沖縄で墓じまいの後、仏壇はどうする?沖縄のトートーメーをどう扱うか、4つの対策とは

2024.02.05
沖縄で墓じまいの後、仏壇はどうする?沖縄のトートーメーをどう扱うか、4つの対策とは

墓じまいの後、仏壇じまいは必須ではありません。ただ特に沖縄ではタブーやしきたりの多い先祖代々位牌「トートーメー」も、墓じまいをきっかけに一緒に閉じて供養したいと考える人が増えました。本記事では墓じまい後、仏壇の選択肢や供養方法を解説します。

・墓じまい、仏壇じまいとは?
・墓じまいをしたら、仏壇はどうする?
・仏壇じまいで、トートーメーはどうする?

墓じまい、仏壇じまいとは、それぞれお墓や仏壇を閉じることです。
お墓は墓石を撤去し更地とし、仏壇は処分します。

この時、位牌は魂の宿る礼拝の対象なので、遺骨と同じく供養が必要です。
特に沖縄では先祖代々位牌「トートーメー」の扱いには慎重な人が多いでしょう。

本記事を読むことで、墓じまいや仏壇じまいとはなにか?墓じまいをした後、仏壇をどうするかや、仏壇に祀るトートーメーをどのように対処するか、4つの対策が分かります。

 

墓じまい、仏壇じまいとは?

祖霊舎と神棚、仏壇がある家の配置は?
◇墓じまい、仏壇じまいとは、現存のお墓や仏壇を閉じることです

「墓じまい」「仏壇じまい」の言葉が広がりつつありますが、「墓じまい」とは、今までのお墓を完全に撤去・解体し区画の使用権を返すことで、特に終活の広がりとともに、全国的にも知られるようになりました。

とは言っても、もちろん埋葬された遺骨を取り出し勝手に移動することはできませんので、注意をしてください。

一方、トートーメータブーによる継承問題に悩む沖縄の家では、墓じまい以上に「仏壇じまい」が注目されていますが、こちらは行政手続きは必要ありません

 

墓じまいの手順

◇墓じまいは、行政手続きが必要です

墓じまいでは遺骨を取り出してから墓石を撤去するため、人の遺骨を取り出すにあたり、改葬許可申請の手続きをしなければなりません。

改葬許可申請を行い「改葬許可証」を入手したら、遺骨の取り出しを依頼する石材業者や、新しい納骨先の墓地管理者(霊園など)に提出します。

 

<墓じまいの手順>
①遺骨の納骨先を決める 「受入許可証」を入手
(納骨先から)
②現存の墓地管理者に報告 「埋葬証明書」を入手
(墓地管理者、墓地の名義人から)
③改葬許可申請を行う 「改葬許可証」を入手
④遺骨の取り出し ・閉眼供養(魂抜き)
(僧侶による読経供養)
遺骨の取り出し
(石材業者に依頼)
⑤墓石の撤去 お墓の撤去作業
・墓地の整地
・墓地の返還
(石材業者に依頼)
⑥遺骨の埋葬 ・遺骨の手入れ
納骨式

 
墓じまいの多くが現存のお墓の維持管理が困難であったり、将来的な継承者のあてがないケースが多いです。

そのため取り出した遺骨は、家族に代わり墓地管理者が管理・供養を担ってくれる「永代供養」の選択が多いでしょう。

 

 

墓じまい後、遺骨の永代供養とは

◇「永代供養」とは、墓地管理者が遺骨の管理・供養をしてくれる仕組みです

「永代供養(えいたいくよう)」とは、本来の継承者である子どもや孫などの家族に代わり、霊園などの施設管理者が、永代に渡って遺骨を供養してくれることを指します。

ただし永代供養は形のないサービスなので、遺骨の管理や供養方法はさまざまです。
いずれにしても永代供養を選ぶことで、継承者問題が解消されます。

 

<墓じまい後の永代供養の種類>
①合祀墓
(永代供養墓)
・他の遺骨とともに合祀
一度納骨すると取り出せない
・納骨後は合同供養
②納骨堂 契約年数は個別スペースを確保
・契約年数が過ぎると合祀墓で合祀
③一般墓
(永代供養付き)
一般墓に永代供養が付く
・一定年数は個別墓が建つ
・一定年数後は合祀墓で合祀
④ガーデニング型樹木葬 ・専用区画に納骨
草木や花々に囲まれた区画
・一定年数は個別の墓標がある
・一定年数後は合祀墓で合祀
⑤樹木葬 ・樹木の麓に遺骨を埋葬
遺骨は土に還る
・一度埋葬すると取り出せない

 
…などの方法がありますが、この他にも自然葬のひとつとして、遺骨を粉骨した後に海や山林に撒く「散骨」も、墓じまい後の遺骨を扱う選択肢のひとつです。

墓じまいをしても、取り出した遺骨は何らかの方法で供養をしなければなりません。
継承者がいない墓じまいの場合、墓地管理者に委ねる永代供養は便利です。

そして永代供養をするには、墓地管理者がいる墓地で遺骨を供養するため、個人墓地ではできません

 

 

墓じまいの後、仏壇はどうする?

