・沖縄でタナバタ(七夕)の「仏壇の日」とは?
・沖縄で言われる「ヒーナシタナバタ」とは?
・沖縄で旧暦タナバタは、どんな日?
全国的には新暦7月7日の七夕に、織姫と彦星伝説になぞらえ、笹の葉に願い事を書きますが、沖縄で旧暦7月7日のタナバタには、仏壇事や故人への供養を行います。
本記事を読むことで、沖縄で旧暦7月7日のタナバタがどのように大切な日なのか、沖縄でタナバタに行う事柄、仏壇事を行う理由などを解説しますので、どうぞ最後までお読みください。
沖縄の七夕と全国の七夕の違い

沖縄の七夕(タナバタ)は、全国で知られる七夕とは意味も過ごし方もまったく異なります。ここでは、その違いをわかりやすくご紹介します。
全国の七夕=願い事、沖縄の七夕=仏壇事
全国的な七夕といえば、7月7日に笹を飾り、短冊に願いごとを書く「ロマンチックな行事」という印象が強いでしょう。
一方、沖縄の七夕(旧暦7月7日)は、ご先祖様に「もうすぐ旧盆が始まりますよ」とお知らせをする、仏壇事・お墓事を行う厳かな日とされています。
地域によっては「ソーローウンケー(精霊お迎え)」を行ったり、墓掃除や仏壇の整理をしたりと、旧盆の“はじまり”としての意味合いがあるのが沖縄の七夕の特徴です。
沖縄の七夕が旧暦に行われる理由とは
沖縄では多くの年中行事が旧暦で行われます。
これはかつて琉球王朝時代から続く生活リズムや農事歴が旧暦に沿っていたことに由来し、今でも多くのご家庭や門中(親族集団)で受け継がれています。
旧暦7月7日に行われるタナバタもその一つ。
2025年の旧暦7月7日は、8月29日(金)にあたります。
沖縄の旧暦7月7日タナバタ(七夕)は仏壇事・お墓事に良い日

◇沖縄のタナバタは、役割を見ると分かるように、供養行事です
特に沖縄では「ヒーナシタナバタ(日無し七夕)」は、仏壇事やお墓事として、1年で1度だけ許された、貴重な日と言えるでしょう。
「ヒーナシタナバタ(日無し七夕)」とは、天において「日がない」意味合いがあり、「日がない」ために天から神様・ご先祖様も見ていないことになります。
<ヒーナシタナバタ(日無し七夕)> | |
[仏壇事] | ・お仏壇掃除 ・お仏壇を新しく仕立てる ・お仏壇の処分 ・お仏壇の交換 ・お仏壇の閉眼供養 ・お仏壇の開眼供養 |
[お墓事] | ・お墓掃除 ・お墓を建てる ・お墓を撤去する ・お墓を移動する(改葬) ・お墓の扉を開ける ・お墓の閉眼供養 ・お墓の開眼供養 |
…沖縄ではむやみにお墓参りをしてはいけないなど、例え良いことであっても、お仏壇事やお墓事は変化をあまり好まないとされ、慎重に日取りを選ばなければなりません。
沖縄では執り行う人々の干支日にも配慮しなければなりませんが、「ヒーナシタナバタ(日無し七夕)」の旧暦7月7日は無礼講なので、お仏壇事やお墓事を進めやすい日です。
・【沖縄の秋彼岸】お墓参りへ行くタイミングはある?3つのタブーとは
2025年8月29日(金)は、ヒーナシタナバタ(日無し七夕)!

◇旧暦7月7日七夕は、2025年8月29日(金)です
沖縄の旧暦行事は、新暦で数えると毎年日にちが異なるので注意をしてください。
特に2025年は、新暦と旧暦のズレを調整するため、旧暦2月が2回訪れる「ユンヂチ(閏月)」が旧暦6月に訪れる年です。
2024年は8月10日(土)でしたので、旧盆の日程同様に、昨年の日にちと比べ大きく遅れています。いずれにしても、沖縄のタナバタ(七夕)は、旧暦7月13日~15日(16日)、2025年度は9月4日(木)~6日(土)に訪れる三大旧暦行事のひとつ、旧盆の6日前です。
2025年のタナバタ(七夕)は何をする日?

