【沖縄のヒヌカン】ヒヌカンを遠くの御嶽(うたき)と繋ぐ方法☆遥拝所としての役割とは

2022.12.29
【沖縄のヒヌカン】ヒヌカンを遠くの御嶽(うたき)と繋ぐ方法☆遥拝所としての役割とは

家の守護神として知られる沖縄のヒヌカンですが、遠方の御嶽(うたき)を繋ぐ存在として、注目されるようになりました。今回は家の守護神ヒヌカンとは別の顔、御嶽(うたき)を繋ぐ「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」の役割について、詳しく解説します。

家の守護神として知られる沖縄のヒヌカンですが、遠方の御嶽(うたき)を繋ぐ存在として、近年は注目されるようになりました。

「御嶽(うたき)」とは沖縄のウガンジュ(拝所)です。
龍神様観音様キンマムン(太陽)の神様など四方八方に御嶽(うたき)があり、ヒヌカンはこれらの御嶽(うたき)を繋ぐ「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」の役割があります。

・ヒヌカンの役割「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」とは?
・どうやってヒヌカンへ神々様を迎え入れるの?
・ヒヌカンが繋ぐ神々様とは?

今回は家の守護神ヒヌカンとは別の顔、御嶽(うたき)を繋ぐ「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」の役割について、詳しく解説します。

「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」とは

ヒヌカンが持つ5つの役割
●「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」とは、遠方の神々様やニライカナイ、イチミ(生きる人々)の心を「繋ぐ」ヒヌカンが持つ役割のひとつです

一般的に沖縄のヒヌカンは家の守護神としての顔が有名です。
家を守り、屋敷の神々様を繋ぐ中心的な役割を持ち、沖縄の人々は旧暦行事がある日の朝、まずヒヌカンへご報告して拝んできました。

・家の最高位の守護神
・家族の戸籍を管理する
・屋敷の神々との繋ぎ(屋敷の御願など)

けれどもこの他にも、ヒヌカンには遠方の御嶽(うたき)や神々様、故人の住むニライカナイ(西方浄土)、イチミ(生きる人々)とのを繋ぎます。

<ヒヌカンで御嶽(うたき)と繋がる>
[1]最初から繋がっている神々様
●ミティン(三天)の神様
・生命の神様
・屋敷の神様
●家を囲む3か所の神様[2]ジュウニフンウコー(十二本御香)で繋がる
・遠方の家族が住む地域の氏神様
・遠方で埋葬されている家族の供養
・イチミ(生きる人々)の魂
十二支の神様

[3]ヒヌカンへ特定の神様と繋いでいただく
・家が信仰する神様
・目的に合わせた神様

…などがあります。
最初から繋がっている神々様とはつまり、ヒヌカンを仕立てる時に拝みに回る神様です。

実家の母や義母からヒヌカンの灰を分けていただき、継承して仕立てる場合でも、最初にヒヌカンを仕立てた時には、地域の御嶽(うたき)・氏神様を巡拝していることでしょう。

※新しくヒヌカンを仕立てる手順や流れについては、下記をご参照ください。
【沖縄のヒヌカン】ヒヌカンの始め方。親から引き継ぐ、一から仕立てる2つの方法を解説

 

[1]最初から繋がっている神々様


●ヒヌカンを仕立てるに当たり、巡拝してウコール(香炉)の灰に宿していただいた神様です

ヒヌカンは地域の御嶽(うたき)を巡拝して仕立て、毎年旧暦12月24日のウグァンブトゥチ(御願解き)によって、ウティン(御天)の神様の元へ里帰りします。

一般的には「命の神」とされる集落の井戸など水場と、集落のウガンジュ(拝所)を巡拝しますが、海沿いの町など地域によって、リュウグヌカミ(龍神の神)の祠まで廻るでしょう。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる:サンティン(三天)>
●ミティン(三天)の神様
・ジーチヌカミ(地の神)…集落のウガンジュ(拝所)
・ウティンヌカミ(御天の神)
・リュウグヌカミ(龍神の神/海の神)※ミジヌカミ(水の神/生命の神)…集落のガー(井戸)

