬儀が沖縄でも増えていますので、香典相場を目安に検討してください。

 

<当日返し:全国と沖縄の違い>
[香典相場] [香典返し]
①約5千円~1万円
(知人友人として)
・返礼品(約千円)
・香典返し(約2千円~3千円)
②約千円~3千円
(知人友人として)
・返礼品(約千円)

 
約3千円以下の香典に対しては、一般的に「香典返しは必要ない」とする考え方があります。

全国的な葬儀や、御案内状を出して参列者を限定した葬儀の場合、香典相場が知人友人や職場関係者であっても、約5千円以上になることが多いでしょう。
そのため返礼品とともに香典返しを準備します。

けれども沖縄で昔ながらの一般葬では、約千円~3千円ほどの香典相場です。
そのため香典返しは用意せず、返礼品をもって香典返しとする葬儀が多くなります。

 

 

当日返しの香典返しマナー

◇返礼品と香典返しを準備する葬儀は、参列者を限定した葬儀です

それでは沖縄の葬儀で返礼品とともに香典返しまで準備する葬儀の目安には、どのようなものがあるでしょうか?

分かりやすい判断のポイントは、新聞のお悔やみ欄で葬儀の告知をしているかどうかです。

 

<香典返しの判断ポイント>
[引き物] [判断ポイント]
①返礼品のみを準備 [香典相場]
・約千円~3千円
[返礼品の料金相場]
・約600円~2千円/1人
②返礼品+香典返しを準備
(参列者を限定する)
[香典相場]
・約5千円以上
[返礼品の料金相場]
・約2,500円~3千円/1人

 
新聞のお悔やみ欄で広く参列者を受け入れた、従来の沖縄の一般葬でも、約5千円以上の香典を渡されることがあります。

このような場合は、後日、約5千円以上の香典をいただいた相手にのみ、香典返しを郵送すると良いでしょう。

ただし「香典返しを辞退いたします」の一文を添えて香典をいただくこともありますので、この場合はお言葉に甘え、お礼のハガキや手紙のみを送ります

 

香典返し②初七日法要の後

香典返し②初七日法要の後
◇沖縄の葬儀では、初七日法要の後に香典返しをお返しする風習があります

全国的に香典返しを送る一般的なタイミングは、四十九日法要の後です。
全国的には四十九日法要で納骨式を行うため、「無事に納骨を済ませました」のご報告とともに香典返しを送ります。

一方、沖縄では葬儀当日に納骨を済ませる風習がありますよね。
そこで、納骨式当日の納骨式を済ませた家では、初七日法要「ハチナンカ(初七日)」の後に香典返しを送る風習がありました。

 

<初七日法要後の判断ポイント>
・葬儀当日に納骨を済ませている
約5千円以上の香典をいただいた

 
沖縄では「ナーチャミー(七日夜)」と呼ばれるように、その昔の沖縄では、故人が亡くなって七日目までは、連日お墓参りをする供養もあったため、初七日法要後のタイミングになりました。

 

初七日法要後の香典返しマナー

◇初七日法要後、納骨のご報告とともにお送りします

初七日法要後に香典返しを送る場合でも、5千円以上の香典をいただいた相手にのみ郵送すれば大丈夫です。

香典返しの料金相場は、香典の約1/3~1/2ですが、返礼品の金額を差し引いて考慮しても、問題はありません。

 

<初七日法要後の香典返し>
[送るタイミング] ・初七日法要後すぐ
[料金目安] ●(香典金額-返礼品)×1/2
(例)香典が5千円、返礼品が千円
・(5千円-千円)×1/2=2千円ほど
[包み方] 表書き…「志」
・掛け紙
水引…黒白、双銀
[その他]
・御挨拶状を添える
(納骨のご報告)

 
沖縄では参列者を受け入れる通夜を執り行う家は少ないですが、通夜と葬儀に参列した際、2回とも香典をいただくこともあります。
このような場合には、2回分の香典を合算して、香典返しの有無を検討しましょう。

 

[沖縄のハチナンカ(初七日法要)]
沖縄のハチナンカ(初七日)☆お供え物と進め方

 