2025年8月29日(金)は、旧暦での七夕=タナバタの日です。
沖縄ではこの日に次のような「仏壇事・墓事」を行うご家庭が多く見られます。
仏壇掃除・閉眼供養・新調など
タナバタ(七夕)は、仏壇に関する事柄を行うのに「良い日」とされるため、以下のような行動をとる方もいます。
- 仏壇の掃除・お供えの入れ替え
- 新しい仏壇の設置・開眼供養(魂入れ)
- 古い仏壇の閉眼供養(魂抜き)
この時期は旧盆前でありながら、「厳密な日取り」にこだわりすぎない“柔軟な日”として扱われやすく、スケジュールが組みやすいとされています。
お墓の建て替えや改葬にも良い日とされる
門中によっては、墓じまいやお墓の新設・引越し(改葬)をタナバタに合わせて行う場合もあります。
「ご先祖様に対する報告と挨拶」を丁寧に行える日であるため、宗教的にも不自然さがない日取りとされているのです。
沖縄のタナバタ(七夕)で、仏壇事は何をする?

◇沖縄のタナバタ(七夕)は、別名「ヒーナシタナバタ(日無し七夕)」です
沖縄では旧暦7月7日のタナバタにお仏壇事を行います。
お仏壇の掃除の他、古くなった仏壇の取り替えや、新しく仕立てる時にも、沖縄ではタナバタの暦を選ぶ家が多くありました。
この他にも、沖縄で旧暦7月7日のタナバタはいくつかの役割を果たす日です。
<ヒーナシタナバタ(日無し七夕)> | |
[役割] | [内容] |
●ソーローウンケー (精霊お迎え) | ・ご先祖様へ旧盆のご案内 |
●ヒーナシタナバタ (日無し七夕) | ・神様の目がない「日がない」七夕 |
●タナバタスーコー (七夕焼香) | ・七夕に執り行う焼香(供養) |
現代の沖縄では、多くの地域で新暦7月7日を「七夕」と書き、本州の風習と同じように、笹の葉に願い事を書くなどをして祝います。
一方で旧暦7月7日を「タナバタ」や「旧七夕」などと呼び、沖縄の昔ながらのタナバタとして、お仏壇掃除やお墓参りなどを行う家が多いでしょう。
・現代の沖縄で広がる秋彼岸でのお墓参り。納骨堂や樹木葬5つのマナー
ソーローウンケー(精霊お迎え)とは
◇「ソーローウンケー(精霊お迎え)」とは、6日後に来る旧盆に向けて、ご先祖様をご案内するお墓参りです
ソーローウンケー(精霊お迎え)は、沖縄の三大お墓参り行事のなかでも規模の小さなもので、先祖代々位牌であるトートーメーを祀るムートゥーヤー(ムチスク/宗家・本家)の家族で行います。
<ソーローウンケーのお供え> | |
[拝み処] | [お供え(ウサギムン)] |
[ヒジャイガミ] | ・シルカビ ・ウサク(お酒)
<お線香> |
[墓前(ご先祖様)] | ・ミジティ(お水) ・ウチャトゥ(お茶/墓前のみ) ・供え花(墓前のみ) ・ウサク(お酒)
<お線香> |
シルカビは「神様への税金」と言われ、半紙を四つ切りに千切ったのち、さらに二つ折りにして使います。
シルカビの作り方は、下記コラムでも詳しく書いていますので、どうぞご参照ください。
沖縄のタナバタ(七夕):墓前拝みの変化
◇現代の墓前拝みでは、火の用心の観点から、火の扱いに注意する家が多いです
昔ながらの沖縄では、ヒジャイガミへの拝みを終えた後、ヒジャイガミの前でシルカビを金属ボウルなどに入れて焚き、お酒を掛けて鎮火しました。けれども現代は火の用事の観点から、控える家も増えています。
<沖縄のタナバタ:現代の変化> | ||
[内容] | [昔の御願] | [今の御願] |
●シルカビ | ・シルカビを焚く (上からお酒をかける) | ・シルカビは焚かない (供えるのみにする) |
●お線香 | ・火を灯して供える | ・ヒジュルウコー(冷たい御香) (火を灯さないお線香のこと) |
「ヒジュルウコー」とは、沖縄の言葉で「冷たいお線香」の意味があり、火を灯さない冷たいお線香を差します。
ただ旧盆6日前のウンケーソーロー(精霊迎え)では、赤い火を灯してご案内する家も多いです。お墓の立地や環境により判断すると良いでしょう。
・【沖縄旧盆】2023年8月22日(火)沖縄のタナバタ(七夕)!お供え物や拝み方とは
沖縄で“七夕の日に避けること”はある?