また、家によっては家を守護していただくに当たり結界を張るため、家を囲む三か所のウガンジュ(拝所)を巡拝し、ヒヌカンのウコール(香炉)に灰として宿っていただくこともあります。

ヒヌカンからミティン(三天)の神様への繋ぎ

●ヒヌカンから御嶽(うたき)を巡拝せず、ミティン(三天)の神様への繋いでいただく時には、サンブンウコー(三本御香)を供えます

日ごろ、ヒヌカンに供えるお線香の本数はジュウゴフンウコー(十五本)の15本、もしくは5本ですが、ヒヌカンを通して直接ミティン(三天)へ拝みを通したい時には、サンブンウコー(三本御香)を供えて繋ぐ方法が一般的です。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる:サンブンウコー(三本御香)>
●サンブンウコー(三本御香)とは、お線香3本分です。
日本線香…3本、もしくは1本
・ヒラウコー(沖縄線香)…半ヒラ(半分に折る)

またミティン(三天)を一柱として捉え、お線香の本数を1/3にする家も見受けます。
例えば、サンブンウコー(三本御香)であれば、お線香1本(3本×1/3)です。

特に日本線香に多い数え方ですが、日本線香は煙に香りがあるため「カバシウコー(香り御香)」と言われ、特に大切な御願(拝み)で用いられます。

※ヒヌカンを迎え入れてから、日々の御願(拝み)などは下記に詳しいです。
【沖縄のヒヌカン】旧暦1日・15日ヒヌカンの拝み方☆お供え物やお線香の本数を解説!

 

[2]ジュウニフンウコー(十二本御香)で繋がる

沖縄の秋彼岸2022年、現代のお線香
●四方八方、十二方位を意味する「ジュウニフンウコー(十二本御香)」を供えるだけで、繋がる神々様や魂もあります

ヒヌカンは御嶽(うたき)へ巡ってウコール(香炉)の灰に宿っていただきますが、拝み処のないイチミ(生きる人々)の魂や、現地へ訪問できない神々様などは、ジュウニフンウコー(十二本御香)で繋ぎが可能です。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる:ジュウニフンウコー(十二本御香)>
●ジュウニフンウコー(十二本御香)とは、お線香12本分です。
日本線香…12本、もしくは4本
・ヒラウコー(沖縄線香)…タヒラ(2枚)

ジュウニフンウコー(十二本御香)が十二方位を意味し、繋ぎの御願を捧げていることが分かるよう、ジュウニフンウコー(十二本御香)を供えた後は、下記のようにお伝えします。

「ウートゥートゥ、〇〇ヌウカミガナシー、
本日は我が家のヒヌカンを通して、御願を捧げております。」

ちなみに日ごろ旧暦行事などで、家長がお仏壇へ供えるお線香の本数もジュウニフンウコー(十二本御香)ですが、お仏壇へ供える12本と、ヒヌカンへ供える12本では、意味合いが異なると考えてください。

ジュウニフンウコー(十二本御香)の意味

●ジュウニフンウコー(十二本御香)には、①十二方位(四方八方)、②干支の守り本尊への繋ぎ、③家族全員の祈願事、④和合の祈願、など、さまざまな意味があります

もともと沖縄では12本のお線香を「ジュウニフンウコー(十二本御香)」と言い、さまざまな意味合いが持たれてきました。

<ジュウニフンウコー(十二本御香)の意味>
①12カ月家族が幸せでありますように
・子どもが無事に日々を過ごせますように②家族の願い
・家族1人の願いは3本(もしくは1本)
家族全員の願いなら12本(もしくは4本)

