沖縄で増える手元供養、残りの遺骨をどうする?お墓を建てない3つの葬送

2022.04.11
沖縄で増える手元供養、残りの遺骨をどうする?お墓を建てない3つの葬送

沖縄では手元供養が広がり始めています。頻繁にお墓参りに行かない沖縄で、手元供養は大切な家族を亡くした人々の心に寄り添う供養の形ですよね。では残りのご遺骨は、どのように供養をすれば良いでしょうか?今回は手元供養の後に選ぶ、残りの遺骨3つの供養方法をお伝えします。

沖縄では手元供養が広がり始めています。頻繁にお墓参りに行かない沖縄で、手元供養は大切な家族を亡くした人々の心に寄り添う供養の形ですよね。

確かに沖縄では今までも手元供養に限らず、お仏壇はお墓と繋がっているとされてきたため、日々お仏壇を通して供養を続けることはできました。けれども大切な家族を失った時、遺骨をなかなか埋葬できない…、との声は少なくありません。

そんな時、昔は周囲への配慮から、ムリをしてでもお墓に埋葬してきましたが、今の沖縄では「手元供養」と言う選択肢を選ぶ人々が増えてきました。

ただ沖縄では手元供養で祀る遺骨は一部のみであることが多いです。では残りのご遺骨は、どのように供養をすれば良いでしょうか?今回は沖縄で手元供養を選ぶ時、残りの遺骨の供養方法を3つ、お伝えします。

沖縄で増える、「手元供養」とは

沖縄で増える、「手元供養」とは
沖縄で注目される「手元供養」とは、大まかに言うと、遺骨や遺灰をお墓や納骨堂などではなく、自宅で管理・供養できる方法です。そのため自宅供養とも呼ばれています。

【 沖縄で手元供養を行う2つの方法 】

● ただ現代の沖縄で行われる手元供養では、下記2つのパターンがあるでしょう。

(1) 遺骨や遺灰を自宅で管理・保管
(2) 墓地、霊園、寺院に納骨した上で一部だけ保管

→ そもそも沖縄の「手元供養」自体が近年ニーズが増えた供養の形です。そのため、どちらを選ぶか…、選択も自由な傾向にあります。

 

沖縄で手元供養を選ぶ際、基準となるのは人それぞれの胸の内にある、①供養の仕方への希望、②供養に対する意識ではないでしょうか。特に沖縄では本州のように檀家制度(特定の寺院で信徒になる制度)が根付いていないため、宗教観も自由な傾向にあるでしょう。

ですから、それぞれの信仰心の深さや希望によっては、親族間でも霊園や寺院での供養を望む声がありますので、家族親族への相談や配慮は必要です。

沖縄で手元供養をする3つのメリット

沖縄で墓じまいや仏壇じまいをするには。手続きや費用の目安、個人墓地まで解説!
コロナ禍により、全国的にも注目されるようにはなりましたが、特に沖縄で手元供養が広がっています。

その背景には、全国的な習わしとは違い、沖縄ではシーミー(清明祭)やタナバタ(七夕)など、一定の年中行事以外は「お墓参りをむやみに行うことが好ましくない」とされてきた風習が大きいです。

親族間で門中墓に埋葬され、大勢でお墓参りをすることは、確かに明るく温かな供養ができますが、グリーフ(大切な家族を失ったショックや喪失感)と向き合う遺族にとって、故人と向き合う時がなかなか訪れません。

【 沖縄で手元供養を選ぶ3つのメリット 】

● ですから沖縄で手元供養をする場合、お墓での供養にないメリットは、以下の3つです。

(1) 故人と身近になれる
… 一例では、10歳と15歳のお母さんが病気で亡くなったご遺族が、「これからもお母さんと一緒に暮らしたい」として、沖縄で手元供養を選んだ体験談があります。

(2) お墓参りに遠方まで出向かずに供養ができる
… 沖縄では「仏壇とお墓は繋がっている」とされるものの、グリーフの真っただ中にいるご遺族にとっては、遺骨のある場所がより繋がる感覚がある型も多いです。お墓に行かずとも、自宅で遺骨を前に日々供養ができます。

(3) コストパフォーマンスがいい
… コチラは精神的な事情とは違いますが、一例では突然父親を失ったもののお墓はなく、貯蓄もなく、日々の暮らしで精一杯になったとして、粉骨代金+ステージで5万円ほどで納めた事例がありました。コストを抑えながら、日々手厚く供養ができる点もメリットです。

 

沖縄に限らず全国的に手元供養では、「お墓に納骨することで、心(魂)まで離れ離れになってしまうような気がする…」と、「納骨しなければ」と頭では分かっていても、なかなか納骨できない事例が多くあります。