香典返し③四十九日法要の後

香典返し③四十九日法要の後
◇全国的には四十九日の忌明けになってから、香典返しを送ります

このように沖縄では初七日法要「ハチナンカ」後に香典返しを送ることがあります。
けれども全国的には「四十九日法要前の忌中に、喪家から贈り物をしてはいけない」との考え方があるので注意をしましょう。

 

<四十九日の忌中>
●四十九日までの忌中、ご遺族は「死の穢れ(けがれ)」が残っているとされます。
…香典返しなどの贈り物をすることで、穢れを移すと忌まれてきました。

 
仏教では人が亡くなってから四十九日間は成仏せず、7日ごとに裁判を受けながら、あの世とこの世を彷徨う「霊」の存在だとされます。

そのため四十九日法要までの忌中、ご遺族は故人の極楽浄土への道を後押しする「追善供養」を行いながら、忌明けまで身を慎む期間とされてきました。

 

四十九日法要後の香典返しマナー

◇香典返しは四十九日法要後、7日間までに送ると適切です

全国的には四十九日法要の後、納骨のご報告を記載した御案内状を添えて7日以内に贈ります。
少なくとも約2週間から1ヶ月が経つ頃には送ると良いでしょう。

 

<四十九日法要後の香典返しマナー>
[送るタイミング] ●四十九日法要後
・7日間まで
・2週間まで
(遅くとも1ヵ月まで)
[料金目安] ●香典金額×1/4~1/2
(例)
・10万円×1/4=約2万5,000円
・5万円×1/3=約1万6000円
・5千円×1/2=約2,500円
[包み方] 表書き…「志」
・掛け紙
水引…黒白、双銀
[その他]
・御挨拶状を添える
(納骨のご報告)

 
近しい親族など、相互扶助の意味合いも込めて約10万円ほどの香典をいただくこともありますが、この場合約1/2で計算すると、香典返しも約5万円と高くなってしまいます。

そのためいただいた香典金額に合わせて、約1/4~1/2ほどで調整しても失礼にはあたりません。

 

仏式以外での香典返しのタイミング

まとめ:キリスト教の葬儀では、献花を行います
◇初七日や四十九日法要は、仏教の教えに基づいた法要です

沖縄でも全国的にも、基本的には仏式の通夜や葬儀、法要を執り行います。
けれども地域や家によって、神式やキリスト教式など、仏式以外の宗旨宗派で儀式を行うこともあるでしょう。

また仏教でも浄土真宗は、人が亡くなってすぐに成仏するとされます。
けれども香典返しにおいては、四十九日法要後のタイミングで問題ありません。

 

<仏式以外の葬儀>
①キリスト教式 ・カトリック
・プロテスタント
②神式
③無宗教(自由葬)

 
この場合には宗旨宗派に倣ったタイミングで香典返しを送って、問題はありません。
また無宗教(自由葬)の場合は、ご遺族の希望に寄り添うマナーが多いです。

無宗教の場合、そもそも香典を受け取らない「香典辞退」の選択もあります。
また無宗教で香典を受け取る場合には、一般的に仏式に倣ったタイミングで香典返しを郵送することが多いでしょう。

 

キリスト教式での香典返し

◇キリスト教式では30日以降に香典返しを送ります

キリスト教はカトリックとプロテスタントに分かれ、それぞれ儀式が異なりますが、一般的に30日後を目安に香典返しを送る家が多いです。

 

<キリスト教の儀式>
①カトリック ・30日目…追悼ミサ
②プロテスタント ・1カ月後…昇天記念日

 
このように、それぞれ正確には日にちが違いますが、仏教の四十九日法要に当たる儀式は、30日前後に行います。

ちなみにキリスト教では「成仏」の概念がないため、沖縄で香典返しに添えるお礼状を書く時には、仏教用語を使用しないよう注意をしてください。

特に気を付けたい言葉は「永眠」などですね。
仏教の「永眠」に当たる言葉は、カトリックが「昇天」、プロテスタントでは「召天」が適切でしょう。
詳しくは下記コラムに詳しいです。

 

 

