沖縄でお墓がいらない時、遺骨はどうする?お墓は必要?予算で選ぶ、お墓のない遺骨供養

2024.06.18
沖縄でお墓がいらない時、遺骨はどうする?お墓は必要?予算で選ぶ、お墓のない遺骨供養

沖縄では「お墓がいらない」家族が増えました。ただお墓がなくても遺骨供養は必要です。また墓主であれば墓じまいを済ませなければなりません。本記事では沖縄でできるお墓のいらない遺骨供養8つの方法と費用目安、墓じまいの困りごとや解決策が分かります。

・沖縄でお墓がいらない時、遺骨はどうする?
・お墓がいらない遺骨供養の費用目安は?
・沖縄では本当にお墓が必要?
・沖縄でお墓がいらない時、どうすればいい?

お墓の継承問題が深刻化する沖縄では「お墓がいらない」と考える家族が増えました。
ただお墓がなくても、何らかの方法で遺骨供養は必要ですよね。
また沖縄でお墓がいらないと考える墓主であれば、墓じまいを済ませなければなりません。

本記事を読むことで、沖縄でできるお墓のいらない遺骨供養8つの方法費用目安の他、現存するお墓は本当に必要なのか?お墓を閉じる時の困りごと、解決策が分かります。

後半ではお墓を閉じる「墓じまい」の手順やスムーズに進める注意点も解説していますので、どうぞ最後までお読みください。

 

沖縄でお墓のいらない永代供養とは?

沖縄で合祀型永代供養の費用目安
「永代供養」とは、墓地管理者に遺骨の管理や供養を任せることです

沖縄でお墓がいらない選択をする際、一般的に遺骨は「永代供養」を霊園などの墓地管理者へ依頼して、遺骨を永代に渡り管理・供養してもらいます。

永代供養にすることで遺骨供養しながらも、家族は継承者を立てる必要がなく、永代供養の形によっては、お墓の定期的な掃除など、維持管理の負担もかかりません

 

沖縄での永代供養の注意点とは?

◇霊園や墓地に遺骨を移動しなければなりません

永代供養は墓地管理者が、家族に代わって遺骨の維持管理や供養を、永代に渡り担ってくれるものなので、個人墓地に納骨されている遺骨は、霊園などに移す必要があります。

個人墓地の名義人は墓主本人なので、墓地管理人も墓主であるためです。
墓主に代わって墓地管理者に永代供養を依頼するためには、お墓から遺骨を取り出す「改葬(かいそう)」の手順を踏み、遺骨を取り出して永代供養を依頼する霊園などに移します

 

沖縄で現存のお墓がいらない場合

◇現存するお墓がいらない墓主は「墓じまい」を行います

深刻な継承者問題や、墓主の高齢化により定期的なお墓掃除、お墓の維持管理費が負担になり、「お墓がいらない!」と考えているならば、お墓を閉じる「墓じまい」が必要です。

墓じまいでは、お墓に埋葬されている遺骨を取り出して墓石を撤去し、墓地を整地し、取り出した遺骨は、お墓のいらない方法で遺骨供養(処分)されます。

墓じまいをしないまま墓主が亡くなり、継承者不在になったお墓は放置され続け、いずれは「無縁墓」とみなされて自治体や墓地管理者により撤去されるでしょう。

 

沖縄でお墓を維持する負担は?

◇お墓の定期的な掃除や、維持管理費がかかります

沖縄でお墓を現存するまま維持する場合、墓主は定期的なお墓掃除によるメンテナンスの他、お墓の修理修繕費や、墓地に関わる費用がかかります。

霊園など墓地に建つお墓の場合、毎年「年間管理料」を約1万円~3万円/年間を目安に支払う必要がありますし、個人墓地でも固定資産税はかからないものの、雑草除去などの定期的なメンテナンス費用がかかるでしょう。

またお墓は経年劣化するため、古くなるほど修繕費用がかさみます
修理修繕では充分でなくなった古いお墓は、建て替えをする可能性もあるでしょう。

 