【 沖縄で手元供養を選ぶ、最も多い事例 】

● 家族を失ったショックや哀しみで納骨できない時、火葬場から持ち帰った骨壺を「何とかしなければ…」と決断できず曖昧なまま、時ばかり過ぎてしまいがちです。

→ そんな時、曖昧なまま自宅に遺骨を置くよりも、手元供養を選び、火葬場から持ち帰った骨壺から、故人に似合う可愛い骨壺やステージを用意し、しっかりと整えることで、グリーフケアも次のステップへ繋げることができます。

 

また、沖縄で手元供養を選んだ体験談のなかには、「生前に良い関係を築けなかった…」など、後悔を残している方々も少なくありません。そしてこれもまた、本人は気付いていませんがグリーフのひとつです。

そんな時にも沖縄で手元供養を選ぶことで、「故人との新しい関係を築く」ことができます。

沖縄で手元供養をする3つのデメリット

沖縄で手元供養をする3つのデメリット
実は仏教の教えとしては、(故人がすぐに成仏するとされる浄土真宗以外の仏教宗派では)、お墓の納骨しない期間は「忌中」とされ、自宅に遺骨を安置することを良しとしません。

「忌中」とは故人が亡くなってから四十九日までを差し、この期間の故人の魂は、あの世とこの世を彷徨うと言われます。けれども全国的には、敬虔な信徒も少なくなり離檀(信徒ではなくなること)も増えて、無宗教とする方が増えました。

檀家制度が根付いていない沖縄では、手元供養にそれほどの抵抗はないかもしれませんが、それでも沖縄独自の御願文化が根付いているため、また違う、それぞれの考え方や信仰心があります。

【 沖縄で手元供養をする3つのデメリット 】

● ですから沖縄で手元供養を進めるに当たり、下記3つの点に注意をして進めると良いでしょう。

(1) 遺族の理解を得られない場合がある
… 全国的に手元供養が急増したのは2000年頃になり、比較的新しい供養方法ですので、特に高齢の方々には丁寧に説明をして理解してもらうと良いでしょう。

(2) ジュエリーにした場合紛失するリスクがある
… 沖縄では手元供養にジュエリータイプも注目されています。ただジュエリータイプの場合、日常的に身に着ける方が多いでしょう。

→ ただその分、「ジュエリーを紛失」リスクも大きくなりますので、この点も理解して、分骨して一部のみをジュエリーに納めるなど、最初に対策を取ると安心です。

(3) 骨壷などに発生するカビに注意する
… 遺骨にカビが生えるの!?と思う方もいるのではないでしょうか?特に沖縄は湿気の多い地域ですので、風通しが悪い場所になるとカビが生えやすくなります。

→ 最初に遺骨の手入れ業者へ依頼して、粉骨(1万円~3万円ほど)をしておくと良いかもしれません。

 

親族間トラブルの場合、沖縄で手元供養に難を示すケースでは、葬儀当日に門中墓に納骨するように、「一刻も早く納骨して欲しい!」とする体験談もありました。

これは、その昔の風葬時代からの教えから、「早く納骨する」意識が強い方が多いためでもあります。その背景も理解しながら、家族親族へ相談すると良いでしょう。

粉骨業者は霊園などの他、海洋散骨を行っている業者などに相談をすると、遺骨の手入れや粉骨を受け付けてくれることが多いです。

沖縄で手元供養後の遺骨を供養する方法は?

永代供養をする
ただ沖縄で手元供養を選ぶ場合、可愛らしい小さな骨壺ジュエリータイプの形も多いため、全ての遺骨を手元で供養することができないケースも少なくありません。

では沖縄で手元供養を選んだ場合、残りの遺骨(分骨した遺骨)にはどのような供養方法があるのでしょうか。お墓に納骨する方法はもちろん、この他にも「お墓のない」供養の仕方もあります。

ちなみに「家の庭に埋葬しても良いか?」などの相談もありましたが、これは違法ですので注意をしてください。

【 沖縄で手元供養。墓地以外で埋葬できない 】

● 日本には「墓地埋葬法」という墓地・埋葬に関する法律があり、この法律では「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」となっています。

→ そのため沖縄で手元供養を行った場合、遺骨が残った(1)お墓に納骨、(2)永代供養、(3)散骨、の3つの方法を選ぶことになるでしょう。

 

ちなみに沖縄では個人墓地がありますが、個人墓地も墓地申請をしています。その昔は全国的にも「家の裏山にお墓を建てる」事例などがありましたが、今では霊園やきちんと認可を受けた個人墓地でのみ、埋葬をしてください。

それでは、下記より(1)お墓に納骨、(2)永代供養、(3)散骨、の3つの方法について詳しくお伝えしていきます。

お墓に納骨

沖縄で一般的な方法が、手元供養用の遺骨を少しだけ分骨し、残りの遺骨は従来通りお墓に埋葬するものです。

【 沖縄で手元供養。残りをお墓に埋葬 】

● 多くは骨上げ時に少しだけ手元供養用に分骨をして、火葬場で「分骨証明書」を発行してもらいます。そしてそのまま残りの遺骨は門中墓などに埋葬する事例が多いです。

→ 分骨をしてお墓に埋葬することで、「お墓に納骨しなければ成仏できないよ!」とする親族ともトラブルなく、沖縄で手元供養を実現できる点がメリットです。

 