沖縄では「七夕の日は仏壇事をしても良い日」とされていますが、いくつか避けたほうが良いとされる行動や風習も存在します。
避けるべきとされること
●火の神(ヒヌカン)への大掛かりな供養
→ 火無しの日との考えから、必要最小限に留める家もあります
●仏壇の大掃除・解体など“気を乱す行動”
→ 別日に移す家系もあり、判断は門中ごとに異なります
●冠婚葬祭の新しい日取り決め(特に婚礼)
→ 七夕の日は「旧盆に入る前の静けさ」として扱う家庭もあり
こうした風習は、地域や家ごとに差があります。
不安がある場合は、親戚やお寺の方に相談すると安心です。
ヒーナシタナバタ(日無し七夕)とは

◇沖縄のヒーナシタナバタ(日無し七夕)は、「神様の目が届かない日」です
仏滅や友引きなどの六曜、執り行う家族の干支日など、日取りを気にせずお墓事やお仏壇事ができることはお伝えしましたが、なぜ沖縄では仏壇事やお墓事を、神様に見せてはいけないのでしょうか。
●沖縄では「死」を穢れとするためです。
・お墓事やお仏壇事は「死」にまつわる行事なので、できるだけ神様の目に触れない日、方法で行います。
その昔、沖縄でご遺体を火葬せずにお墓に置いて葬送する「風葬」の習慣があった頃、沖縄ではヒーナシタナバタ(日無し七夕)を目安に、風化した遺体を洗い骨壺に入れる「洗骨」が行われてきました。
お祝いも行うおめでたい事柄ですが、建墓(お墓を建てること)や修理、お仏壇の新調も、神様の目に触れてはならないとして、この日に行う家も多くあります。
「ヒーナシタナバタ」の意味と由来
「ヒーナシタナバタ(火無し七夕/日無し七夕)」とは、タナバタの日が仏滅や不成就日などと重なり、“正確な拝みを避けるべき日”とされることを指します。
ただし、「ヒーナシ」だからといって全く行事を避けるわけではなく、本来の意味を理解した上で、柔軟に仏壇事を行うご家庭も多く存在します。
由来には諸説ありますが、「火を焚かない=儀式の中心をずらす」「日がない=吉凶を断ち切る」という意味合いもあるとされています。
タナバタスーコー(七夕焼香)とは

◇沖縄で「タナバタスーコー(七夕焼香)」とは、海難など、遠くで亡くなった故人への供養です
また旧暦7月7日は、沖縄では「タナバタスーコー(七夕焼香)」の日でもあります。
沖縄のなかでも特に漁師町で見られる沖縄のタナバタスーコー(七夕焼香)は、名前の通りお供養のひとつで、海難などで亡くなった人々を弔う行事です。
なかには「どこで亡くなったか」分からない故人へ向けたスーコー(焼香)なので、沖縄のタナバタではあるものの、お仏壇に向かって拝む訳ではありません。
<沖縄のタナバタ:現代の変化> | |
[拝み処] | [理由] |
●リュウグ(竜宮)の祠(海岸) | ・海に向かって拝む ・ウトゥーシドゥクル(お通し処) |
「リュウグ(竜宮)」とは海の神様で、現代で言うところの龍神様などがそれに当たるでしょう。
「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」とは、遥か遠くから拝みが通じる「遥拝所(ようはいじょ)」を差します。
ヒヌカンも全国各地のウトゥーシドゥクル(お通し処)のひとつです。
高齢で海岸まで行けないなど、事情があればヒヌカンをウトゥーシドゥクル(お通し処)として、遥か遠くへ供養するのも良いでしょう。
・【沖縄のヒヌカン】ヒヌカンを遠くの御嶽(うたき)と繋ぐ方法☆遥拝所としての役割とは
沖縄のタナバタ(七夕)以外で、お仏壇事・お墓事をする場合