沖縄の仏壇購入で、開眼供養は必要
◇墓じまいをしたからと言って、仏壇じまいをする必要はありません

「墓じまいをすると仏壇じまいをしなければならないの?」などの質問もありますが、基本的にお墓と仏壇は別の供養方法ですので、墓じまいをしたからと言って、必ず仏壇じまいをする訳ではありません。

 

<墓じまい後、仏壇はどうする?>
・仏壇はそのまま残す
・手元供養にする
・仏壇をコンパクトにする
・仏壇じまいをする

 
…などの方法があります。
「手元供養」とは、遺骨を自宅で祀り日々供養する方法です。
墓じまいで取り出した遺骨をメンテナンスした後、自宅に祀って供養します。

もともとはごく身内の遺骨を手元供養にしましたが、最近ではお墓の管理や維持を軽減するため、自宅の仏壇に遺骨を収蔵する「自宅仏壇」も増えました。

もちろん墓じまいの後、仏壇じまいをする選択肢もありますが、沖縄では先祖代々位牌「トートーメー」の存在により、仏壇じまいを躊躇する人も多いです。

 

 

沖縄のトートーメー問題とは

◇沖縄では墓じまい以上に、仏壇じまいに慎重です

檀家制度のない沖縄では、ご先祖様を神様とする「祖霊信仰」が根付いています。
祖霊信仰のシンボルは、仏壇の中心に祀る先祖代々位牌「トートーメー」です。

例えば、このトートーメーにはさまざまなタブーがあり、むやみにトートーメーを家の外に移動したり、父方の血縁にない人が祀ってはなりません。

 

●このようなことから、家を守護する神の存在であるトートーメーは、「むやみに扱うと祟りがある」との伝承を恐れる人が今もいます。

 
ただ、そんな沖縄のトートーメーも遺骨と同様にきちんと供養して対処すれば、仏壇じまいができるでしょう。

それでは下記より、墓じまい後の仏壇じまいにおいて、トートーメー4つの供養方法をご紹介します。

 

 

トートーメーの閉眼供養

◇「閉眼供養」とは、礼拝の対象から魂を抜くことです

閉眼供養」は魂抜きなどとも呼ばれ、お墓や位牌など、故人や神仏の魂が宿っているとされる仏具・神具などから、魂を抜いてただの「物」にする儀式となります。

閉眼供養は仏教に倣った儀式なので、僧侶に読経供養をしていただき、参加者はお焼香をもって閉眼供養です。

魂を込める「開眼供養」と「閉眼供養」は対の儀式となるため、新しく仕立てた時に開眼供養を施している仏具・神具は、処分前に閉眼供養を行います。

 

<トートーメーの閉眼供養>
[手順]
●当日まで ・僧侶をお呼びする
参列者へご案内をする
・供花、供物を供える
・家を掃除する
・仏壇を掃除する
●当日 ・僧侶をお迎えする
・参列者をお迎えする
・閉眼法要の始まり
僧侶の読経供養
参列者のお焼香
・会食(ない場合もあり)
[費用目安]
●お布施 お布施…約3万円~5万円/1回
御車代…約3千円~5千円
御膳代…約5千円~1万円
●会食代 約3千円~8千円ほど/1人
・供物…約2千円~5千円
・供花…約2千円~5千円

 
トートーメーの閉眼供養は自宅で執り行うことが多いでしょう。
沖縄で「トートーメーは家から出してはならない」などの伝承もあるため、閉眼供養を執り行うまでは家から出すことができないとする家もあります。

参加者は濃紺やダークグレー、深緑などの落ち着いた色の無地でまとめたお出かけ着程度の平服(略喪服)ほどで参列し、香典は必要ありません

施主側はお呼びした僧侶へお布施を包みます。
自宅までのタクシー代を目安に御車代、会食の場を設けたけれど僧侶が欠席であれば、御膳代も別封筒にて包み、お渡ししてください。

開眼供養、お布施マナーについて、詳しくは下記コラムに詳しいです。

 

 

 