沖縄で選ぶお墓のない遺骨供養

まとめ:沖縄の納骨堂はお墓のいらない遺骨の供養方法です
個人墓地に建つお墓が多い沖縄ですが、霊園の登場によりお墓のいらない遺骨供養も増えました。
お墓のいらない遺骨供養を選ぶ時には、予算を決めるとともに、「家族の遺骨を個別に残したいのかどうか?」も考慮すると良いでしょう。

沖縄で選ぶお墓のいらない遺骨供養のなかには、一度供養を済ませると、二度と手元に戻らないものも多いためです。

 

①永代供養墓の費用目安

◇永代供養墓の費用目安は、約5万円~15万円ほどです

永代供養墓は合祀墓・合葬墓・供養塔とも呼ばれるもので、ひとつの場所に他の遺骨と一緒に合祀されて、合同供養されます。
そのため、一度埋葬すると二度と個別に取り出すことができないので注意をしてください。

永代供養墓に合祀された後は、墓地管理者による定期的な合同供養祭を執り行うプランが多く、霊園や墓地により異なりますが、ご家族も合同供養祭に参加できるケースが多いです。

 

[永代供養墓]
・沖縄の永代供養墓はどんなお墓?費用目安は?他の「永代供養」と何が違うかも詳しく解説

 

 

②納骨堂の費用目安

◇納骨堂の費用目安は、約20万円~100万円ほどです

沖縄で増える「納骨堂」では、ご遺骨を個別に安置できるスペースが提供されます。
納骨堂には永代供養が付いているので、家族は継承者を立てたり、維持管理の負担がありません。

ただご遺骨は永代に渡って個別に安置されるのではなく、契約した一定年数が過ぎると、霊園内の永代供養墓に合祀される仕組みが多いです。

ご遺骨を個別に長く安置したい家族は、個別安置期間が17年・33年と長いプランを選んだり、更新をすることにより個別安置期間が延長できる更新型かどうかも確認しましょう。

 

 

 

③室内墓所の費用目安

◇室内墓所の費用目安は、約50万円~180万円ほどです

室内墓所とは屋内にあるお墓を指し、ご夫婦や3人・4人などの家族が一緒に納骨されます。

形式としては納骨堂と同じであるものの、個別安置期間が長い室内墓所17年・33年と、一般的にも遺骨の供養を切り上げる「弔い上げ」と同じほどの期間を備えたプランも多い点が特徴です。

また将来的に残された家族が契約更新をすることで、さらに長く遺骨を個別安置できるため、お墓と同じように、長く遺骨を個別に安置できるプランが多くあります。

 

 

 

④樹木葬の費用目安

◇樹木葬の費用目安は、約20万円~80万円ほどです

樹木葬はもともと自然葬として始まりましたが、現代では永代供養タイプの樹木葬が登場し、2024年に鎌倉新書が行ったアンケート調査では、一般墓を抑えて、新しく購入したお墓の40%以上を占めました。

自然葬タイプの樹木葬は樹木のふもとにご遺骨を、骨壺から出して埋葬し、長い時間を掛けて土に還す自然回帰を目的としています。

一方で永代供養タイプの樹木葬は、霊園にイングリッシュガーデンのような美しい庭園を整えた特別区画を設け、契約した一定年数は、ご遺骨が個別に残る仕組みが多いです。

個別に埋葬された墓所の上には墓碑を置くプランが多いため、ご家族は個別に参拝できます。
「美しい草花とともに眠りたい」とのニーズに応えた樹木葬で、沖縄ではこの永代供養タイプの樹木葬が主流となるでしょう。

 

 

 

⑤集合墓の費用目安

◇集合墓の費用目安は、約50万円~100万円ほどです

個別墓(一般墓)が戸建て住宅ならば、集合墓は分譲マンションのような遺骨供養の方法で、墓石で建てられて屋外にあるロッカー型納骨堂のようなスタイルとなります。

個別のご遺骨が入る集合墓もありますが、ご夫婦や家族で入るプランや、ペットと一緒に安置されるプランなどがあるでしょう。

このような特徴から、個別安置期間も比較的長いプランが多いのが特徴で、約33年・50年と、継承の負担がないなかでも、残された家族が長く参拝できます。

 

 