③十二方位(四方八方)
・四方八方の神々様と繋ぐ

④守り本尊様(干支)への繋ぎ
・自分の干支(御星=ミフシ)へ守護祈願
・遠方に住む家族の守護祈願

⑤ウティン(天)とジーチ(地)の神様への繋ぎ
・ウティン(天)6本(もしくは2本)
・ジーチ(地)6本(若しくは2本)
2柱が重なり和合する

また日本線香であれば12本もしくは4本を拝して、ヒヌカンから御嶽(うたき)へお通しいただくのですが、この「4本」は「四隅」の意味合いもあり、家を4本の柱でしっかりと支え安定を促す意味合いもあります。

干支の御本尊と繋ぐ

沖縄の観音巡り、首里観音堂
●家族の干支のご本尊と、ジュウニフンウコー(十二本御香)で繋がり、守護していただく家庭も多いです

沖縄では御願において、家族の干支と性別を伝える慣習があるように、干支を重視してきました。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる:守り本尊>
・生まれ年の干支に当たる年が厄年
・旧正月明け、最初の干支日に行う「マドゥトゥシビー

マドゥトゥシビー」とは、旧正月明け、最初に家族が迎える干支日に行う、厄祓いの御願(拝み)です。

また正五九月の忌み月などに、家族の干支の御本尊を巡り拝んだ後、沖縄ではヒヌカンを通して御嶽(うたき)に守護を祈願する家や人もあります。

十二支の御本尊の拝み処

●定期的に守り本尊のウガンジュ(拝所)を参拝するとともに、日ごろはヒヌカンを通して拝む家庭も多いです

家族の干支の御本尊を巡拝する儀礼を、「首里十二か所巡り」とも言います
沖縄では十二支の御本尊を祀る寺院が、首里に集中しているためです。

<十二支の御本尊を祀る寺院>
(1)首里観音堂…子年・丑年・寅年・辰年・巳年・午年
(2)達磨寺…卯年・戌年・亥年
(3)盛光寺…未年・申年
(4)安国寺…酉年

十二支の御本尊への巡拝は沖縄では忌み月にあたる正五九月(旧暦1月・5月・9月)が多いですが、なかでも旧暦九月が多いでしょう。

十二支の御本尊に拝むタイミング

一般的に沖縄の十二支巡りと言えば、(沖縄では)厄年に当たる干支年の他、下記のようなタイミングで行います。

・トゥシビーの拝み…干支年に当たる、厄年の厄祓い
・スーコー(焼香)…故人のサンニンチ(三年忌)やナナニンチ(七年忌)など

これは十二方角の四方八方、十二か月十二時間、守っていただく意味合いです。
ただ家族の病気があった時や、受験の必勝祈願など、特別な時に拝みます。

こちらも、拝みたいものの参拝できない時、沖縄ではヒヌカンに御嶽(うたき)へ繋いでいただいて拝みます。

干支の御本尊の拝み処は下記に記載しています。
沖縄の『首里十二か所巡り』とは☆人々を守る干支の守り本尊様を迎え入れる

 

[3]ヒヌカンへ特定の神様と繋いでいただく


●ヒヌカンは、御嶽(うたき)の神様の遥拝所(ようはいじょ)として、神々様と繋ぐ役割を持っています

それぞれの家の悩み事祈願事に合わせた神々様に繋いでいただく家もあるでしょう。
門中や家、集落によって考え方はさまざまですが、広くは「一度訪れて面識がある神様」と繋がるとされます。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる:目的>
(1)家族の繁栄
(2)ジングトゥ(金銭)の神様
(3)巡拝する御嶽(うたき)

ヒヌカンと御嶽(うたき)の神様を繋ぐには、一度参拝した後にジュウニフンウコー(十二本御香)を供えて繋がる方法もありますが、ヒジュルウコーで繋がる人もいます。

●ヒジュルウコー(冷たい御香)…火を灯さないお線香
ヒヌカンと繋ぐために御嶽(うたき)でヒジュルウコーを供え、自宅に持ち帰り、ヒヌカンのウコール(香炉)に供える方法です。