墓じまい後の仏壇:4つの選択肢

墓じまい後の仏壇:4つの選択
◇トートーメーは永代供養が増えています

沖縄では墓じまいと仏壇じまいをセットで進める家が増えていますが、墓じまいをしたからと言って、仏壇を必ず閉じなければならない訳ではありません。

 

●お墓自体は撤去しても、取り出した遺骨は永代供養されるからです。

 
例え、他家の遺骨と一緒に合祀埋葬される「合祀墓(永代供養墓)」へ納骨したとしても、沖縄ではお墓(遺骨)と仏壇は繋がっているとされ、お仏壇を通した供養はできます。

墓じまい後、お仏壇で祀っているトートーメー(位牌)の扱いについて、下記4つの選択肢が一般的です。

 

<墓じまい後の仏壇:4つの選択肢>
(1)そのまま残す
(2)お焚き上げ
(3)一時預かり
(4)永代供養

 
…このなかでトートーメー(位牌)が残る選択肢は、(1)そのまま残しておく(2)一時預かりの2種です。

ちなみに継承者のいないトートーメーの昔ながらの扱いとして、他の家で預かる「アジカイグァンス(預かり位牌)」がありますが、「一時預かり」は、アジカイグァンスではありません

継承者がいない墓じまいで、仏壇を閉じて霊園などの墓地管理者に、自分に代わり預かってもらう「一時預かり」を差しています。

また選択肢のなかには、一度埋葬・納骨すると遺骨が取り出せないものもあるので、親族トラブルにならないよう、最初にお墓の関係者間での話し合いも大切です。

 

 

墓じまい後の仏壇(1)そのまま残す

墓じまい後の仏壇(1)そのまま残す
◇墓じまいをしても、仏壇を残して構いません

墓じまいをしたからといって、仏壇の維持管理・継承に問題がなければ、そのまま残しておいても問題はないでしょう。
また沖縄では墓じまい・お仏壇じまいをしても、トートーメーだけ残す家もあります。

 

<そのまま残す選択肢>
(1)仏壇ごと残す
(2)トートーメーのみ残す
(お仏壇は処分する)

 
墓じまい後に仏壇やトートーメーを残すならば、特別な供養は必要ありません。
トートーメーは新しく祭壇を設ける家が多くありますが、コンパクトにまとめるため手元供養用の祭壇を利用する人が多いです。

 

仏壇を処分する費用目安

◇仏壇を処分する際の費用目安は、約1万円~8万円ほどです

仏壇は位牌であるトートーメーを残すための箱ですので、自分達で粗大ゴミとして処分しても問題はありませんが、あまり気持ちの良いものではありませんよね。

そこで一般的には仏壇仏具店に引き取りを依頼する家が多いでしょう。
仏壇仏具店では、魂を抜く閉眼供養を施した後に処分されます。

 

<仏壇を処分する費用目安>
①仏壇の解体 ・約1万円~3万円
②処分業者に依頼 ・約1万円~3万円
③仏壇仏具店に依頼 ・約2万円~8万円
④自分で処分 ・約1,000円~1万円
(粗大ゴミの処分費用)

 
広くは丁寧に供養し処分してくれる仏壇仏具店に引き取ってもらう選択肢が多いですが、仏壇は物ですので処分業者に依頼することもできます。

また大きな仏壇では解体作業が必要なこともあるでしょう、解体を依頼する場合にも、費用が発生しますので注意をしてください。

自分で処分する時には仏壇に塩を振りかけ、清めてから処分すると良いでしょう。

 

トートーメーを残す注意点

◇トートーメーは後々まで継承者が必要です

イフェー(位牌)はお墓とは違い、そのまま残しても管理する料金も発生しませんが、先祖代々位牌であるトートーメーにはさまざまなタブーがあり、残しておくと将来的に継承者問題が残る可能性もあります。

トートーメーをお世話する人がいなくなると、そのトートーメーは「ヒジュルグァンス(冷たい位牌)」として忌まれる風習があるので、注意が必要です。

 

<ヒジュルグァンス(冷たい位牌)とは>
●「ヒジュルグァンス(冷たい位牌)」とは、継承者のいないトートーメーです。

 
後継者が居なくなってしまうと、行き先が無くなってしまうでしょう。
継承者のいないヒジュルグァンス(冷たい位牌)として、空き家に放置されたまま、トートーメータブーにより、空き家自体も売却できないこともあります。

ヒジュルグァンス(冷たい位牌)を避けるためには、手元に残す期限を設けて、今後の供養の仕方を改めて検討するなどの対策が必要です。

 