⑥海洋散骨の費用目安

◇海洋散骨の費用目安は、約5万円~50万円ほどです

海洋散骨とは、ご遺骨を粉骨して海に撒く遺骨供養で、一般的に散骨業者に依頼します。
ご遺骨は海に散骨するので、一度散骨を済ませると、手元に戻ることはありません。

海洋散骨には委託散骨・合同散骨・個別散骨と、散骨の方法に3つの種類があり、選ぶ散骨方法によって費用幅は広いでしょう。

散骨を業者に任せる委託散骨は約5万円~10万円ですが、散骨に立ち会うことはできません。
一方、ご遺骨の散骨をご家族が立ち会う合同散骨、個別に船をチャーターする個別散骨は、約20万円~50万円ほどが費用目安です。

 

 

 

⑦手元供養の費用目安

◇手元供養の費用目安は、約3千円~60万円ほどです

手元供養はご遺骨を手元に祀る遺骨供養で、予算に合わせて自由な遺骨供養ができます。
火葬場から受け取ったご遺骨を、骨箱の状態のままお仏壇の脇に祀ることも、手元供養のひとつです。

そのため特別な費用をかけずとも手元供養はできますが、現代では暮らしに合わせてご遺骨を粉骨してコンパクトにまとめ、おしゃれな骨壺やステージ(祭壇)で祀るご家族が増えました。

ご遺骨を粉骨する費用は約3万円~5万円ほどが費用の目安ですが、海洋散骨など、他のご遺骨供養と併せ、残ったご遺骨を手元供養にするケースも多いです。

 

 

[沖縄の手元供養]
供養ギャラリー那覇、南風原店

 

⑧0葬の費用目安

◇0葬は沖縄では受け付けない自治体がほとんどです

0葬(ゼロそう)」とは火葬した後、火葬場でご遺骨を受け取らないことを指します。
そのため0葬でかかる費用は0円ですが、火葬場で受け取り拒否ができるかどうかは、自治体によって判断が分かれるところです。

自治体が0葬を受け付けている場合、死亡届を提出し火葬許可証をいただく手続きの時に、役所窓口で「誓約書」を記入します。

けれども沖縄の自治体では、ほとんどが0葬を受け付けていないでしょう。
何らかの事情で0葬を希望している場合は、事前に自治体に確認を取って進めてください。

 

 

沖縄で「お墓はいらない」人が増えている理由は?

まとめ:海洋散骨は遺骨を海に還す葬法です
◇墓主の高齢化による、お墓の維持管理への負担が大きいです

沖縄でお墓がいらないと考える人が増えた背景には、代々続く門中墓や先祖代々墓の墓主継承が進まないまま、現在の墓主が高齢化したことによる、お墓の維持管理への負担が大きくあります。

また現在、納骨できるお墓がない人でも、新しくお墓を建てるだけの予算がない、お墓を建てても継承者問題や維持管理の負担が勃発するとして、避ける家族が増えました。

 

①お墓の掃除が負担

◇高齢化によりお墓参りが困難な墓主も多いです

沖縄のお墓は個人墓地に建つものも多く、お墓参りだけでも道程が大変なものも少なくありません。

また沖縄のお墓は墓地が大きなものも多いうえ、夏場は草木がぼうぼうと生えるため、墓主だけでは若い世代でも、お墓掃除は大変な作業です。

近年では若い世代が他県へ移住したり、多忙でお墓掃除を頼める親族が少ないこと、お墓掃除業者に依頼するには、経済的負担が増えることも、大きな要因になります。

 

 

②お墓の維持管理費が負担

◇お墓を維持する費用負担が大きな負荷になっています

沖縄の個人墓地に建つ大きなお墓はコンクリート造りのものも多いです。
経年劣化が激しくなると、ヒビ割れなど毎年の修理修繕が必要になる他、さらに経年結果が進むと、お墓の建て替えの必要性も出てきます。

また毎年夏場を過ぎると墓地の手入れを業者に依頼する墓主も増えました。

霊園や墓地に建つお墓は区画も小さく手入れはしやすいですが、公共設備に対して年間管理料を、年間約5千円~3万円の費用目安で支払う契約が一般的です。

 