ただし、もともと納骨する先(門中墓など故人が入れるお墓)がない場合、新しくお墓を建てることになるでしょう。この場合、コストは掛かってくるのでこの点は注意をしてください。

現在、全国的な建墓費用の平均は約128万円ほど、最低でも約150万円ほどの予算と言われていますので、「後々お墓を建てるまで」としても良いかもしれません。

永代供養をする

「永代供養」とは、霊園・寺院に遺骨を預けて、家族に代わり遺骨の保管・供養をしてもらう方法です。

最近は沖縄でも墓じまいなどが進み、本州や海外へ移り住みお墓の管理ができない、継承者がいないなど、トートーメー同様お墓も継承者問題が起きています。

また墓主が高齢化することで、辺境にあるお墓が沖縄では多く、年中行事のお墓参り自体が難しい家も増えました。そんななか、増えている遺骨の供養方法が永代供養です。

【 沖縄で手元供養。永代供養にする 】

● 永代供養墓にはそれぞれ種類があり主に3つの種類になります。

(1) 合祀墓 (費用目安:約5万円〜30万円)
(2) 集合墓 (費用目安:約20万円〜60万円)
(3) 個別墓 (費用目安:約50万円〜150万円/上限なし)

※ 合祀墓/集合墓/個別墓それぞれの詳細は別記事「沖縄で永代供養墓の費用目安はどれくらい?希望や予算から選ぶ3つの種類」でお伝えします。

 

このように沖縄で手元供養後に選ぶ永代供養墓は、継承者が必要ないこともありますが、お墓を建てるより費用が抑えられる点もメリットです。将来的にお墓を持ちたくない、継承者の目途が立たない、などの不安事があれば永代供養も検討してみてはいかがでしょうか。

散骨で自然に還る

粉骨した一部は海洋散骨の選択も
「散骨」とは、遺骨を粉骨にして自然の中に還す供養方法です。島国沖縄では海洋散骨が有名でしょう。「沖縄の海に還したい」として、全国から海洋散骨に訪れる遺族も見受けるほどです。

【 沖縄で手元供養。海洋散骨 】

● 沖縄のなかで手元供養を選ぶ遺族でも、手元供養の時に粉骨をしているので、散骨業者に粉骨をお願いしたことがキッカケで、散骨セレモニーを行う体験談は多い傾向にあります。

→ ただ、なかには粉骨した遺骨を「自分達で散骨したい」などの相談もありますが、確かに法的にはグレーゾーンではあるものの、やはり散骨を行う場所には周囲への確認や配慮が必要です。

 

「どこにでも散骨できる」訳でもないため、散骨するならば専門業者に依頼した方が安心ではないでしょうか。

お墓型仏壇で全てを手元供養する

お墓型仏壇で全てを手元供養する
実は近年の沖縄では手元供養で、「お墓型仏壇」を利用する事例が増えています。お墓を持たずに遺骨を全て粉骨して、一部を小さな骨壺で仏壇に祀り、残りを「ブック型骨箱」と呼ばれる本型の箱に納めて、仏壇下の棚に納める供養方法です。

【 沖縄で手元供養。お墓型仏壇 】

● ブック型骨箱は木製で本型の骨箱で、背に名前や没年数など、お墓に彫刻すべき事柄などを刻印できます。

→ ブック型なので、遺骨が増えた時にも並べて納めることができるため、そのままお墓としての機能を果たす仏壇です。

 

お墓を建てる費用がない、継承者がいないなどの問題を解消する理由がひとつと、最近では墓じまいにより取り出した遺骨をお墓型仏壇で供養する選択も増えました。

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で手元供養を選ぶ時、残された遺骨をどのように扱うか…、お墓を建てないケースを含めた3つの選択肢をお伝えしました。

この他にも、ロッカー型のスペースに遺骨を納める納骨堂や、遺骨を預けていつでもお墓参りや供養ができる室内墓所、樹木の麓に埋葬される樹木葬などの選択肢もあるでしょう。

本文で少し触れた、沖縄で墓じまい後に手元供養を選ぶケースについては、別記事「【沖縄の墓じまい】取り出した遺骨を手元供養?複数の遺骨を収蔵「お墓型仏壇」」でお伝えします。

また、沖縄では手元供養が進むとともに、継承者問題も深刻化しタブーが多いトートーメー(先祖代々位牌)の永代供養も検討する家が多いです。

※ トートーメー(先祖代々位牌)の永代供養については別記事「沖縄で墓じまい後、お仏壇はどうする?永代供養後の位牌、4つの選択肢」でお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。

 

まとめ

手元供養で分骨、残りの遺骨の供養方法

●お墓に埋葬する方法が一般的

●お墓以外の3つの葬送
・永代供養
・散骨
・お墓型仏壇で全て手元供養


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