墓じまい後の仏壇(2)お焚き上げ

墓じまい後の仏壇(2)お焚き上げ
◇寺院や神社でお焚き上げをしてもらいます

墓じまいの後、仏壇は処分してトートーメーのお焚き上げを選ぶ家も多いです。
もともと昔から沖縄では、三十三回忌をもって弔い上げとし、トートーメーに祀られている故人の位牌札は、墓前でお焚き上げをされてきました。

 

<お焚き上げ>
●沖縄はもちろん全国的にも位牌は故人の魂の依り代であり、魂が宿っています。
そのためお焚き上げは、一般的に僧侶へ依頼します。(浄土真宗以外の宗派)

 
自分達でお焚き上げを行う場合にも、魂抜きの読経(閉眼供養)を僧侶に依頼する家が増えました。

または家付きのユタさんなどに「ヌジファー(抜魂)」の儀礼を依頼するケースもあるでしょう。

昔の沖縄ではヌジファーも自分達で行う家が多くありましたが、今では、沖縄の墓じまいと同様、僧侶に魂抜きをお願いする家が多いです。

 

 

墓じまい後の仏壇(3)一時預かり

墓じまい後の仏壇(3)一時預かり
◇「位牌堂」などではトートーメーを一定期間預かってくれます

「今、継承者はいなくても子どものなかから『トートーメーを継承するよ』と言う子が現れるかもしれない…」と考える人もいますよね。

すぐにトートーメー(位牌)の扱いを決断できない場合には、一時的に霊園や寺院などで「一時預かり」をしてもらう選択肢もあります。

 

<トートーメーの一時預かりの一例>
[費用目安] 約3万円~5万円ほど/年間
(1柱の料金目安です)
[期間] ・約1年~15年
(平均3年~5年)
・契約更新あり
[内容] 個別スペースを提供
(位牌の安置用)
・定期的な合同供養
個別の参拝ができる
…など

 
遺骨を屋内施設に安置する納骨堂と同じようなシステムで、トートーメーを一時的に預かる霊園や寺院が多いです。

 

●また遺骨とトートーメーを一緒に保管することができる納骨堂もあります。

 
墓じまい後に仏壇と位牌も整理するのであれば、遺骨の永代供養を依頼する霊園や墓地に、一緒に相談してみると良いでしょう。

 

墓じまい後の仏壇(4)永代供養

墓じまい後の仏壇(4)永代供養
◇位牌の供養塔を設けた霊園や寺院墓地もあります

霊園や寺院墓地で「位牌供養塔」など、位牌を供養する施設がある場合、墓じまいで取り出した遺骨と同じく、位牌も永代供養塔で永代供養ができるでしょう。

一般的に霊園や寺院墓地などの墓地内に位牌供養塔を設けていることが多いです。
墓じまい後の仏壇の整理であれば、一緒に相談するとスムーズに進みます。

 

<トートーメー永代供養の一例>
[費用目安] ・約3万円~5万円/1位牌
(一度の支払いです)
[流れ] ・閉眼供養
・お焚き上げ
・位牌供養塔
(永代供養)
・定期的な合同法要
[その他] ・石碑に名前を彫刻など
(別途料金あり)

 
墓じまい後に仏壇を処分するとして、トートーメーを永代供養にする場合には、最初の支払いのみですので、後々継続的な費用は掛かりません。

一例では、トートーメーはお焚き上げをした後、位牌供養塔で供養あれ、その後は他の位牌とともに合同供養が定期的に行われます。

なかには供養をした故人の名前を記載する石碑を設置した施設もあるので、家族が望むならば名前を石碑に彫刻することもできるでしょう。

 

まとめ:墓じまい後の仏壇の扱いは自由です

まとめ:墓じまい後の仏壇の扱いは自由です
沖縄では墓じまいのみ行い、お仏壇はそのまま残す選択も多いですが、トートーメーが残ることになります。

沖縄のトートーメーは継承のタブーが多いことから、お墓と同様に、将来的に継承者問題が勃発する可能性があることにも、配慮しなければなりません。
後継者の目途が立っていない家では、後々改めて扱いを検討することになるでしょう。

墓じまい後に仏壇なく、家でトートーメーのみを、そのまま祀ることもできますが、引っ越しなどの問題で家から出さなければならないケースもあります。

トートーメーを日々供養する家族がいないならば、寺院や霊園など、然るべきお世話と供養をしてくれる施設で、一時預かりを検討することも一案です。

沖縄で墓じまい後に仏壇じまいを済ませる場合は、トートーメーはお焚き上げ、もしくは永代供養となりますが、最近では位牌供養塔で永代供養の選択が多い傾向です。

 


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