③継承者がいない

◇お墓の継承者がいない場合、無縁墓になる問題があります

沖縄ではお墓の継承者問題が深刻化し、個人墓地に建つお墓のなかには、墓主不在のまま放置され続けているものも少なくありません。

継承者がいないまま墓主の高齢化が進み、将来的に無縁墓になることを恐れて、生前に墓じまいをするケースが増えました。

沖縄ではトートーメーの継承問題も顕在化し、墓じまい・仏壇じまいを行い、ご先祖様の永代供養を生前に済ませる墓主が増えています。

 

 

④遠方に住んでいる

◇お墓を継承したものの、遠方に住んでいて管理ができない事例です

高齢の墓主に代わり、若い世代がお墓を継承してみたものの、沖縄から離れて遠方に住んでいたため、定期的な掃除やメンテナンスに無理が生じて墓じまいを検討する墓主も多くいます。

特に沖縄から他県へ移住した場合、飛行機代による費用負担が大きくなり、お墓掃除代行業者に依頼するにも、墓主ひとりでは費用負担が大きいことから、お墓がいらないと考える若い世代も多いです。

 

⑤子どもや孫に負担をかけたくない

◇お墓継承の負担をかけないため、お墓を閉じる選択です

墓主のなかには子どもや孫がお墓を継承したことにより、お墓の維持管理の負担をかけたくないとして、生前に墓じまいを済ませるケースが増えています。

その背景には、沖縄で人生をしまう準備「終活」を進める人々が増えていることがあり、墓じまいとともに、自分の遺骨の納骨先まで生前契約を済ませるものが多いです。

 

[終活]
・沖縄で行う終活の優先順位は?終活でやるべき10の事柄をチェック!何歳で始めるべき?

 

⑥価値観が変化している

◇「お墓がなくとも供養はできる」と考える人が増えました

沖縄には祖霊信仰が根付いているため、従来のお墓は父方の血族が入る「門中墓」など、一族・血族で供養する風習があり、亡くなってから七代が過ぎると、その家・一族を守る神様になると考えられています。

けれども近年では一族・血族の供養と言う考え方から、個人の供養へと変わり、「身近で過ごした家族を、水入らずで供養したい」との希望も多いです。

また「故人を偲ぶ想いがあれば、どのような場所や方法でも供養ができる」と考える若い世代が増え、手元供養や自然葬などの、新しい遺骨供養の形が受け入れられるようになりました。

 

沖縄でお墓がないと困ることは?

沖縄の他県と違うお墓参りルール
◇墓じまいは、家族や親族で話し合い進めましょう

永代供養墓(合祀墓)や海洋散骨など、沖縄でお墓のいらない遺骨供養を進める場合、一度儀式を済ませてしまうと、ご遺骨が手元に返らない・残らないプランが多いです。

特に墓じまいになると、取り出した多くの遺骨を供養(処分)してしまうので、進める前に家族や親族へ相談をしなければ、反発を受けてしまい兼ねません。

確かに墓主にはお墓や仏壇などの祭祀財産に対して、最終的な決定権がありますが、ご先祖様や故人を偲ぶ気持ちに配慮して、まず家族・親族へ相談することが大切です。

 

①親族が集まる機会が減る

◇沖縄では定期的なお墓参り行事があります

沖縄では毎年4月に行うシーミー(清明祭)、離島を中心として一部地域では旧暦1月16日のジュールクニチー(十六日祭)など、家族・親族が一同に集まり、墓前に拝むお墓参り行事が定番です。

墓じまいを行うことで、シーミー(清明祭)に家族・親族が墓前で一同に集まる機会がなくなり、交流が途絶えてしまう可能性は否めません。

ただ墓じまいをした後も、旧盆などには弔問客を受け入れて交流を図るなど、対策は多様にあります。

 