神道での香典返し

◇神式で香典返しを送るタイミングは、「五十日祭」の後です

神式の葬儀の場合、故人が亡くなってから50日後に行われる「五十日祭」が、仏式の四十九日法要に相当します。
そのため五十日祭の後、約7日間までを目安に香典返しを送ると良いでしょう。

 

 

香典返しを送らないケース

香典返しを送らないケース
◇近年では、香典返しを送らないケースも増えています

そもそも前述したように、新聞のお悔やみ欄で葬儀告知をする、規模の大きな沖縄の一般葬では、時に参列者が100人以上にもなることや、それぞれの香典が千円~3千円と少ないことから、香典返しを送る風習がありません。

この他、全国的にも近年では香典返しを送らない、ご遺族の選択が増えています。

 

<香典返しを送らないケース>
①従来の沖縄の一般葬
②香典辞退
③会費制の葬儀
④経済的な理由

 
ただ近年の沖縄では全国的な風習に倣った葬儀が増えたことに伴い、香典自体の相場も高くなりました。
また若い人や移住者など「香典返しが当たり前」とする人もいますよね。

そこで通夜や葬儀で返礼品に添える会葬礼状には、「返礼品をもって香典返し代えさせていただきます」など、香典返しを送らない旨をひと言入れると良いでしょう。

 

①従来の沖縄の一般葬

◇規模の大きな沖縄の一般葬では香典返しを送りません

全国的な葬儀は、家族が亡くなると訃報ハガキや連絡により葬儀案内をします。
新聞のお悔やみ欄などを利用した葬儀の告知は、有名な人々が基本です。

 

<新聞のお悔やみ欄に掲載>
●けれども沖縄では家族が亡くなると、沖縄新聞二誌のお悔やみ欄に掲載する風習があります。

 
そのため一般の人々の葬儀でも規模は大きく、約80人~100人以上の参列者が集う一般葬儀も少なくありません。

従来の沖縄の葬儀では香典相場も低いものの、約5千円以上の香典をいただいた相手にのみ、香典返しを送ると良いでしょう。

 

②香典辞退

◇喪主が香典辞退を申し出る葬儀です

近年増えた規模の小さな家族葬、火葬場で済ませる直葬などでは、喪主が香典辞退を申し出る葬儀が増えました。

香典辞退の葬儀をする場合、御案内状にて「香典を辞退させていただきます」の一文を添えましょう。

 

<香典辞退の葬儀>
・参列者を限定する
・香典辞退の一文を添える
・香典をいただいた相手にのみ香典返しを送る

 
香典を持参された参列者に対しては、丁重にお断りをしますが、香典が郵送された場合などは、送り返すのも気が引けますよね。
このような時には有難く受け取り、香典返しを送ることがあります。

 

③会費制の葬儀

◇会費制の葬儀の場合、香典返しは送りません

さらに新しい葬儀スタイルとして、御香典を取りやめて、代わりに会費制とする葬儀があります。
仏教やキリスト教など、特定の宗旨宗派に倣わない葬儀に多いです。

 

<香典返しのない会費制の葬儀>
●宗旨宗派に縛られない、無宗教葬・自由葬に多い。
…ホテルを会場とした「ホテル葬」など。

 
先に家族で火葬を済ませた密葬に近い自由葬「偲ぶ会」のようなイメージのものになるでしょう。

このような場合、参列者は「皆で費用を出し合って葬儀を執り行う」目的で会費を出すので香典返しを送る必要はありません。

 

④経済的な理由

◇経済的な理由から香典返しを辞退することがあります

実は、もともと御香典はショックの渦中にいる喪主やご遺族を励まし、葬儀費用や一連の法要費用を出し合う、「相互扶助」の意味合いがありました。
香典返しは、その哀しみに寄り添う気持ちへのお礼です。

 

<経済的な理由>
●例えば一家の大黒柱として経済的に支えてきた家族が亡くなった葬儀など。
…誰の目にもその後の生活に困難が予想される場合などでは、香典返しを辞退するケースがあります。

 
故人が亡くなって経済的に苦しくなるならば、相互扶助の意味合いをもって、香典返しを送らなくても、理解を得られる場合があります。

経済的な理由から香典返しを送らない場合、四十九日法要後にご挨拶状を送りましょう。

 

供花や供物の香典返しは?