◇沖縄でタナバタ以外の日にちにお仏壇事やお墓事をするならば、六曜や干支日、厄年に配慮します
全国的にお墓事やお仏壇事を行う時には、仏滅や友引きなどの「六曜」に配慮しますが、沖縄ではこの他にも、下記の暦を避ける風習がありました。
・六曜
・干支日
・ウフトゥシビー(厄年)
全国的に耳慣れない言葉ですが、沖縄ではイチミ(生きる身)の干支を重視しています。「干支日」は、毎日に振り分けられた干支の日です。
また厄年も全国的な厄年とは違うので、沖縄でタナバタ(七夕)以外の日にちをお仏壇事やお墓事にあてる場合、理解していなければなりません。
・沖縄のマドゥトゥシビー拝み☆一年の無事を祈願するお供え物と拝み方
「六曜」とは
◇「六曜(ろくよう)」とは、民間信仰・陰陽道による日の吉兆を判断する暦です
「六曜(ろくよう)」は「六輝(ろっき)」とも呼ばれる、陰陽道を由来とした日の吉兆を占う曜(星)を、繰り返し当てた民間信仰で、「6つの曜」があります。
ただし、あくまでも民間信仰であり仏教とは関係のないものです。
特に沖縄では独自の祖霊信仰が根付くうえ、本州の影響で入った考え方なので、必ずしも配慮しなければならない訳でもありません。
<六曜とお仏壇事・お墓事> | ||
[六曜] | [意味] | [お仏壇・お墓事] |
●先勝(せんしょう) | ・午前中が勝ち ・先手必勝 | ・午前中が良い(14時まで) |
●先負(さきまけ) | ・午後が良い ・先んずれば負ける | ・午後が良い(14時から) |
●友引(ともびき) | ・友を導く ・友を引く | ・避ける |
●赤口(せきぐち) | ・凶日 ・火や刃物に注意する ・極悪の神「赤舌神」 ・お祝い事は避ける | ・避ける |
●仏滅(ぶつめつ) | ・最も凶日 ・尊い仏をも滅ぼす ・何をしても良い結果が望めない | ・避ける |
●大安(たいあん) | ・おおいに安し ・万事良し ・始めることに良し | ・最も良し |
沖縄ではタナバタ以外の「仏滅」に関して、お仏壇事やお墓事への考え方は、意見が多様に分かれています。
●全てを滅して一からスタート
・お祝い事もできる
・離婚や退職などに良い日
●弔事を行っても良い
また前述したように、仏教とは関わりがないため、葬祭業者などでは六曜を気にしないとする企業も多いです。
干支日とは
◇「干支日」とは、干支を日にあてはめたものです
全国的には以上の六曜を気にしますが、もともと沖縄では日に割り振られた「干支日」で、判断をしてきました。
基本的には関係者の干支日を避ける考え方です。
ただ大勢が集まる場合、参加者全ての干支日に配慮はできませんので、施主など、主たる人の干支日に配慮します。
●特に干支日を避ける人は下記です。
・主催する人
・資金を出す人
また、主催する人・資金を出す人以外の干支日に関しては、お墓事やお仏壇事を進めても良いのですが、干支日に当たる人は、霊魂が集まるお仏壇やお墓の前には立つことができません。
「六十干支」で日取りを見る