②遺骨の納骨先がなくなる

◇今後、ご遺骨の納骨先がなくなります

すでにある現存のお墓を墓じまいする場合、門中墓や先祖代々墓などの一族が入るお墓がなくなると、自分や家族が亡くなった時、納骨先がありません

継承者を必要としない永代供養を付けたお墓を新しく建てることもできますが、平均約150万円ほどかかります。

そのため、それぞれの家族が永代供養墓(合祀墓)や納骨堂など、個人でできる永代供養や遺骨供養の方法を選ぶケースが一般的です。

 

③供養する対象がなくなる

◇「お墓」と言う墓標がなくなります

ご遺骨を納めたお墓は故人の終の棲家とも呼ばれ、沖縄ではその昔は故人が寂しがらないようにと、家族や故人と親しくしていた知人友人が、納骨してから七日間、お墓参りに行く風習「ナーチャミー」もありました。

けれども「お墓」と言う墓標がなくなるため、参拝の対象もなくなります。
それぞれ、どこでも故人を偲ぶことができますが、なかなか一同に介して、一緒に供養をしたり、共通の墓標がなくなることを寂しがる家族・親族、知人友人も多いです。

 

沖縄でお墓は必要?

沖縄のお墓の特徴とは?
◇「村墓」など、昔も合祀を行う集落は多くありました

沖縄では父方の血族が納骨される「門中墓」の風習がありますが、これは一部の貴い身分の人々が代々行ってきたものです。

沖縄でも民衆は、外に合祀墓(合葬墓)「村墓」などを建て、埋葬してきた集落もあります。
また門中墓でも5千人を超える門中もあり、門中とは言え、あまり知らない人同士が合祀されるお墓もあるでしょう。

現代でこそ永代供養墓(合祀墓)に抵抗感を示す人々もいますが、沖縄でも全国的にも、永代供養墓(合祀墓)を含め、さまざまな遺骨供養の形がありました。

 

①一族を守る祖霊が眠る

◇沖縄ではご先祖様が一族を守る祖霊信仰が根付いています

特に沖縄ではご先祖様が一族を守る「カミ(神)」となる祖霊信仰が根付いており、ご遺骨は門中墓に祀られ、丁重に供養されてきました。

また墓じまいに伴い、位牌や仏壇じまいを進めるケースは多いですが、沖縄の先祖代々位牌「トートーメー」も祖霊信仰のシンボルです。

このようなことから沖縄で祖霊信仰に厚い家族や親族にとっては、お墓を必要とする考え方もあるでしょう。

 

②「墓地」への埋葬

◇ご遺骨は「墓地」に埋葬しなければなりません

現代の日本では、ご遺骨を埋葬する場所は知事が認める「墓地」であることが条件です。

沖縄には個人墓地が多いですが、今では新しいご遺骨に対して、墓地管理者が存在する民間霊園や寺院墓地、公営墓地と言った、知事が認める墓地に埋葬することを推奨しています。

もしも自宅の庭など、墓地以外の場所でご遺骨を埋葬した場合、お墓や埋葬に関する法律「墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)」抵触する点には注意が必要です。

永代供養墓(合祀墓)や納骨堂、海洋散骨、手元供養など、お墓がなくとも、何らかの方法で対処しなければなりません。

 

 

[墓地の種類]
・霊園とは?墓苑や墓地、寺院との違いは?それぞれの特徴や選び方、メリット・デメリット

 

沖縄でお墓がいらない人が困ることとは?

親族からの反対
◇現存のお墓がある人、ない人で困る事柄は違います

沖縄でお墓がいらない遺骨供養を検討する場合、現存のお墓があるならば、家族や親族から「なぜ門中墓(先祖代々墓)に入らない?」と、反発を受けることもあるでしょう。

さらに墓主であれば、お墓のいらない遺骨供養の前に、墓じまいを済ませなければならない可能性も出てきます。

「義母と同じお墓に入りたくない」との遺言により、母親を故郷で樹木葬にした坂本さん(仮名)による体験談では、納骨後も長く親族から反発を受けました。

 

①親族からの理解が得にくい

◇家族・親族に理解をもらい、協力して進めることがポイントです

沖縄でお墓がいらないとして、墓主が墓じまいを進める時、家族がお墓のない遺骨供養を決断する時には、他の家族や親族から反対を受けることもしばしばあります。

勝手に進めることなく、まず家族や親族に相談すること、経済面などの悩み事や事情を素直に伝えることで、家族や親族からの理解はずっと得やすくなるでしょう。

また永代供養墓(合祀墓)などの見学に、家族や親族と行くことも、反発を和らげる手段になります。

 