供花や供物の香典返しは?
◇供花・供物は香典の代わりですので、香典返しを送ります

通夜や葬儀に参列できない場合など、香典代わりに供花や供物が贈られることもありますが、3千円以上の品であれば、香典同様に香典返しを送るのがマナーです。
また香典辞退の葬儀の場合、香典代わりの供花・供物を持参する参列者もいます。

 

<供花・供物への香典返し>
[香典返しを送るケース] 約3千円以上の供花・供物
・香典代わりの供花・供物
[香典返しを送らないケース] 約3千円以下の供花・供物
・香典返しを辞退された相手

 
香典辞退の葬儀における供花や供物の場合、参列者も配慮して3千円以下の供花や供物を準備する、もしくは「香典返しは辞退させていただきます。」の一文が添えられいることが多いです。

もしも香典同様に供花や供物も辞退したい場合には、「供花・供物は辞退させていただきます」と添え、辞退すると良いでしょう。

 

香典返しの表書き

香典返しの表書き
◇表書きは「志」が広く利用できます

香典返しや返礼品をご遺族から送る場合は、「志」だと広く利用できるでしょう。
ただ参列者からお供物を送る場合には、弔事で扱う表書きが、いくつかあります。

 

<弔事で用いる表書き>
①志
②満中陰志
③粗供養
④偲び草
⑤茶の子
⑥忌明志

 
ここで参列者が喪家送る品の表書きとして、「御霊前」「御仏前」「御供」などがありますが、喪家から参列者へのお礼として贈る香典返しの場合は用いません。

「御霊前」「御仏前」は故人の前に差し出す(御前)の意味がありますし、「御供」はお供え物の意味がありますので、注意をしてください。

 

香典返しの表書き①「志」

◇関東地方を中心に、広く利用できる表書きです

」は仏式の香典返しにおいて、全国的に最も利用される表書きとなります。
「志」には気持ちの意味があり、「感謝の気持ち」「心ばかりのお礼」などの意味が込められている表書きです。

 

香典返しの表書き②「満中陰志」

◇主に関西地方の香典返しに利用されます

満中陰志(まんちゅういんし)」は、主に関西地方の香典返しでの表書きです。

仏教では故人の魂が成仏せずに彷徨う四十九日の忌中を「中陰(ちゅういん)」と呼びますが、「満中陰」は中陰である忌中が満ちて、忌明けを迎えたことを指します。

無事に中陰が満ち故人が成仏したご報告と、心ばかりのお礼と言う意味です。

 

香典返しの表書き③「粗供養」

◇「粗供養」は会葬返礼品などに用いられる表書きです

粗供養(そくよう)」とは、ささやかなお礼の意味があり、香典返しでも記載できますが、主に通夜や葬儀当日にお渡しする引き物「会葬返礼品」に利用されます。
特に関西地方に多い表書きです。

 

香典返しの表書き④「偲び草」

◇「偲び草」は、キリスト教や神道の香典返しで利用されます

「偲び草」は仏教以外の宗旨、キリスト教や神道において利用される表書きです。
「偲草」「しのび草」とも書きますが、どちらでも問題はありません。
偲び草は「故人を追慕する気持ち、想い偲ぶ気持ちを品に代えてお渡しする」忌みがあります。

 

香典返しの表書き⑤「茶の子」

◇「茶の子」は会葬返礼品や、当日返しによる香典返しに多い表書きです

「茶の子」の表書きを利用する地域は、主に中国地方・四国地方・九州地方の一部地域で、法要での引き物で表書きに利用される傾向にあります。

「茶の子」はもともとお茶請けの意味があり、香典返しの表書きとして記載されるならば、当日返しによる香典返しになるでしょう。

沖縄の言葉で「茶の子」はウチャヌク、三段のおもちを連想しますね。

 

香典返しの表書き⑥「忌明志」

◇「忌明志」は忌明け法要のお礼です

忌明志(きめいし)」は、志が感謝の意を指すため「お蔭様で無事に忌明けを迎えました」の意味があることから、四十九日法要後に送る香典返しの表書きです。
「満中陰志」の表書き同様に、主に関西地方で用いられます。

 