◇干支日を避けて日にちが決まらない場合、より頻度の少ない「六十干支」を採用します
沖縄では自分の干支にあたる日や年を「厄」と捉える考え方があり、沖縄のタナバタ以外ではお仏壇事やお墓事は干支日を避けます。
ただ関係者が複数いると、「良い日にち」がなかなか決まりません。
そこでさらに「十干(じっかん)を取り入れた「六十干支(ろくじっかんし)」が役立ちます。
<十干十二支の「六十干支」> | ||||
●干支(十二支) | ||||
・子 | ・丑 | ・寅 | ・卯 | ・辰 |
・巳 | ・午 | ・未 | ・申 | ・酉 |
・戌 | ・亥 | |||
●十干 | ||||
・甲 | ・乙 | ・丙 | ・丁 | ・戊 |
・己 | ・庚 | ・辛 | ・壬 | ・癸 |
日取りであれば12日ごとに回る計算ですが、十干を加えた「六十干支」を取り入れると、60日に一度の巡りなので、日にち選びが楽です。
例えば「甲卯」など、十干と十二支が重なる日取りであれば、60日ごとになりますから、集まる親族で重なる割合が減ります。
沖縄のウフトゥシビー(厄年)
◇沖縄のウフトゥシビー(厄年)は、自分の干支年です
ですので12年に1度、自分の干支の1年が巡って来る「年女」「年男」は、1年を通して沖縄のタナバタ以外でお仏壇事やお墓事ができなくなります。
さらに全国的な厄年と同じように、沖縄のウフトゥシビー(厄年)にもメーヤク(前厄)とクシヤク(後厄)もあり、合わせるとまる3年も動けなくなる計算です。
<沖縄の厄年は「干支年」> | |
[避ける年] | [例] |
●厄年(自分の干支年) | ●2025年【巳(へび)】が厄年の場合 |
・メーヤク(前厄) ・クシヤク(後厄) | ・2026年【午 (うま)】…メーヤク ・2025年【辰 (たつ)】…クシヤク |
そのため集まる親族によっては、全ての人々に良い日取りを選ぼうとすると、どの日にちも重なってしまうとして、なかなか事を進めることができなかったり、トラブルの種になってしまいます。
これが沖縄でタナバタが、お仏壇事やお墓事に重宝されてきた理由です。
・沖縄のウフトゥシビー拝み☆厄年の厄を祓うお供え物と拝み方
沖縄のタナバタ以外に、お仏壇事に適した暦

◇「ユンヂチ」を含めた1年も、神様の目が届かない「ヒーナシ(日無し)」です
最後に、沖縄でヒナーシタナバタ(日無し七夕)以外にお仏壇事やお墓事が気軽にできる、神の目が届かないヒーナシ(日無し)、「ユンヂチ」をご紹介します。
「ユンヂチ」は沖縄の言葉で感じで書くと「閏月(うるう月)」です。
全国的に4年に1度訪れる「閏年(うるう年)」がありますが、この「月」バージョンだと思ってください。
[目的]
・旧暦と新暦、季節のズレを解消する
[頻度]
・旧暦の33カ月に1度
[特徴]
・同じ月が2回繰り返される
・閏月(うるう月)を含めた旧暦の1年
沖縄のユンヂチは、閏月(うるう月)の1ヶ月ではなく、閏月(うるう月)が起きた年のまるまる1年、旧暦の1年間12カ月、閏月(うるう月)を含めると旧暦13カ月が、まるごと「ヒナーシ(日無し)」とされる点も便利です。
特に時間が掛かり、何度も行事がある建墓などでは、より自由に日取りを取ることができるので、スケジュールが調整しやすいでしょう。
2025年はユンヂチ(閏月)の1年

◇・2025年(令和7年)1月29日(水)~2026年(令和8年)2月16日(月)がユンヂチ期間です
このように沖縄ではヒナーシタナバタ(日無し七夕)に次いで便利なユンヂチですが、33ヶ月に1度巡って来る仕組みなので、その1年を取り逃してしまうと、次が長いです。
<2025年はユンヂチ期間> | ||
[新暦] | [旧暦] | [行事] |
[始まり] ●2025年1月29日(水) | ・旧暦1月1日 | ・旧正月 |
[終わり] ●2026年2月16日(月) | ・旧暦12月30日 | ・トゥシヌユール(旧大晦日) |
閏月(うるう月)は旧暦2月、2023年3月22日(水)~4月19日(水)までが2巡目の旧暦2月です。
最近では2020年のコロナ禍を受けて、遠方に住むお仏壇を迎え入れなくても良い実娘や友人、親族まで、「血筋ではなく心で」供養をしたいとお仏壇を迎え入れる人々も増えました。
心で繋がる今、供養の形はより身近になっています。旧暦7月7日2023年8月22日(火)を機に、偲びたい故人への想いを込めて、簡易的なお仏壇を検討してみてはいかがでしょうか。
家族でそれぞれに旧盆のお迎えもできるでしょう。
旧暦行事としてのタナバタの位置づけ