[墓じまいや仏壇じまいの親族トラブル]
・沖縄で親族トラブルのない墓じまい・仏壇じまいの仕方は?手順や注意点を体験談から解説

 

②墓じまいが必要

◇現存のお墓がある墓主は、墓じまいを行います

「墓じまい」とは、門中墓や先祖代々墓など現存のお墓を閉じることです。
ご遺骨を取り出して墓石を撤去し、墓地は整地して墓地管理者へ返還します。

一方、沖縄の個人が所有する個人墓地は多くが「みなし墓地」です。
役所に墓地の廃止許可申請をして「墓地」を廃止しなければ、土地の売買はできません。

 

 

③遺骨の供養先が必要

◇お墓がなくてもご遺骨の供養が必要です

家族がなくなった時、門中墓(先祖代々墓)など、すでにご遺骨の納骨先があれば、葬儀当日にお墓に納骨できますが、お墓がない場合は何らかの方法で遺骨供養をしなければなりません。

遺骨供養には前述したように、永代供養墓(合祀墓)・納骨堂・樹木葬・海洋散骨などがあります。

また、すぐにご遺骨の供養先が見つからない場合には、しばらくご自宅にご遺骨を安置する、形を整えて手元供養にしても問題はありません

 

④風葬の歴史

◇かつて沖縄には風葬の歴史がありました

昔の沖縄ではご遺体を風化させて供養する「風葬(ふうそう)」の歴史があり、沖縄でお墓はご遺体の周囲に目隠しの壁として、石を積み上げたことが始まりとも言われます。
そして風化が終わった頃、再びお墓からご遺骨を取り出して洗う「洗骨」を行いました。

 

●そのためお墓がいらないと考えて、古いお墓を墓じまいした場合、なかには火葬されていないご遺骨が出てくることも多いです。

 
火葬されていないご遺骨は埋葬できないので、一度火葬を済ませる必要があり、数多くのご遺骨の扱いに困った後、費用面などで墓じまいを諦めるケースも多くあります。

古いお墓の墓じまいを検討するならば、墓石業者や霊園にお墓の内部調査を依頼して、お墓内部に納められたご遺骨の数や状態を把握しておくと安心です。

 

沖縄で墓じまいを進める手順

●墓じまいの石材業者とのトラブル
◇取り出したご遺骨の納骨先を決めます

墓石の撤去・墓地の整地自体は約20万円~50万円ほどで収まりますが、墓じまいでは取り出したご遺骨の新しい納骨先が必要です。
ご遺骨は勝手に破棄したり、墓地以外の場所に埋葬することは違法にあたります。

沖縄え墓じまいを進める場合、最初に霊園や石材業者へ相談をしてお墓の内部調査を依頼し、お墓内部のご遺骨の柱数や状態を確認してから、新しい納骨先まで検討し、計画的に進めるとスムーズです。

 

①遺骨の納骨先を決める

◇永代供養では1柱ごとの料金システムが一般的です

墓じまいで取り出したご遺骨の多くが、お墓のいらない納骨先を選ぶため、多くは永代供養墓(合祀墓)や納骨堂などの永代供養となるでしょう。

ホームページなどで検索して資料を請求したら、納骨後の参拝の様子もイメージしながら、現地見学をして、複数から予算と比較検討して決めることをおすすめします。

 

②書類を揃える

◇墓じまいの行政手続きは「改葬」です

「墓じまい」はお墓を閉じることを指した民間から生まれた言葉で、行政手続き上は墓じまいも、ご遺骨やお墓を移動する「改葬(かいそう)」を行います。

改葬手続きに必要な書類は、取り出したご遺骨の新しい納骨先から「受入許可証」、現存するお墓の墓地管理者から「埋葬証明」、そして墓主であることを証明する住民票などの書類が必要です。