香典返しの表書きマナー

◇香典返しの表書きは黒墨を利用します

故人が亡くなって間もない通夜や葬儀における香典では、故人が亡くなった哀しみの涙で墨が濡れたことを表現し、薄墨で表書きを書きますよね。

けれども四十九日が過ぎた時期の香典返しでは黒墨を利用します。
また中央に書いた表書き、水引の下部分には送り主の氏名を書きますが、「○○家」など、喪家として記載して問題はありません。

 

香典返しの水引マナー

香典返しの水引マナー
◇弔事の水引きは、白黒の結び切りが基本です

沖縄で香典返しに水引きを整えるなら、「白黒の結び切り」と覚えると安心です。
時に白黒のあわび結びや、弔事において黄白の水引き、双銀の水引きを用いることもありますが、地域によって大きく違います。

慶事の水引の結び方で間違えると失礼にあたるため、改めて解説しますので、注意をしてください。

 

<水引きの結び方>
[掛け紙] 弔事…掛け紙
慶事…のし紙
[水引の種類] ●弔事
・結び切り
●慶事
・結び切り(結婚)
・あわび結び
・蝶々結び

 
喪主やご遺族が沖縄で香典返しを送るに当たり、絶対に避けるべきは蝶々結びの水引きです。
また、現代では水引きを印刷した掛け紙を掛けることが多いでしょう。

しばしば香典返しでも「のし紙」と言いますが、「熨斗(のし)」は慶事で用いる縁起物ですので、弔事である香典返しには用いません。
弔事で香典返しにかける紙は「掛け紙(かけがみ)」ですので注意をしてください。

 

①結び切りの水引とは

①結び切りの水引とは
◇「結び切り」が弔事で利用する水引です

結び切り(むすびきり)」は、方結びのような固く縛った結び切りの結び方は、二度とほどけることがなく、結びなおすことができません。

そのため、一度きり(二度と起きない)ことを願う水引の結び方として、二度と不幸が起きないよう、弔事全般で用いる他、結婚や快気祝いで用いても良いでしょう。

 

②あわじ結びの水引とは

②あわじ結びの水引とは
◇あわじ結びは結婚式の供物などで用います

あわじ結び(あわじむすび)」は、一度きりを願う水引きです。
けれども結び切りと違い、より関係性が深くなることを願います。

そのため喪主やご遺族への温かな励ましを受けて、弔事の席でも用いることはありますが、一般的により多いシーンは結婚祝いなどです。

 

③蝶々結びの水引とは

③蝶々結びの水引とは
◇蝶々結びは出産祝いや就学祝いなどで用います

蝶々結び」は、何度も起きて欲しいお祝い事で用いますので、何度起きても嬉しいお祝い事などで利用される水引です。

例えば七五三祝いや入学祝い・出産祝いなど、子どもの成長を祝うご祝儀などに多いでしょう。
一方で香典返しをはじめとする弔事では、最もタブーとする水引きです。

 

香典返し3つのタブー

香典返し3つのタブー
◇香典返しには御挨拶状を添えます

香典返しは通夜や葬儀の香典に対するお礼として、心ばかりの品を送るものです。
厳粛な仏教における弔事の風習であることや、通夜や葬儀には広く参列者をご案内するため、一定のマナーある香典返しの準備をしなければなりません。

 

<香典返し3つのタブー>
①掛け紙の絵に配慮する
②御挨拶状を添える
③掛け紙なしは避ける

 
また、しばしば香典返しを送るにあたり「掛け紙は内のし・外のしのどっち?」とのご質問もありますよね。

内のし」は包装紙の下に掛け紙を隠して包むこと、「外のし」は包装紙の上にかけて包むことです。

一般的に内のしは、より深い弔意が伝わるとして弔事の場面で好まれますが、香典返しを持参するなどの場合には、外のしを選ぶこともあるでしょう。

 

①掛け紙の絵に配慮する

◇掛け紙の絵に多い「蓮の花」は仏教によるものです

掛け紙に蓮の花が印刷されているデザインも多くありますよね。
けれども、もしもキリスト教式の葬儀だった場合、仏教のシンボルとなる蓮の花の絵柄が印刷された掛け紙は避けてください。