また参拝前に「○○の神様へ拝みに行きますので、無事に済ませられますように」とヒヌカンへ祈願してから出掛けると、沖縄では家のヒヌカンが、先方の神様へ紹介してくれるとされてきました。

(1)家族の繁栄

ヒヌカンが繋ぐ御嶽(うたき)の神様には、家族の繁栄を担う神様は多いです。
特に沖縄では家族の健康を守る観音信仰が強く、各地に観音様が祀られています。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる(1)家族の繁栄>
琉球七観音…家族の健康
泡瀬ビジュル…子宝

などなどです。
昔ながらの沖縄では、子どもが産まれると集落の観音様にお披露目して、「親」になってもらい、その子どもの一生を見守ってもらう習慣がある地域もありました。

観音様については下記記事に詳しいです。
沖縄で琉球七観音を家へ迎え入れ☆久志観音堂など五拝所を紹介

 

(2)ジングトゥ(金銭)の神様

沖縄でジングトゥ(金銭の神様)と言えば、那覇市波の上宮の近くにある天尊廟(てんそんびょう)ですよね。
ここに祀られる関帝公はジングトゥ(金銭)の神様として、かつては床の間に祀られてきました。

ただこの他にも沖縄ではいくつかの立身出世の神様金銭の神様がいます。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる(2)ジングトゥ(金銭)>
・白銀堂(糸満市糸満)
盛光寺(那覇市首里儀保)
世持神社(那覇市奥武山公園)

…などなどがあります。
盛光寺(せいこうじ)は成功と掛けて、受験などでも拝まれてきました。

関帝公については、下記でも詳しくお伝えしています。
コロナ禍に沖縄☆ジューサンヤ(十三夜)で繁栄の神様を迎え入れる

 

(3)巡拝する御嶽(うたき)

最後に沖縄では正五九月を中心に、御嶽(うたき)や遠い始祖である按司墓を巡拝する習慣を持つ、集落や門中もありました。
このような集落や地域では、日々ヒヌカンを通しても御嶽(うたき)を拝みます。

<ヒヌカンで御嶽と繋がる(3)巡拝>
東御廻り(あがりうまい)
・浦添拝み(うらしーうがみ)
・今帰仁上り(なちじんぬぶい)
・首里拝み(すいうがみ)
琉球開闢七御嶽(りゅうきゅうかいびゃくななうたき)

比較的、広く知られているのは沖縄の始祖とされる、「アマミキヨ」が上陸して辿った道を巡る、琉球開闢七御嶽ではないでしょうか。
沖縄南部の沿岸に広がるウガンジュ(拝所)です。

最後に

以上が沖縄のヒヌカンが繋ぐ御嶽(うたき)などの神々様です。
基本的にはその集落を守る神々様と繋ぎますが、お参りに行く前に「○○へお参りをします」と伝えることで、紹介をしてくれるでしょう。

そこで今、沖縄では改めてヒヌカンを仕立てる家庭が増えていますが、今までのような白い器と銀色の祭壇ではなく、思い思いにオシャレな仏具で揃える人が多いのが、近年の特徴です。

日々拝むのであれば、祀って嬉しいオシャレな祭壇にしたいですよね。
より丁寧に扱いますし、気持ちも寄り添うことになるでしょう。
特に手元供養に用いる祭壇や仏具がおすすめです。
まとめ

ヒヌカンの役割「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」とは
●ヒヌカンで御嶽(うたき)と繋がる
[1]最初から繋がっている神々様
●ミティン(三天)の神様
・生命の神様
・屋敷の神様
●家を囲む3か所の神様

[2]ジュウニフンウコー(十二本御香)で繋がる
・遠方の家族が住む地域の氏神様
・遠方で埋葬されている家族の供養
・イチミ(生きる人々)の魂
・十二支の神様

[3]ヒヌカンへ特定の神様と繋いでいただく
・家が信仰する神様
・目的に合わせた神様
・ヒジュルウコーで繋がる方法もある


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