形式は自治体により違うので、最初に役所に確認をすると二度手間にならずに済みます。
また個人墓地に建つお墓や、納骨先が手元供養である場合にも、電話などで最初に確認するとスムーズになるでしょう。

 

 

③ご遺骨の取り出し

◇一般的に閉眼供養を行ってから、ご遺骨を取り出します

お墓の開閉は自分達で進めても法的に違法ではありませんが、墓石は大変重く、墓主ひとりではまず難しいだけではなく、ムリをすると怪我のリスクもあるでしょう。

墓石業者に依頼をして、お墓の開閉やご遺骨の取り出しを進めることをおすすめします。
ご遺骨を取り出す費用の目安は、1柱につき約3万円~5万円ほどで、霊園にお墓が建つ場合には、まず霊園に相談するとトラブルリスクも少ないです。

また一般的にご遺骨の取り出し前には、お墓から魂を抜く「閉眼供養」を行います。
僧侶に依頼して読経供養を行うため、約3万円~5万円ほどのお布施を包みましょう。

 

 

④墓石の撤去・整地

◇墓石の撤去・整地の費用目安は、約20万円~50万円ほどです

お墓を取り出した後、墓石を撤去・廃石の処分を墓石業者に依頼します。
墓主が名義人となる個人墓地であっても、この機会に墓地の整地まで進めてしまうと、将来的に墓地を手放しやすいです。

また霊園などの区画にお墓が建っていたケースでは、ご遺骨を取り出して墓石を撤去し、墓地を整地した後に、永代に渡って墓地が使用できる権利「永代使用権」を返還します。

 

⑤ご遺骨の納骨

◇取り出したご遺骨を納骨して、墓じまいが終わります

取り出したご遺骨を契約した新しい納骨先に納骨すると、一連の墓じまいは終了です。
納骨堂など、お墓のない新しい納骨先であれば開眼供養は必要なく、納骨式のみとなるでしょう

納骨式でも僧侶をお呼びし法要を執り行うならば、閉眼法要と同じく、約3万円~5万円ほどのお布施を包みお渡しします。

ご遺骨を手元供養にする場合、長くお墓に納骨されていたので、ご遺骨の洗浄や乾燥、できれば粉骨まで、専門業者に依頼すると衛生的にも安心です。

 

[ご遺骨の手入れ]
・遺骨にカビが生えた時の対処法!手元供養で役立つ5つのカビ対策、古い遺骨はどうする?

 

 

沖縄でお墓のない遺骨供養の体験談

【沖縄の墓じまい】取り出した遺骨を手元供養?複数の遺骨を収蔵「お墓型仏壇」
◇母親の遺言により、沖縄でお墓のない遺骨供養をした体験談です

比嘉朋子さん(仮名)38歳は、亡くなった母親のご遺骨を手元供養にしました
母親は64歳でしたが、生前より終活に興味がありエンディングノートを残していたためです。

 

・お墓には入りたくない
・家の片隅に置いて欲しい

 
以上のことがエンディングノートに書いてあり、また生前にも母親が手元供養を希望していたことは、会話のなかで知っていましたが、実際に手元供養を進める過程では、親族の反対もあったと言います。

 

①母親の遺志で手元供養へ

母親にステージ4の大腸がんが見つかった時、初期症状は排便困難と吐き気でした。
また、背中やお腹をさすっていたり、特にダイエットもしていないのに、痩せていたかもしれない、と朋子さんは当時を振り返ります。

母親本人が分かっていたのか、偶然だったのかは分かりませんが、以前から終活に興味があり、エンディングノートを書いていました

 

<母親の遺志>
・お墓には入りたくない
・家の片隅に置いて欲しい

 
終活を進めるにあたり、手元供養の仏壇仏具を見て「これ可愛いね」などと話をしていたので、朋子さんをはじめ、父親の和夫さん(仮名・70歳)、弟の和樹さん(仮名・33歳)も、自然と手元供養を進めます。

 

②親族からの反対

けれども「お墓に入りたくない」と言うお母様の遺志を叶えるにあたり、親族からの反対も多くありました。

 

<親族からの反対>
・門中墓に入らないなんて!
・お墓に入らないと成仏しないのでは?
・自宅にご遺骨を置くと、霊魂が根付く
・ご遺骨を残すと子どもや孫の世代で困る
・衛生的に良くない
・家にご遺骨を置いていては、前に進めない

 
…などなど批判もあれば、心から心配する声もありました。
そこで一度家族で話し合うことにもなりましたが、「一度お墓に埋葬してしまうと取り出すのは難しいけれど、家にある遺骨なら、いつでも納骨できる」との結論に至り、手元供養としました。

 

③宗教的に問題はないのか?