 

<宗旨による絵柄>
①仏教 ・蓮の花
②キリスト教式 ・十字架
・百合の花

 
神式では基本的に無地の掛け紙を用います。
香典返しを依頼するお店に無地の掛け紙があるならば、基本的には無地に表書きが掛かれたシンプルなものが良いでしょう。

 

②御挨拶状を添える

◇香典返しには御挨拶状を添えてください

香典返しには「お陰さまで 無事に四十九日法要を済ませることができました。」と言う報告の意味合いがあります。

またご遺族が身を慎む期間である忌明けを迎え、ご遺骨を無事納骨できたことを、感謝とともに報告する役割もあるため、御挨拶状を添えてください。

 

 

香典返しのタブー

香典返しのタブー
◇香典返しは仏教の教えに倣った品選びをします

仏式の通夜や葬儀を執り行った場合、香典返しも仏教の教えに倣い、殺生をイメージさせる肉や魚などは避けた品選びがポイントです。

また慶事の引き物で扱われるような紅白の品や、お祝いを連想させる品々も避けましょう。

 

<沖縄の香典返し:5つのタブー>
①四つ足生臭もの
②ビールなどの嗜好品
③金券やギフト券
④昆布・鰹節(かつおぶし)
⑤持ち運びがしにくいもの

 
当日返しの香典返しでは、参列者がご自宅へ帰るまでの道のりにも配慮して、あまりがさばる品は避ける傾向です。

沖縄では車で移動する人が多いですが、なかには本州から参列に訪れた人もいるかもしれませんので、帰宅まで配慮しましょう。

 

①四つ足生臭もの

◇「四つ足生臭もの」とは、いわゆる殺生をイメージさせる肉や魚です

沖縄の御願文化では、枕飾りに豚肉を茹でた「シルベーシ」を供えるなど、スーコー(焼香)でも「ごちそう」とされる肉を供える習慣があります。

 

<四つ足生臭もの>
●肉や魚のこと
・殺生を連想させる
・腐りやすい
(衛生面でリスクがある)

 
けれども仏教では殺生を良しとしないため、肉や魚などの殺生を連想させるものはタブーです。
また腐りやすいものとしても、参列者には好まれません。

 

②ビールなどの嗜好品

◇神式でお酒の供物はありますが、仏式でアルコールは避けます

またビールやお酒をはじめとする嗜好品も、香典返しの品としては避けられます。
ビールやお酒などの嗜好品が香典返しにふさわしくないとされるのは、仏教の教えが大きいでしょう。

 

<嗜好品>
・お酒に酔う行為が仏教で良しとされない・
・参列者全ての人が好む飲み物ではない
・当日返しの場合、重く持ち運びがしにくい

 
以上のような理由で、昔からビールやお酒などの嗜好品は、沖縄でも香典返しとしては避けられてきました。

 

③金券やギフト券

◇金額が分かる金券やギフト券は、避けられます

一般的には自由に使える金券やギフト券は喜ばれますが、目上の人に金銭をお渡しするのは、あまり良しとされません。

 

<金券やギフト券>
・目上の人に金銭は失礼
・金額が分かる(品がない)

 
金券やギフト券は現金ではありませんし、新居や出産・結婚など入り用の際にはお祝いとして贈ることも多いですよね。

けれども弔事においては露骨に金額が分かるため、全国的には品がないとして、香典返しには選ばれにくいです。

 

④昆布・鰹節(かつおぶし)

◇昆布や鰹節はお祝い事に扱う品です

昆布や鰹節(かつおぶし)は、昔から結婚式やお祝いで送られてきた引き物でした。
このような慶事で選ばれる品は、葬儀など弔事では避けます。

 

<昆布・鰹節>
①昆布
(こんぶ/こぶ)
・喜ぶ(よろこぶ)」の語呂合わせ
・縁起の良いもの
②鰹節
(かつおぶし)
・昔から慶事で選ばれてきたもの

 
昆布や鰹節だけではなく、熨斗(のし)や水引きの結び方などにおいても、慶事で扱うものを用いるのは、弔事にはふさわしくありません。

 