沖縄のタナバタ(旧暦7月7日)は、単独の行事というよりも、旧盆を迎える前段階の“つなぎ”となる大切な節目として位置づけられています。
その背景には、沖縄で根強く受け継がれる「旧暦文化」の存在があります。
沖縄では“旧暦”が今も日常に息づいている
沖縄では、お正月、清明祭(シーミー)、旧盆など、多くの行事が旧暦に基づいて行われています。
これは農耕民族としての暮らしや、琉球王朝時代からの文化的土台に由来しており、現代の暮らしの中にも旧暦が自然に溶け込んでいるのが特徴です。
その中で、タナバタも「旧盆の始まりを知らせる日」として定着し、ご先祖様との“対話”が始まるタイミングとして大切にされています。
タナバタ → 旧盆 → ウークイへの流れ
旧暦7月7日のタナバタは、次のような流れのスタート地点となっています。
- 旧暦7月7日(タナバタ)
→ ご先祖様に「もうすぐ旧盆です」とお知らせする(ソーローウンケー) - 旧暦7月13日~15日(ウンケー・ナカビ・ウークイ)
→ ご先祖様をお迎えし、供養・お見送りをする
この流れの中で、タナバタは“準備とご案内”を行う静かで穏やかな節目の日とされ、
一気に慌ただしくなる旧盆本番に備えた、気持ちの切り替えポイントとなるのです。
暮らしと祈りの間にある日
沖縄のタナバタには、儀式ばかりでなく「日常と祈りの中間にある日」という独特な雰囲気もあります。
家庭によっては、お墓参りはせずに仏壇で手を合わせるだけだったり、簡単なグイス(祝詞)で済ませたりと、家ごとのリズムを大切にしながら祈る日でもあります。
こうした柔軟さも、沖縄ならではの旧暦行事の特徴です。
旧暦行事の中でのタナバタの役割
行事名 | 時期 | 意味 |
---|---|---|
清明祭 | 旧暦3月下旬〜4月上旬 | 祖先供養と親族の再会 |
タナバタ | 旧暦7月7日 | 旧盆の案内・仏壇事の整理 |
旧盆 | 旧暦7月13日〜15日 | ご先祖様を迎え、もてなし、見送る |
十五夜 | 旧暦8月15日 | 豊作祈願と自然への感謝 |
このように、タナバタは旧暦行事の中でも“縁をつなぐ中継地点”として重要な役割を担っています。
タナバタは、単に「仏壇事ができる日」ではなく、
旧暦文化の流れの中でご先祖様とのつながりを再確認する大切な1日です。
旧盆へ向かう心構えを整える時間として、今も沖縄の暮らしの中で静かに息づいています。
沖縄ではヒーナシタナバタがお仏壇事に便利です

このように沖縄ではヒナーシタナバタ(日無し七夕)が、お墓事やお仏壇事に日取りを選ばない便利な日として重宝されてきました。
また祖霊信仰が根付くの沖縄では、故人の魂は7代目に神様になります。
一部の地域では、まだ新しい故人の魂がタナバタの日に神様の目を避け、イチミ(生身)を持つこの世まで降りてくることができると伝えられてきました。
だからこそ沖縄では、織姫と彦星が1年に1度会うことができるように、あの世の人々とこの世の私達が、1年に1度魂を重ねることができる日なのかもしれません。
まとめ
沖縄でタナバタが重宝される理由
●旧暦7月7日、2023年は8月22日(火)
●沖縄のタナバタ、3つの意味
・ソーローウンケー(旧盆のご案内)
・ヒーナシタナバタ(日無し七夕)
・タナバタスーコー(七夕焼香)●ヒーナシタナバタとは
・神様の目が届かないタナバタ
・お墓事やお仏壇事がしやすい●タナバタ以外の日取り決め
・六曜
・干支日
(六十干支もあり)
・厄年●タナバタ以外の行いやすい日
・ユンヂチ
・旧暦の1ヶ月が2度巡る「閏月(うるう月)」
・2023年1月22日(日)~2024年2月9日(金)