朋子さんご家族が手元供養を進めるにあたり、「お墓に入らないと成仏しない」との言葉も気にかかり、四十九日法要を依頼したご住職に相談をしました。

すると確かに「ご遺骨を埋葬しないと成仏しない」と教える寺院もあるものの全てではないため、家族がご遺骨を自宅で供養したいならば、手元供養にすれば良いとお答えをいただきます。

また朋子さんの家には家付きのユタさんもおらず、宗教的には問題なく手元供養を進めることにしました。

 

④衛生的に問題はないのか?

またご遺骨を自宅に置くことは衛生的に良くないのかも気にかかり、手元供養の品を扱う仏壇仏具店に相談をしています。

火葬場で引き取ったままの骨箱やご遺骨で、そのまま祀っていると、確かにご遺骨にカビが生える、水が溜まることもあるようです。

そのため専門業者に依頼をして、ご遺骨の粉骨を行った後、密閉された手元供養専用の骨壺を購入した後、乾燥剤とともに衛生的に保管しました。

 

⑤精神的に前へ進めないのか?

そして朋子さんが母親の手元供養を進めるにあたり、最も心配していたことが父親の精神状態です。

ご遺骨がずっと自宅にあっては、父親も気持ちが前向きにならないのでは?と心配していたので、親族から言われた時には心が揺らぎました。

けれども、その父親自身が母親を失ったショックが大きく「お墓に納骨してしまうと、本当に二度と会えない気がする」として、手元供養に積極的だったため、このまま進める決断に至ります。

 

⑥残ったご遺骨をどうするか?

朋子さんの母親の手元供養は、ご遺骨の全てを自宅に祀り供養する「全骨安置」でしたが、主に手元供養を行う父親が亡くなった後、ご遺骨をどうするかは大きな課題です。

父親亡き後のご遺骨とともに朋子さんが供養することもできますが、それでは朋子さんのひとり息子や孫の代まで、ご遺骨が残る問題が残ります。

そのため父親とともに、家族型納骨堂の生前契約を行いました。
ご両親はもちろん、朋子さんご夫婦まで納骨できる納骨堂です。

 

⑦棚上仏壇をリビングに祀る

母親のご遺骨は仏壇を新しく仕立てることにしました。
ただ大きな仏壇を置くスペースがないため、棚に置く「棚上仏壇」を選んでいます。

 

<リビングの棚上仏壇で手元供養>
・棚上仏壇 …約500,000円
・繰り出し位牌 …約55,000円
・骨壺 …約50,000円
・仏具セット …約33,000円
・おりん …約33,000円
・写真立て …約16,000円
・お線香(消耗品) …約3,300円
・ロウソク …約700円
●合計 …約691,000円

 
費用は葬儀と含めて、供養事で利用できるメモリアルローンでの購入を検討していたものの、父親がもともと建墓費用目的に150万円ほどの貯蓄をしていたため、この貯蓄を利用しました。

 

 

まとめ:沖縄でもお墓のない遺骨供養が増えています

沖縄で行う手元供養の手順は?
沖縄では「お墓に入りたくない」との遺志に倣い、お墓のない遺骨供養を選択するケースも増えました。

お墓の維持管理や継承問題に悩み、すでに墓じまいを済ませた墓主や、義理の家のしきたりと折り合いが合わずに「お墓まで一緒に入りたくない」と遺志を残すケースなどです。

またお墓同様に、沖縄の先祖代々位牌「トートーメー」に昔から伝わるタブーに悩み、トートーメーを永代供養とした後に、沖縄ではお墓のない・位牌のない供養を望む人々も少なくありません。

 

 


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