沖縄で喜ばれる香典返しの品

沖縄で喜ばれる香典返しの品
◇現代ではカタログギフトが人気です

現代では相手が自由に品を選べるカタログギフトが人気です。
カタログギフトは全国的にニーズが高く、約2,500円ほど~1万円以上まで、金額に合わせたコースを選ぶことができます。

 

<沖縄の香典返しで人気5つの品々>
①カタログギフト
②消えもの
③日用品
④渇き菓子
⑤陶磁器や漆器

 
香典返しの金額目安は、御香典の1/3ほど~1/2ですので、送る相手によって選ぶ香典返しの価格も変わるでしょう。

一般的に香典返しを送る相手は、香典でいただいた金額が約5千円以上ですので、香典返しも約2,500円~3千円ほどが目安です。

ただ大きな金額(約1万円以上)を包んでいただいた場合、香典返しの相場も高くなりますので、金額に合わせて選んでください。

 

①カタログギフト

お渡しする品としてはカタログですが、選ぶ商品のなかには肉や魚など、仏教としてはタブーとなる品も、相手の希望で選ぶことができます。

タオルや洗剤、お茶の葉などのいわゆる「定番」が人気の品とも限らない生活形態が多様化した現代において、最も実用的な引き物でしょう。

 

②消えもの

◇「消えもの」とは消えてなくなるものです

弔事の供物や香典返しは、不幸を残さない・死の穢れ(けがれ)を残さないために、消えてなくなる「消えもの」を選ぶとされてきました。
「消えもの」の代表的な例はお菓子やコーヒーなどの飲食物です

 

<消え物の例>
・お茶の葉
・コーヒー
・海苔
・調味料
・ジュース

 
消えもののなかでも消費期限が長く、相手のペースで利用できるものが喜ばれます。
参列者に子どもがいる家庭が多い場合、乾き菓子も人気です。

 

③日用品

◇「消えもの」には石鹸などの日用品も入ります

石鹸や洗剤などの日用品も、暮らしのなかで消えていく「消えもの」です。
またタオルはすぐに消えるものではありませんが、香典返しに多く選ばれます。

近年の沖縄では香典返しに選ぶタオルでは、「今治タオル」は人気ですね。
タオルとしては値段が高いので自分では選ばないものの、丁寧に製造された上質なタオルとして、引き物には人気です。

 

④乾き菓子

消えものの香典返しでも、特に多く選ばれる品が乾き菓子です。
子どもがいる家庭への香典返しとして、選ぶ人が多いでしょう。

 

<おすすめの乾き菓子>
・個包装されているもの
・消費期限が長いもの

 
クッキーなど個包装されて、消費期限が長い乾き菓子なら、小分けができて分けやすいですし、消費期限が長いと日にちを気にせずいただくことができます。

 

⑤陶磁器や漆器

最後に、沖縄の香典返しにはしばしば陶磁器や漆器を送る家もあります。
陶磁器や漆器は残るものなので、「不祝儀が消える」消えものの考え方から見ると、「なぜ?」と思う人もいるかもしれません。

 

<沖縄の香典返し(5)陶磁器や漆器>
陶磁器…(故人が)土に還る
漆器…不祝儀を黒く塗りつぶす

 
故人の思い出を残したい時、不幸事・不祝儀を残しながら、意味のある沖縄の香典返しとして選ばれるようになりました。

 

まとめ:香典返しは香典へのお礼です

「贈答用線香」とは
香典返し」は主に通夜や葬儀でいただいた香典返しへのお礼で、全国的には忌明けの四十九日法要の後、納骨式を済ませたご報告とともに郵送します。

ただ通夜や葬儀で参列した人々のなかには、四十九日法要にも参列する人が多いですよね。

四十九日法要でも香典を持参しますが、四十九日法要での香典のお礼は、お帰りに持ち帰っていただく「引き物」として準備をする流れが一般的です。

そして通夜や葬儀でいただいた香典へのお礼「香典返し」は、四十九日法要を終えた後、7日間後を目安に、遅くとも1ヵ月後までに郵送します。

会葬返礼品や法要での引き物と、香典返しを区別して、それぞれ準備をすることで、参列者への感謝を丁寧に伝えることができるでしょう。

 


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